
十勝で本気の「まちづくり」を暮らしながら学びたい方募集
北海道・十勝平野の東北部にある本別町という人口約6000人ちょっとのこの町で、思いっきりまちづくりを通じて人間として成長したい方を募集しています。
特に次のような人に届けたいと思います。

はじめにー課題先進地「本別町」
本別町は、農業王国・十勝の小さな(面積は広い!)町で、6000人のつながりが強い地域。
その昔は、利別川をはじめとした町内の河川と豊富な山林資源を生かした木材の町として栄えた町です。その後、戦時中には軍馬生産基地がつくられ、今年のパリオリンピックでもあらためて脚光を浴びたロサンゼルスオリンピックの馬術メダリストのバロン西さんゆかりの地。
そんな本別町は、1970年代に人口18,500人ほどをピークに人口減少社会に突入。すでにピークの約1/3に減少してしまっているために、町としての機能を維持していくためには、様々な面で苦しいのが現状。
空き家も増えたり、以前は沢山あった飲み屋も、今はだいぶ件数は減少。小学校も来春で、町内3つあったうちの1つが廃校になることが決まり、都市機能もぎりぎりのところに差し掛かっている。
本別町は、これから日本が迎える地域社会の限界的な状態とも重なり、課題先進地としての最高の実践のフィールドだと思う。もちろん数ある同様の課題を抱える自治体の一つにすぎないけど、それでもこの町が「面白い」と思うこれまでの僕の関わりの中で感じたことや取り組んできたことなどを紹介したい。
本別での活動を通じて
僕がこの地に関わるようになってから約8年が経った。交流町民としてそこそこの時間が経つ。
当初は、この町の地域包括ケアシステムを推進するためのプロジェクトに関わり、医療・介護・福祉および健康づくりなどの分野で活動してきた。
本別町は、介護保険施行後まもなくの2006年に、「福祉のまちづくり宣言」を行い、地域福祉に力をいれてきた。全町民の約85%ほどが加入し、地域を全体で支え合うという「在宅福祉ネットワーク」は、本別町のつながりを象徴するような取り組み。物忘れ散歩ができる町という、認知症になっても暮らし続けられるまちづくりをしようという、当事者を中心においた当時は先進的な取り組みだった。この町のチャレンジから学ぶため多くの視察者が町外から訪れた。
医療・健康分野での取り組み
本別の医療は、唯一の国保病院と一つの民間診療所によって支えられている。僕は「新公立病院改革プラン」という病院の改革プランを策定し、地域における病院の役割をカタチにするお手伝いをしてきた。10人ちょっとの部署横断のワーキングチームで、現状分析から具体的なアクションプラン策定をしてきた。

健康づくりでは、健康管理センターの保健師さんや管理栄養士さんと一緒に、地域の人々の行動変容のきっかけとなるプロジェクト「GENKIくんプロジェクト」を手掛けた。意外と無頓着な自分の健康のこと。まずは、自分の健康の現在地を知るために健康診断を受けるところから提案していく。特定健診の受診率と一人当たりの医療費とは相関するといわれるが、行動変容のはじまりは、まず「認知する」こと。
僕らのアプローチは、町の中心部に町民を集めて健康セミナーをするのではなく、人々が暮らす集落に出かけて行って、その地域の公民館などのフィールドで「自分の暮らし」を考え、その上で健康であるための一歩目を考える。
また、大切にしていることは、僕たちが主体的に関わりすぎないこと。僕らは地域の食生活改善推進委員さんや、運動推進委員さんなどの、地域で活動している専門家の方々の活動と接着しながら関わっていく。僕らがたまに地域を訪れて取り組めることなど限りがあるが、地域での活動家が増えていけば、取り組みは水面で共鳴する波紋のように広がっていく。
実際、活動した2年間で地域の特定健診受診率は向上し、保健師さんや管理栄養士さんたちも元気になった。地域の健康を支える仕事とは、関わる地域の人たちをも元気にする取り組みだということを実感した。

介護分野での活動
続いて介護分野における活動を紹介したい。
本別町では、総合ケアセンターが介護・福祉の中核を担い、特別養護老人ホーム1か所、老人保健施設1か所の他、地域密着型の小規模多機能型居宅介護施設が複数設置されており、とても機能的な地域包括ケアの機能が整っていた。一方で、介護の担い手不足に悩んでいた。
だから僕らは、これまで本別町が取り組んできた福祉でまちづくりの歴史や取り組みを知ってもらい、この課題先進地で福祉先進地の本別町が学びのフィールドとして認知される取り組みを進めてきた。その中の一つが地域医療体験型合宿「星空キャンプ」。

