ちょいちょい書くかもしれない日記(ピアノ調律)
ピアノどころではない日々を送っているので、蓋すら開けていない昨今だが、我が家にはピアノが一台ある。
私の曾祖父がヤマハで誂えたという、ド古いものだ。
塗り直す前は漆塗りだったというし、鍵盤は白鍵が象牙張りである。
もう、二度と作ることができないピアノだと思うので、大事にしたい。
本当は仕事部屋に置きたいけれど、場所がないので、備蓄部屋の主となっている。たいへん申し訳ない。
というわけで、年に一度お願いしている調律の日が巡ってきたものの、調律師さんに入ってもらうのは、備蓄物資と共に実家からサルベージした物品で溢れた空間である。
まことに、まことに申し訳ない。
しかし、梅雨の湿度をもろに食らった除湿剤を交換し、備蓄部屋リフォームの際、大胆に動かされたピアノの調律をお願いしないわけにはいけないので、来てもらった。
だいたいいつも違う調律師さんが来るのだが、今回は、そこはかとなく綾野剛似の若い男性だった。
猛烈にタバコ臭い。いや別にいいんだけど、今どき珍しいので驚いた。
煮しめたように全身からタバコ臭が放たれている。
たぶん、前の仕事からすぐうちに向かってくれたらしいので、車を運転しながら豪快に吸ったのだろう。かたじけない。
調律師さんによって、めちゃくちゃ曲を弾くことと、そうでもない人がいる。
今回は、そうでもない人だったらしく、わりと早く調律が終わった。
やっぱり弾かないと、色々と不安定になるらしい。
スケールだけでもいいから弾いてもらえると、と言われた。
いやスケールだけ弾くって、どんな求道者だよ……。嫌いじゃないけど。
たぶん、スケールは鍵盤の隅から隅まで使うので、バランスよく調整できるという意味なんだろうな、と後で思った。
乾燥剤は贅沢に6つ入れてもらった。
パイナップルジュースとトウモロコシのおかきを出しておいたら、どちらもなくなっていて嬉しかった。
調律師さんはあまり飲み食いしない人が多い印象なので。
せっかくのピアノだし、サイレンサーもつけたし、毎日30分ずつでも弾くかねえ……と思うけれど、性格的に、教室に通って、監視の目とノルマを設定しないと続かないと思う。
とりあえず、うちの末っ子猫と、最初期にうちでお世話していた友人宅の猫がボロボロにしていったピアノカバーは、さすがに買い換えようと思う。
その昔、母が気に入って選んだカバーだったので、古くなっても何となく交換し難かったのだけれど、子猫たちが踏ん切りをつけられるようにしてくれた。