ちょいちょい書くかもしれない日記(ビールと靴)
仕事部屋の小さな冷蔵庫の奥から、これまた小さなビールの缶が出てきた。
たぶん、ふたくちみくちくらいの量のスーパードライだ。
友人はビールを飲むけれど、たいていクラフトビールの類で、スーパードライは飲まない。
ああ、これは父が持ってきて入れたものだな、と察した。
何年も前、膝を負傷してろくに動けなかったとき、父は実家で暮らしている私の猫を、私の家にときおり連れてきてくれた。
猫は実家をテリトリーと定めているので、私の家には結局居着かなかった。
私と再会を祝して大はしゃぎしても、しばらくすると「もう帰る!」と騒ぎ出すので、父はそれを私の仕事部屋で持参したビールを飲み、テレビを見ながら待っていたのだ。
そのときの飲み残しが、ずっと冷蔵庫に潜んでいたのだろう。
大して会話はなかったけれど、「お前んとこのテレビは大きくてええなあ」と言いながら、テレビの前に胡座をかいていた父の姿が、ふっと見えた気がした。
この家で、父とふたりで過ごしたのはあのときだけだった。
確かにこの部屋にいた父も、私の猫も、もういない。
代わりに5匹の猫が、呑気に過ごしている。
学校で休み時間にスマホを立ち上げたら、弟からメッセージが入っていた。
母の施設から連絡があって、母の靴の底がすり減り、滑り止めがきかなくなっているそうだ。
今、施設の出入りの業者さんが持ってきた靴を試しに履かせて貰っているので、具合がいいようなら姉ちゃんお金払いに行って、とのこと。
いやいや、実際に履いちゃったんなら、合おうが合うまいがお金は払わなくちゃでしょ。
母の両足首は酷く変形していて、フィットする靴を探すのが(本人を連れていけないので余計に)とても難しい。
業者さんが見繕ってくれた靴が合うといいのだけれど。
にしても、ずいぶん歩くようになったんだなあと驚く。
足が痛まないはずはないので、痛覚が鈍ったんだろうなと推測しつつも、苦痛が減るのはよいことだと考えよう。
学校から帰ると、やはりヘトヘト。
料理めんどくさいなあ……と思ったので、お風呂に入る前、鍋用の野菜ときのこを平ざるにこんもり載せ、大同電鍋のスイッチを入れた。
お風呂から上がって髪を乾かす前に、かさがぐんと減った野菜の上にお肉の薄切りを載せて、お水をちょい足しして再びスイッチオン。
髪を乾かして戻ってきたら、いい具合に出来ていた。
胡麻ダレで食べると、とても美味しい。
鍋にするとついシメを食べずにいられないので、軽く済ませたいときは、こっちのほうがいいかもしれない。
調理中、蓋がカタカタ元気に鳴るのだけが玉に瑕だけれど、大同電鍋、今からの季節は出番が増える。頼もしい料理番だ。
とはいえご飯もちょっとだけ食べたいな……と思ったので、例のカップお茶漬けをひとつ消費した。
こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。