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地域とともに学びを育てる①ー十勝・本別高校のコミュニティスクールへの道ー

僕は、2020年春から北海道・十勝にある北海道道立本別高等学校のアドバイザーおよび特別講師として関わることになりました。

これは、さまざまな地域のしがらみとか、固定概念とか、そのようなものを乗り越えて、地域が一体となって高校生たちの学びを育てていく、取り組み。

小学校時代に将来の夢だと思っていた「学校の先生になること」。そんな小学校の頃の夢と、「あたたかな地域づくり」をしていきたいという今の夢とが重なり合う役割に心がときめきました。

コミュニティスクールとなった本別高校

本別高等学校は、2020年度より、コミュニティスクールとなりました。

コミュニティスクール(学校運営協議会制度)とは、文部科学省のHPによると、

学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。コミュニティ・スクールでは、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことができます。

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(出典)文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」より抜粋

法律(地教行法第47条の5)に基づいて教育委員会が学校に設置する学校運営協議会には、主な役割として、以下の様な役割が与えられる。

  • 校長が作成する学校運営の基本方針を承認する

  • 学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる

  • 教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる

文科省の説明は難しいので、僕なりに意訳して簡単に言うと、こんな感じだろうか。

コミュニティスクールとは、学校および教職員が提供できる学びのリソースやコンテンツは限られている。

一方、これからの世の中で子供たちが大人になっていわゆる「食っていける大人」になるために身につけなければならないことは、多様化している。

このミスマッチを補完していくための学校のカタチなのではないかと勝手に解釈している。

そうはいっても、コミュニティスクールというのは、「なりたいです!」といっても、勝手になれるものではない。

支える側のコミュニティとしては、自治体もあるし、教育委員会もあるし、住民も、もちろん地域の事業者(商店街のお店、会社、もろもろ)もいる。このコミュニティ側の基本的な受け入れる土壌が育っていないと、おそらくほとんど機能しないのではないか。

さらに、そうはいってもゆくゆくはコミュニティが学校の学びの場の運営を支えていく大きな力になってくれる可能性が高いのだが、はじめの巻き込み段階では、学校側にも相当なエネルギーが求められる。

なので、公立高校の場合は特に校長先生は2-3年くらいの任期で変わっていくので、面倒なことはやらずに、無事自分のキャリアを傷つけずに終えるということの方がいいに決まっている。僕はそのように感じる。

しかしながら、十勝・本別(ほんべつ)町の本別高等学校。ここは違った。


はじまりは一人の変態から

なにごとも、新しいことのきっかけは、変態が起点になる。

表現があまり良くないかもしれないが、ものごとを「変えたくない思考」と「変えたい思考」みたいなものは常に戦っていて、変えたい思考が振り切ってしまえる人がある意味変態なのだと思う。

本別高校の近藤浩文(こんどう ひろぶみ)校長*は、まさしく変態である。敬意をこめてそのように感じている。
 *2020年度まで校長としてご活躍された

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校舎正面での近藤校長先生

はじめお会いしたのは、2018年の秋口だったと記憶している。地域包括ケアの仕組みづくりに関わる本別町で、それなりに様々な取り組みやしかけを行ってきて、少し芽が出たものや、上手くいかなかったことなどが混在し、色々なことが変わったり、ある意味「地域の変わりたくない壁」みたいなものにもがっつりぶつかって悩んでいる時でした。

まず、はじめに気が付いたのは、名刺交換した名刺に携帯電話の電話番号が記載してあること。僕の記憶では、校長先生とか、町長とか社会的に立場のある方の名刺は、とてもシンプルなもので、携帯電話の番号はおろか、メールアドレスや直通の固定電話なども記載がないのが普通でした。

つまり、”ダイレクトにいくらでも連絡してください”というメッセージ。

それは、自分の取り組みや考え方をまっすぐにやり切っていることの強い意思表示でもあると感じました。

そんな姿を見ていたからこそ、本別町の地域参加型ローカルメディア「HOTほんべつ」の製作に取り掛かった際に、まっさきにインタビューしたい相手として候補にあがりました。

近藤先生は、本別町に赴任してから、すぐに地域の子どもたちに向けて理科実験教室を始めました。本職が理科である近藤先生は、自分の得意分野で地域に何か還元できないかと考えました。すると、地域の小さなお子さんから保護者まで、ひっきりなしに来てくれそうです。そして、こう考えました。「これは私がいる間だけで終わるのではなく、継続的・持続的に続く仕組みにしたい」と。

そこで、生徒たちに前面に出てもらって、町の中で高校生と中学生と、地域の大人たちが関りあえる仕組みを作ろうと、「本別理科教育プロジェクト(HoseP)」を立ち上げました。

これには3つの柱があります。

1つは小中高の新しい学習指導要領に向けた、学習プログラムの開発です。理科教育センターや教育大の先生方にも参加してもらい、小中高の先生が助言しあいながらやる形式。

2つ目は、ほんべつ独自の教材づくり。新しい学習指導要領は観察実験が重要視されるが、複式で2つの学年を同時に教える先生が実験も準備もしてだと、相当大変なので、それをサポートするために教材を作り、どの小学校でも使えるようにしていくこと。

3つ目は、中高生が小学生に理科実験をするというもの。

そんな近藤先生が、長い教員生活の中で様々な地域の状況や学習環境の変化を受け、構想を温めてきた仕組みこそが「コミュニティスクール」というもの。

地域で支えていく高校教育の在り方。すべての生徒の進路をかなえるためにも必要であるとのこと。北海道だと高校は13校ぐらい(注 2019年6月のインタビュー時)しか採用されていないとのこと。

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HOTほんべつのインタビューの様子

そんな近藤先生とコミュニティスクールへのストーリーは、「HOTほんべつ」のこちらの記事も是非読んでみてください。


続きは、次回以降の「地域とともに学びを育てる②ー十勝・本別高校のコミュニティスクールへの道ー」で、コミュニティスクールとして提供する目玉の学びである総合的な探究の時間「とかち創生学」の内容やその授業内容などもお伝えしていきます。


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藤井雅巳@地域資本家
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