全国(遠くは九州)からもはるばる参加者がやってくるこの企画では、本別町というフィールドを思いっきり活かし、地域医療分野でも妥協のない学びのプログラムをぎゅっと提供してきた。参加者の中には、このイベントがきっかけとして本別町に実習に来た医療者がいたり、このイベントをきっかけとして本別という町に愛着を感じてくれるような人たちも生まれてきた。
ローカルメディアの創設
さらに、本質的な人材不足に向き合うために取り組んだのが、地域の魅力を発信する地域参加型ローカルメディア「HOTほんべつ」のプロデュース。
地域に人々を呼ぶための流れをつくるために一番大切なことは、暮らす目線での地域の魅力を伝えること。
北海道の自然や食などは、訪れて楽しむものであるが、暮らす前提で日常から楽しめるものにはなりにくい。また、北海道やもっというと日本の多くの地方都市では、自然や食は基本的に魅力的なものがそろっているので、それだけでは差別化にはなりにくい。
だからこそ、本別町にいる“人”にスポットライトを充てるメディアが必要ではないかと考えた。地元の人からすると当たり前のこと過ぎて気が付かないものかもしれないけど、それこそが、暮らす目線で考える人に刺さる情報ではないかと。

このメディアをつくる活動を通じて、僕は思わぬ出会いと宝物をいただくことになる。
地域で暮らす多くの“人”にインタビューし、本当に魅力的な活動や、何よりも魅力的な人たちに出会うことができた。
地方の過疎化が進む本別のような地域では、地元の課題ばかりに焦点が当たり、どちらかというと「自分たちの町なんて」というような発言をする人が多いような印象をもっていた。ところが、この「HOTほんべつ」のインタビューを通じて出会うこの町の人たちは、全くあきらめていないどころか、この町を本気で面白くしたいと考え、しかも自分たちで実践している人たちばかりだった。何かがこの地で暮らす人たちの背中を押しているんだ、って感じた。
「本別町ってちょうどいい町なんですよね」
ある移住組の町民の方の言葉がとても印象的で、ちょうどいい規模感、ちょうどいい都市(帯広や釧路)からの距離感、ちょうどいいつながり、ちょうどいい自然との距離、ちょうどいい競合環境など、様々な視点からもちょうどいい町の姿が浮かび上がってくる。
中でも、僕の中で大きなターニングポイントとなった一つの出会いがあった。それは、当時の北海道立本別高等学校の近藤校長先生との出会い。
高校を魅力化していくこと
地域のオモシロ人材の一人として候補が上がっていた近藤先生は、お会いした瞬間から意気投合した。既存の課題解決やフレームワークなどからはみ出していた僕のような考え方がこれからの高校生たちの学びに必要だと感じてくれたのか、本別高校が肝入りで取り組んでいく総合的な探究の授業の全体企画と講師の役割をできないかと依頼をしてくれた。
わくわくすることは「とりあえずYES」ということにしている僕は、何をすればいいかもよくわからずに、安請け合いしたところから、高校における探究学習にのめり込んでいくことになる。
本別高校の探究の時間「とかち創生学」については、以下の記事もご覧いただきたいと思うが、一言でいうと「答えのない課題に対して解決策を検討し実践していく学習」。
VUCAなどと言われるこれからの時代にまさしく求められるスキルそのもの。僕はこれまで、自分自身のキャリアも常に模索しながら切り拓いてきたこと。敷かれたレールからは何度も脱線した生き方をしてきた。キャリアの多くの時間を費やした「事業再生」でも常に答えのない中で成果を上げることをもとめられたきた。
この探究の授業は、自分の半生で培ってきたことを伝えることができる可能性のある場として、本当に全身全霊でとりくんできた。

