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視覚障害者向け日本語教育

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2021年12月から2022年6月までボスニア・ヘルツェゴビナ北部で視覚障害を持つ高校生達に日本語を教えた時のエピソードを紹介します。
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#弱視

海外で視覚障害者に日本語を教える in ボスニア・ヘルツェゴビナ~教材を用意するにあたって①墨字編~

前回の記事「海外で視覚障害者に日本語を教える in ボスニア・ヘルツェゴビナ~クラスを始めるにあたり分かった事~」では、レディネス調査の結果として点字の教材だけでなく墨字(紙に印刷または書かれた文字)の教材も準備する必要があることを紹介しました。 生徒全員が点字使用者という前提で授業準備を進めようとしていた私も迂闊でしたが、改めて調べてみたところ視覚障害者=全員点字を使用というわけではなく視覚障害者の点字の識字率は10%ほどで、また現在視覚障害者の間では「点字離れ」が進んでい

海外で視覚障害者に日本語を教える in ボスニア・ヘルツェゴビナ~クラスを始めるにあたり分かった事~

前回と前々回の2回に分けて紹介した経緯で始める事になった視覚障害者向け(ここでは高校生)の日本語クラスですが、施設長さんから事前に教えてもらった情報といえば、生徒数の減少などもあり在籍している高校生のうち日本語クラスに参加できそうな生徒は5人位だろうということだけでした。 思っていたよりも参加できる生徒数が少ないな、というのが最初の感想でしたが、後にこれが今回の適正人数だと思うようになります。 以下、クラスを開講した機関(施設)および学習者、学習期間です。 クラスを開講し