アジア人ができる、黒人コミュニティーへの連帯を示すための20+のアクション
<はじめに>
今アメリカをはじめ、世界各地でBlackLivesMatterの運動が広まっています。先週に続き、東京でも明日(14日)平和的デモ行進が開催されます。私もこの運動に賛同するとともに、もっと知りたいと感じ、いろいろと調べてみました。その中で、Michelle Kimさんが書いた2つの記事が自分(アジア人)にとってすごく共感する部分と、勉強になると感じました。日本語を主な言語とする方々にもぜひ読んで欲しいと思い、Michelleさんに翻訳・掲載する許可をいただきました。
この記事はアメリカにいる人が主なターゲットとなっているため、少し日本と違う部分もあったり、日本ではなかなか聞いたことのない言葉や概念も出てきます。そして著者がリンク付けされているリソースはすべて英語になっています。そのため、少し補足を入れさせていただきました。(手伝ってくれた櫻井と緑さん、本当にありがとう。)私もまだまだ勉強不足で知らないこともたくさんありますが、こういった記事をきっかけにどんどん調べて、知って、行動につなげていこうと思っています。
<ここから先はMichelleさんの記事を訳したものになります。>
下記より原文もご覧になることができます。
アジア人やアジア系アメリカ人は、#AhmaudArbery さんの事件を含む絶えない警察暴行事件を受け、黒人の方々と連帯(ソリダリティ)を示すために何ができるのか?
韓国語訳はこちら (訳:The Social Understanding Initiative)
シアトルの Black Lives Matter集会に参加するアジア人 #Asians4BlackLives
撮影:Jama Abdirahman/The Seattle Globalist
多くの傷を負い、痛み、悲しみ、疲労がのしかかる中、アジア系の人々が黒人コミュニティーと、どのようにソリダリティを示せるかについて、迷っていることに気づきました。
この問題について、何かしらの投稿をすることに違和感を覚える人もいるかもしれません。自分には語る権利はない、と感じているかもしれません。間違ったことを言ってしまうことを恐れ、何も言わないことを選択する人もいるかもしれません。「政治」について語ることによって、職場での立場を心配する人もいるかもしれません。職場で誰も声をあげないのに、なぜ私が最初の一人にならなければいけないのかと、思っているかもしれません。友達に過激な社会正義戦士だと思われたり、厄介者だと思われたりすることを、恐れているのかもしれません。
理由はどうあれ、ソリダリティとアライシップ(同盟者・協力者であること)を示すための選択肢は、たくさんあることを知っていただきたいのです。社会正義やDEI (Diversity多様性, Equity公平性, Inclusionインクルージョン・包含)に対する意識や、活動レベルは人それぞれだと思います。今の状況は間違っていると少しでも感じているのであれば、その直感を無視せず、行動してください。
歴史的にもアジア人と黒人の間には、まだ癒えていない傷跡があります。そして今でも、黒人コミュニティーに対して行なってしまっている差別行動によって、新たな傷が作られています。黒人の方々が受けている差別は、白人によるものだけでなく、アジア人によるものでもあります。米国各地の中華街、アジアの各国、職場、SNSなどのネット上など、日常の中に差別は存在します。
生き残るために、一部のアジア系の人々は白人と肩を並べようとしていることもあるかと思います:白人のように功績をあげ、白人と同化し、白人と同じような尊厳や尊敬の対象になることだけを目指して。しかしこういう生活の中で、意識的に、または無意識的に、白人至上主義と反黒人主義の文化や価値観を身につけてしまっているのです。
でも私たちは白人と同じ自由度を得ることはできないし、それを目指すことが間違っているということを、頭の中では分かっているはずです。全ての人ーブラック(黒人)、ブラウン(褐色人)、アジア人、ネイティブ(先住民族)、LGBTQ+、障害を持つ方々、貧困層の方々、不法滞在者―が自由を得るまで、本当の自由が得れたとは言えません。