すごくうれしかったことは、高校を卒業し進学や就職するタイミングで「とかち創生学」で学んだことが生かされたという報告を子供たちから聞けたこと。親御さんから、「お礼を言いたいんです」って直電がかかってきたりしたこと。
そんな「地域包括ケア」から「とかち創生学」がつなげてくれたこの町と僕とのご縁。
あらたなこの町での僕のチャレンジ
2年前からは、新しいチャレンジが始まった。それは、この町の関係人口を増やしていくプロジェクト。
僕は独立するときに、自らを「地域資本家」と呼ぶことにした。これは、これまでさんざん出張先でみて感じてきた“地域社会”の潜在力や可能性を活かした地域社会をつくる仕組みづくり。日本のすべての地域社会が持続可能だなんて考えていない。持続する意志をもった地域が、持続する地域づくりをした結果、あらためて魅力的な地域が育っていく。
本別という町は、歴史的な背景や、これまでの町の取り組み、この町で活動する人々の存在から「チャレンジする人の背中を押す町」ではないかと感じていた。だから、関係人口を増やしたいという町の想いのこもったプロジェクトに乗っかってみることにした(ただ言ってるだけのような町だったら関わらなかったと思う)。
この町で取り組んでいるのは”チャレンジする人の背中を押す仕組みづくり”と、その”仕組みを通じたチャレンジする人を育てる”こと。
簡単に説明すると、チャレンジの段階(ステージ)ごとにあったサポート体制を作っていくこと。

事業を創業した経験、事業をM&A(売りも買いも)した経験、事業を再生させてきた経験などリアルなステージごとの経験をしたきたからこそ構築できるサポートの仕組み。チャレンジすることは、経験した人にしかわからないタスクの山と、課題だらけの谷を乗り越えていく必要がある。
同じような境遇の仲間同士が支え合うコミュニティも必要だ。ここは、すでにこの町にはチャレンジしているフロンティたちが沢山いる。
だから、すでにこの町に息づく固有の資源と魅力を活かして、それが有機的に循環していくためのエコシステムをつくっていくことができたら面白いのでは。そんな発想からきたものだ。
チャレンジする人の背中を押す仕組みについては、こちらでもご紹介しているのでぜひ興味ある方は見てほしい。
この取り組みで得られること
ここまで読んでくれてありがとうございます。
最後に、この町で一緒に思いっきり「まちづくり」に関わってみたい方に伝えたいこと。
この取り組みに飛び込んでくれる方には以下を提供できると思う(もちろん、関わり方次第であることは前提として)。
僕が取り組んできたことや考えていること全部
この町で活動していく上で必要な人や資源
3年間のベーシックインカム
1.僕が取り組んできたことや考えていることを全部
これは、もちろん何を身につけたいかによるけど、ざっと以下のようなことは少なくとも伝えらえる。
スタートアップに必要な基礎的な知識のすべて、
コミュニティ・デザインのために必要な知識、
事業を成長させるためのファイナンス、
組織づくりのための基礎的なこと、
MBAで学ぶようなことの基礎的なこと、
医療・介護などのヘルスケア分野の知識、
プロジェクトを立ち上げて回していくために必要なこと
など。もちろん、時間的な制約があるためすべてを身につけることは絶対に無理だと思いますが、何を得たいかにしたがって、一緒に関わっていくつもり。
2.この町で活動していく上で必要な人や資源
新しい地で何かを手掛けることは簡単なことではない。なので、この町で何かをはじめるために必要な役場や民間のキーマンのような方は、ほとんど直接か一人くらい紹介者を通せばしっかりとつなげることができると思う。
8年間ほど交流町民をしてきたので、その中で培ってきた人的なネットワークなどには乗っかってほしい。また、町の中での活動に生かすことができそうな資源などもそれなりに把握している。
3.3年間のベーシック・インカム
これは、前提として移住し(住民票を移し)地域おこし協力隊(フリーミッション型)の制度にのってくれることが前提。
これまでのキャリアなどを踏まえて、必要に応じて協力隊としてのベーシック・インカムに加えて、手当なども別途支給を検討。
具体的に取り組んでほしい3つの選択肢
具体的に、取り組んでほしいと考えていることは、主に3分野の選択肢から選んでほしい。
HOTほんべつという地域参加型ローカルメディアの編集長の役割
本別高校を中心としたコミュニティスクールを活かし、高校生がチャレンジし学んでいく仕組みづくりをする役割
関係人口を創出する起点となる「仕組み」のマネージャーとしての役割
関心ある方は
関心ある方は、まずは気軽にオンラインでの説明会にご参加ください。説明会は、希望者がいれば随時オンライン(Zoom)を用いて実施予定。
何度か話をする中で、おもしろいなと思ったら、2泊3日の体験プログラムに参加していただき、納得したら「エントリー」という流れを想定しています。
それでは、チャレンジできる町・本別町でお待ちしていまーす!
以下までご連絡お待ちしています。
藤井 雅巳
Mail : m.fujii@miyabi-japan.co
藤井が代表理事を務める一般社団法人地域包括ケア研究所のウェブサイトもご参考まで。
いいなと思ったら応援しよう!
