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Mi-Keの『想い出の九十九里浜』に見る追憶への誘い

 みなさんこんにちは。花の砂時計です。小松未歩さんの曲であれこれ言う事が多いのですが、今回は今更ながらですが1990年代初頭に活躍したMi-Keというグループの曲の歌詞であれこれ言います。

『想い出の九十九里浜』とは

 40歳以上の方ならご存じの方は少なくないと思われますがMi-Keのデビュー曲『想い出の九十九里浜』
 この曲はグループサウンズをモチーフにした作りで、その後に出すアルバムも『想い出のG・S九十九里浜』というタイトルでありアルバム内ではグループサウンズの曲をいくつもカバーしています。
 1990年代においてグループサウンズは20年ちょっと前の時代のものであり、どうしたって懐かしさがつきまとうものでした。

 そんな背景を持つ『想い出の九十九里浜』ですが、曲の作りだけてはなく歌詞もグループサウンズらしさを出してきます。
 グループサウンズの名曲のタイトルが散りばめられています。

 夕日が泣いている
 君だけに愛を
 花の首飾り
 好きさ好きさ好きさ
 神様お願い
 バラ色の雲
 長い髪の少女
 遠い渚
 真冬の帰り道
 落ち葉の物語
 いつまでもいつまでも
 あの時君は若かった


これら12の曲名を見てグループサウンズを生きた当時の30〜40代の方達は懐かしさのあまり思わずニッコリしていたものと思われます。

音のみならず歌詞(言葉)でも

 懐かしさに思わずニッコリ

もう一度書きましたがこれは、曲の作りということにより呼び起こされる懐かしさもありますが、同時に歌詞によって聴き手を追憶の世界へ旅立たせる絶妙な仕掛けがあったからだと思われます。

 真冬の帰り道 落ち葉の物語 いつまでもいつまでも あの時君は若かった 想い出の九十九里浜

この歌詞における時間の流れが秀逸なんです。

 春→夏→秋→冬→春→…………

時間はこういう順で流れます。
 一方でこの曲は「真冬」という言葉の後に「落ち葉」という秋の言葉が来ます。これにより時間の流れが逆向きで進みますよ、といいます。
 そのうえで「いつまでもいつまでも」と過去へ過去へと進ませます。この「いつまでもいつまでも」という繰り返しの言葉を用いることで加速度を上げてより深く、より遠くの過去の世界へと誘う効果が増します。そこからの

 あの時君は若かった 想い出の九十九里浜

です。これがなんとも絶妙!
 いつまでもいつまでも、でけして近くはない過去へと意識が飛んだところで「あの時」「若かった」「想い出」という言葉達。
 グループサウンズを耳にしていた、脳内で具現化される記憶を持つ当時の30〜40代の聴き手には抗えない懐かしさがあったのではないでしょうか。

最後に

 この『想い出の九十九里浜』ですが音楽評論家の斉田才さんが夏の定番曲として挙げられていました。

https://note.com/19640226/n/n46ecad0cb2bd?sub_rt=share_b

 確かに「別れたあの夏」「あの頃二人とも小麦色してた」という歌詞があり夏の曲という側面はあります。というか確かに夏の曲ですが現在進行形の夏ではなく「追憶の夏の曲」であり、夏の曲というと夏の今聴きたい曲というイメージが強いですが『想い出の九十九里浜』は聴く時期をあまり選ばない夏の曲といえると思います。
 聴いたことのない方は一度聴いてみてください

 ということで本日はこの辺で失礼します。

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