小松未歩さんの『氷の上に立つように』の宇宙船と心の行方
この冬は普段あまり雪が降らない地域で10年以上ぶりの積雪があったり、冷え込みが厳しかったりしているようです。
ということで(?)今回は小松未歩さんの2ndアルバム4曲目で6thシングル『氷の上に立つように』で書いていきます。
『氷の上に立つように』において今回注目する歌詞は…
宇宙船が目の前に降りたら 迷わず手を伸ばし その船に乗り込みたい
と
光よりも早く遠く 心は飛んで行く
の2つ。この2つのそれぞれの行方を考えます。まずは「宇宙船」です。
この曲における宇宙船ですが、1番のはじめのほうにでてきます。主人公は宇宙船に対して随分とウェルカム態勢。乗りたいらしいんです。なぜか。
冒頭で「氷の上に立つように 危なげなことをしたい」と言ってます。主人公は宇宙船という謎乗り物に乗りこむことで「危なげなことをしたい」欲求を満たしに行っていると考えられます。しかし、友だちを残して地球を旅立つというのは、危なげなことをしたいと言う欲求だけで行うにはちょっと弱い気がします。この宇宙船に関して、主人公は行く先を知っている、あるいは特定の場所に行くことを想定しているのではないか。では、宇宙船の行き先は?となると歌詞を見るに2択です。
「望み続けた場所」 または 「君」
この2つが同じ場所なら良いのですが、多分違います。
「望み続けた場所」は、2番に出てきます。
途中で放り投げないように私らしく行こう 望み続けた場所で生きているんだから
という「望み続けた場所」です。いつから描いていたかはわかりませんが、将来の夢、それを叶える場所。そりゃ、宇宙船に乗りたくなります。
一方「君」です。1番の「本当は逃げてる 君のいない日々に負けて」から見るに、確かに危なくても宇宙船に乗りたい気持ちになります。ただ、逃げの一手です。「望み続けた場所」とは随分と見える景色が変わります。
まあ、宇宙船に関しては「乗り込みたい」という空想話なので、実際のところはその時々の心理状態によって揺れている際に両方持ちうるものだと思います。ただ、切り取り方によって受け止め方は大きく違うとは思います。
そして今度は「光よりも速く遠く 心は飛んで行く」です。この心、どこへ行くのか…
「君のもとへ」なのか「君から離れて」なのか。全くの逆方向です。
こちらの解釈はその前に出てくる歌詞から類推します。
前髪を少し短くしただけで 生まれ変われちゃうそんな考え方が好きよ 素顔のままでいたいから 内緒よ恋をしたって。
この歌詞の私の解釈は
前髪を切って多少吹っ切れた(またはまだ全然吹っ切れていない)けど、君が別の人と恋してると聞いたら流石に動揺するから、それは私には内緒にしててね
です。で、ここから「心は飛んで行く」のですが…。これ、どうしましょうか?
せめて心だけでも遠く離れている「君」のもとへ飛ばして、記憶の中で「君」と会っていたい
と見るのか
未練を断ち切るために、心理的に依存しないためにも「君」から遠く離れて行く
なのか。私は後者で解釈してますが、気持ちの距離て時間とともに離れられるところもあるので、前者の解釈もその過程にある状態としては不自然ではないと思います。
ということで、今回の『氷の上に立つように』に関しては以上です。個人的には宇宙船に乗りこむことは氷の上に立つよりも遥かに危険だと思いますが、小松未歩さんは「氷の上に立つように」をどのレベルで想定していたのかが気になります。氷は「薄氷」なのか「スケートリンク級」なのか。「スケートリンク級」の氷にハイヒールで立っていたりとか?
次回は『手ごたえのない愛』です。お楽しみに!