ちょいちょい書くかもしれない日記(歯医者さん)
朝から、お世話になっている不動産屋さんがお越しになった。
探していた大事な書類を、わざわざ届けてくださったのだ。
実家の売却方針含め、色々な話をして、今最高に推しているお菓子とヤベェ(天ぷら)粉をお土産に持ち帰っていただく。
お互いにお菓子と家電が好きなので、お会いするたびに情報交換がはかどる。
関係者でも何でもないのに、ダイソンの象の鼻みたいなドライヤーと、バルミューダのリベイカーを熱く語ってしまった。
そろそろバルミューダは私をちょっとくらい褒めてくれてもいいんじゃないかと思うレベルで、色んな人にリベイカーを勧めている。
実家も、両親にとっては実に不本意な値段に落ち着くだろうが、何とか売れるといいなと思う。
固定資産税は勿論つらいが、それ以上に実家を見ているのがつらい。
誰も住まない家がどれほど素早く荒れていくかは、この1年で思い知った。
毎日風を通し、抽選でゲットしたルンバに掃除を頑張ってもらっても、荒廃を押しとどめることはできないのだ。
今年のはじめ、住宅の状態をプロに評価してもらったのだが、評価は厳しかった。
頑丈に建てすぎたせいで、更地にすることは現実的でないと言いたくなるほど困難。
リフォームも、阪神淡路大震災でコンクリート壁がけっこうシビアにダメージを受けていて、なかなか大変な規模になるとのこと。
そうなると、この先、景気がどうなろうと、実家が高値で売れることはないと、弟とも話し合った。
それよりは、ダメージがリカバリー可能なうちに、誰か活用してくれる人に繋ぎたい。
弟は「タダでもええよ。誰か寄付させてくれんかな」と真顔で言うが、さすがにそういうわけにはいかないので、まあ、お互いに納得できる相手とご縁が繋がるといいと思う。
もちろん、長く暮らした実家が他人の手に渡ることに寂しさがないといえばそれは嘘になる。
まして私は、他人のものになってからも、元実家を毎日、目の当たりにすることになるのだから。
それでもなお、「このままではヤバい」という気持ちが圧勝するほど、家の荒廃というのは恐ろしいものだ。
ほぼ1年ぶりに、歯医者さんのお世話になりたいことができて電話してみたら、「今日の午後は如何ですか?」と言われ、ギリ間に合う! そして今日なら行ける! ということで、急遽出掛けた。
何しろ片道1時間半かかるので、ちょっとした遠征気分である。
歯医者さんは、父のマブダチで、80歳を軽く越えておられる。
とてもお元気な方なのだが、当初はとてもクールに受け止めていた父の死が、ボディブローのようにジワジワ効いたらしく、「あいつが死んでから、何もかもがつまらん!」とでっかい声で嘆いておられた。
年上の友を悲しませるなんて、悪い父である。申し訳ない。
何しろ、先生が父のお墓に行きたいと思ってくださるまでに、1年かかった。
墓石を見たら、死んだと確信できてしまうのが嫌だったらしい。わかる気がする。
あれこれと話をしながら……というか、なんで歯医者さんって、盛大に歯を削っている最中にフツーに話しかけてくるんだろう……ガタのきた奥歯を整えていただいた。
ところが、話はそれで終わらなかった。
前々から懸案事項だった前歯の一本が、かなり思わしくないコンディションらしい。
ちゃんと歯根部が生きているうちに、腹をくくってセラミックにしたほうがいいタイミングだと告げられ、思い切ってお願いすることにした。
しばらく通わねば。
道中、あまりに暑くてヤバい感じの睡魔に襲われたりしたけれど、歯医者さんがある街は、未だに昭和の木造の長屋が残っていたりするので、歩いているだけで勉強になる。
それにしても、父の知り合いに会うと、もれなく「賑やかでお喋りで楽しい人だった」と言われて、面食らうのは何なんだ。
そんな父は知らん。