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4象限マトリクスの使い方4 (フロー分析)

私が最近ハマっている4象限マトリクス。何回かに分けて4象限マトリクスを使い倒すコツをまとめていこうと思います。今回は、4象限マトリクスの「フロー分析」についてまとめてみたいと思います。なお、本シリーズは下記からスタートしています。

フロー分析
「フロー分析」は、時間軸を組み合わせた分析になります。基本的な部分は「4象限マトリクスの使い方2」に書いてありますので、そちらもご確認頂けると嬉しいです。
さっそくですが、「フロー分析」のポイントは、「時間データとの組み合わせ」になります。

時間軸データとの組み合わせ
時間軸データとの組み合わせについてまとめます。この内容は「戦略プロフェッショナル 著:三枝匡」(以降、戦略プロフェッショナル)で知りました。私自身も初めて見たときは非常に感動した記憶があります。その後、いろいろな書籍で4象限マトリクスを見てきましたが、時間軸データなど2つのデータを組み合わせて表現している方がいらっしゃいます。皆さんとても賢いなぁと感心させられます。ここでは、「戦略プロフェッショナル」で紹介されている思考法で4象限マトリクスと時間軸データとの組み合わせについて簡単に紹介します。


説明8

「戦略プロフェッショナル」で紹介されているのは、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)と製品ライフサイクルとの組み合わせです。4象限マトリクスで事業成長のルートを表現しています。

説明15

両方の図にプロットされている「A」「B」「C」「D」「E」は製品ライフサイクルでは、「導入期」から「衰退期」に向かい時間と共に推移し、PPMでは「問題児」から「金のなる木」に到達するルートを表現しています。
「A」は製品ライフサイクルでは「導入期」にプロットされています。これをPPMで考えると市場成長率は高いがシェアは低い「問題児」の領域にプロットされます。ここから「金のなる木」を目指すためには、市場成長率が高いうちに、ある程度のシェアを確保して「花形」の領域を目指す必要があります。そうしないと市場競争の土俵に上がれません。そのため、製品ライフサイクルで「成長期」に入る手前の「B」の時には、PPMでは「問題児」と「花形」の狭間辺りにスライドしている必要があります。その後、「成長期」である「C」の時に、PPMの「花形」領域で市場競争を勝ち抜き、シェアを伸ばします。そうすることで、製品ライフサイクルの「成熟期」「衰退期」の「D」「E」の時、PPM上では、「金のなる木」に到達することになる。という理論になります。
「戦略プロフェッショナル」では、これらの考え方を詳しく説明しています。今回は、PPMと製品ライフサイクルを組み合わせて考えることを紹介したかったので、細かい説明は省略しますが、このあたりの理論を詳しく勉強したい方は是非「戦略プロフェッショナル」を読んでみてください。とても面白いビジネス小説なのでお勧めです。

フロー分析の例
PPMと製品ライフサイクルを組み合わせを例にして、4象限マトリクスを時間軸と組み合わせて考える「フロー分析」について説明しました。ここでは、さらに別の例で説明してみたいと思います。説明用として架空の話を用意しましたので説明を続けます。ちょっと無理やりですが、ご了承願います。

下の図は、とあるX地域の年齢別人口推移グラフです。このX地域では近年、子育て支援を軸に都市開発が進み、住みたい街として人気が高まっています。また、高級高層マンションがガンガン建設され、共働きで経済的に余裕のある子育て世代の流入が激しく起こっています。

説明23

下記はX地域で昔から小売店を営むZ商店の年齢別商品分布になります。これまでは低価格帯で幅広い年齢層向けの商品を販売していました。しかし、X地域の環境変化をきっかけに商品ラインナップの見直しを考えているとします。

説明24

結構、無理やりな設定ではありますが、この4象限マトリクスと時間軸データを用いてフロー分析を行ってみます。

まず、時間軸データで分析します。状況設定の文章とX地域の年齢別人口推移グラフから、2015年から2020年の変化として下記が読み取れます。
・子育て世代の人口流入が起こっている
・人口流入先として高級高層マンションが考えられる
・高級高層マンション居住者は経済的に余裕のある共働き世帯が考えられる
・グラフから30~39歳の人口増加が読み取れる
・グラフから0~9歳の人口増加が読み取れる

説明25

これらの情報を整理した際に、Z商店の商品ラインナップを振り返ります。商品ラインナップの見直しの際、高級高層マンション居住者をターゲットとした30~39歳とその子供にあたる0~9歳向けの商品拡充が考えられます。また、高級高層マンションの居住者は経済的に余裕がある設定になっていますので、高価格のこだわりの商品を並べることも考えられます。そうすると、現在の商品分布から下記のようなアプローチが考えられると思います。

説明26

このように、時間軸のデータをもとにして、4象限マトリクスにプロットしたデータのスライド方法を思考します。データをどのようにスライドさせるかの根拠として別のデータを用いる要領になります。
実際の戦略立案では、こんな単純は話ではないのですが、今回は説明用に無理やり設定した架空の例としてご了承下さい。

4象限マトリクスを使い倒すために
今回は4象限マトリクスを時間軸データと組み合わせて考える「フロー分析」についてまとめてみました。4象限マトリクスを使い倒すには、静止状態で相対比較する「ストック分析」だけでなく、「フロー分析」まで踏み込み、マッピングした情報をどのように動かしていくかを思考することだと思います。
本文内で紹介させてもらった「戦略プロフェッショナル 著:三枝匡」は、20年も昔に発売された書籍ながら、今読んでもとても新鮮です。この記事を最後まで読み進めてくださった皆様には大変おすすめなので、ぜひ読んでみてください。

4象限マトリクスの使い方について4回にわけて説明してきましたが、これで一区切りつけたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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