今、私たちアジア人の多くは苦しんでいます。ブラックやブラウンの人々のために悲しんでいるだけでなく、私たちも攻撃されているからです。人間は実に複雑ですが、優しさと勇気を持ってお互いを支い合えると私は信じています。長い間、苦しみ、悲しみ続けてきた我々の兄弟である黒人のためにも。
私たちが黒人コミュニティーのためにできる20+のことをリスト化しました(これから内容やリソースも追記していきます):
1.警察を呼ばない。これに対しては、皆さん色んな意見があると思います。もしかしたら「でも、警察は守ってくれるじゃん!」、「じゃあ、誰を呼べばいいの?」という反応が、一番先に出てくるかもしれません。ただ警察は、本当に私たちを守ってはくれませんし、これに関する多くの研究が行われています。こちらの記事を参考にされるか、この警察による暴行に関するサイトをご参照ください。
2.自分の内部に秘めている反黒人意識を掘り下げ、その意識がどのようにして生活の中で現れているかを考えてみましょう。
3.2番の根源となっているモデルマイノリティの概念について考えてみましょう。自分がモデルマイノリティの概念や、アメリカ例外主義*をどのように内面化しているか考えてみてください。
*アメリカ例外主義(American exceptionalism)他国とは本質的に異なる歴史をもつアメリカ合衆国は特別な歴史的使命をもち他国に優越する国であるという考え方(プログレシブビジネス英語辞典より)
4.世界中で黒人の方々が直面する不正義に関して、家族や友達と話し合ってください。例えば、当記事や、Kim Tranさんが書いたこの記事をシェアすることから始まります。
5.TGI Justice Project, Black Girls Code, NAACP等、黒人コミュニティーへの支援を行っている団体に寄付しましょう。ご自身の地域でどのような団体があって、どのようにして支援できるかを検索してみてください!
6.#AhmaudArbery さんのために声をあげてください:JUSTICEを55156に送信すると、署名活動に参加できます(*米国のみ)
7.#DreasjonReed さん(Reedさんのご両親は、Seanではなく本名を使用することを求めています)のために声をあげてください。まずは何が起きたかを読み、そこから何を学んだか、周囲の人と共有してください。
8.#BreonnaTaylor さんのために、声をあげてください。追っていたはずの容疑者が既に警察の保護下にいたにも関わらず、警察は違う家に侵入し、Breonnaさんを8回銃で撃ちました。この事件に対して未だ誰も罰されていません。(5月12日時点)この事件に対する行動をとりましょう。
9.無罪にも関わらず命を奪われ、未だジャスティスを得ていない人々について知りましょう。彼らを忘れないでください:Sandra Blandさん, Eric Garnerさん, Stephon Clarkさん, Botham Jeanさん…黒人に対する警察の暴行は、単独で起きているものではなく、構造的な問題であり、歴史的背景や現在に引き継がれた迫害に起因することを理解してください。
10.今も起きていることにも関わらず、メディアに報道されないトランスジェンダーの黒人女性の殺害事件について学んでください。2020年、少なくとも11名のトランスジェンダーの方々が殺されました。このストーリーをシェアし、 TGI Justice Projectなどのトランスジェンダー権利擁護団体に寄付しましょう。
11.ブラウン(褐色人種)でないアジア人対象:集会や抗議活動を行う際に、警察の近くに立ち、より脆弱性のある(差別の対象となりやすい人々)を守りましょう。
12.警察の暴行に対する働きかけをしているNPOや活動家、そして被害にあった方々のための募金活動を個人として企画し、呼びかけましょう。
13.黒人の友達や同僚にメッセージを送り、いつでも支えになれることを伝えましょう。その人のための居場所を確保したり、食事を注文したり。
14.黒人の人々のリーダーシップを見習い、活動をフォローしましょう 。そして、彼らの話をできるだけたくさん、繰り返し聞きましょう。
