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Mi-Keの『想い出の九十九里浜』は私に歌詞世界を見せてくれた
もう活動していない30年前の3人組のデビュー曲を語る。暇を持て余す中年の遊びの最たるものですが、お付き合いいただければ幸いです。
早速『想い出の九十九里浜』の歌詞に関して触れていきます。まずは冒頭。
別れたあの夏を忘れられないの
タイトル『想い出の九十九里浜』と合わせるとなんとまあ簡潔な舞台説明。そしてサビが
あぁ 九十九里浜
から始まります。分かりやすい。実に分かりやすいです。この曲が発売された当初、私は中学生でした。まだ世に溢れる曲の歌詞に関して何か意味を見出したり、解釈するなんてことは一切なく、歌詞は口ずさむ心地良さを享受するためのものでしかありませんでした。
実際、この曲も最初はそうでした。あぁ〜 くじゅうくりはまぁ〜♪と楽しんで口にしている程度でした。
ただ、テレビなどでこの曲を聴いていくうちに私の中で何かが芽生えました。それは一番のサビの箇所。
あぁ九十九里浜 夕陽が泣いている 君だけに愛を と 花の首飾り 好きさ好きさ好き ああ神様お願い
良くわからないのですが、頭の中に情景が浮かんできました。正直なところ今ではくっきりとは浮かんでこないのですが、当時は具体的かつカラーな光景が頭の中に広がっていました。
「夕陽が泣いている」「君だけに愛を」「花の首飾り」「好きさ好きさ好きさ」「神様お願い」という歌詞。こうやって並べるとさっぱり意味がわからないというか、物語はありそうだけど話がわからない。
2番のサビも同様でした。
ああ 九十九里浜 今は遠い渚 真冬の帰り道 落ち葉の物語 いつまでもいつまでも あの時君は若かった
「遠い渚」「真冬の帰り道」「落ち葉の物語」「いつまでもいつまでも」「あの時君は若かった」脈絡なく連なるこれらの言葉。脈絡がない分、めくるめく光景が脳内に広がっていきました。当時の私は訳はわからないけど歌詞が解った!という気になっていました。不思議な感覚でした。 これらの歌詞たちは良くわからないけど頭の中に世界を想起させる力がありました。今風に言えば『パワーワード』でしょうか。
実際、先に挙げた「」の歌詞。これらはグループサウンドの時代にヒットした曲のタイトルでその時代を彩った、本当にパワーを持った言葉たちでした。私はそのことを後に知りました。今になって妙に納得できます。
私はいまでも小松未歩さんの曲の歌詞の解釈を書いて遊んでますが、解釈する上で歌詞から想起させられた世界から妄想を広げていったりしてます。この感覚は『想い出の九十九里浜』での体験がもとになっていると思います。
歌詞解釈という点ではこの『想い出の九十九里浜』は私の原点です。
興味のある方は時間があれば聴いてみてください。
次回はMi-Keの3枚目のシングルである面で私の人生で最も衝撃的な歌詞が登場する『ブルーライトヨコスカ』に関して語ります。