15.SNS等で、意識的に黒人オピニオンリーダーをフォローしましょう。黒人活動家やオピニオンリーダーたちの記事、投稿や呼びかけをシェアしましょう。私は Ijeoma Oluoさん、Rachel E. Cargleさん、Kimberly Bryantさん、Ericka Hartさん、Brittany Packnettさん、Kimberle Crenshawさん、Minda Hartsさん、Katrina Jonesさんなどから、多くのことを学びました。
16.アジア系の人種正義活動家やリーダーから学び、フォローや拡散しましょう。彼らの活動をモデルにしましょう。Mia Mingusさん、Kalaya’an Mendozaさん、Ellen Panさん、Kim Tranさんや Asian Americans Advancing Justice、Asian American Feminist Collective、18 Million Risingなどの団体がオススメです。
17.AAVE(黒人英語)を使用するのをやめましょう。ディジタル・ブラックフェイスであるGIF動画を使用する行為もやめましょう。
18.黒人の方々から教えてもらおうと思わないでください。彼らの負担をこれ以上増やさないようにしましょう。すでに存在する無料のコンテンツや、ソートリーダーシップを利用しましょう。
19.構造的人種差別や、人間関係から派生する人種差別を目撃した場合、声をあげましょう。
20.黒人のお客さんを見張ったり、監視したりするお店のオーナーに対し、異議申し立てをしましょう。
21.黒人の方々の痛みを軽視する医者に対し、異議申し立てをしましょう。
22.米国でのアジア系アメリカ人のさまざまな活動について学びましょう。この力強い活動を知り、勇気をもらい、ソリダリティを強めていきましょう。Zinn Education Project がオススメです。Liz Kleinrockさんのインスタグラム @teachandtransform の教材も参考にしてください。
23.ソリダリティと信頼に基づく同盟関係を築きあげましょう。アクションを計画、企画しましょう。
24.#NinaPop さんのために声をあげてください。
25.#GeorgeFloyd さんのために声をあげてください。
26.抗議活動、反対運動、デモを支援し、参加しましょう。反対運動で逮捕された人の支援も忘れずに。下記リンクに寄付先があります。
2020年5月28日更新:寄付を受け付けている団体のリンク(ありがとう、LeslieMacさん)
・(MFFは現在多数の寄付を受けているため、他団体への寄付を促しています)Minnesota Freedom Fund は抗議活動中に、逮捕された人の保釈を行なっています。これは非常に重要なことです。有罪判決を受けていないにも関わらず、保釈金が払えないため拘置所から出られない方々がたくさんいます。#GeorgeFloyd さんのために声を上げ、正義のために戦っている人々との連帯を示すために寄付をしましょう。
・Louisville Community Bail Fund は保釈を行うとともに、釈放後の食事や安全な環境で生活できるよう、支援を行なっています。#BreonnaTaylor さんのために声を上げ、正義を求めている人々のために。
・Reclaim the Block は警察の予算削減を目指している団体です。警察を増やすのではなく、暴力予防、住宅供給、若者の支援、メンタルヘルスの緊急対応、オピオイド中毒の危機対応に資金をまわすよう、ミネアポリス市に呼びかけています。
当リストは、私たちが今できることの、ほんの一部にすぎません。最も重要なのは、黒人の方々が殺害され続けている中、黙認せずに声をあげることです。あなたにもできます。一緒にやりましょう。
アライシップに関するリアルタイムでの投稿やリソースを見たい方は、Michelleの LinkedInをフォローしてください。Michelleは Awakenの共同設立者兼CEOです。
Awakenとは
思いやりを持てる場を作り、その中で普段なかなかできない対話を通して、包含的なリーダーやチームの育成を行っています。多様性やインクルージョンに関する表面的な話し合いには、もう辟易しています―もっと深い話し合いましょう。人と人が顔を合わせ、本質的な対話をする時がきました。行っているプログラム(対面型、オンライン型のワークショップ)の詳細は www.visionawaken.comをご参照ください!