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ちょいちょい書くかもしれない日記(酢豚)

もう最初に言っておこう。
酢豚にパイナップル、入れる派なのよ。
何なら炒飯にも入れるし、ピザにも載せるし、食べたあとのヘタを植えて育てて増やしたりもしている。
パイナップルが好きなのだ。
しかも、料理に使って、しょっぱい味と組み合わせるのがたまらなく好きなのだ。
というわけで、久し振りに酢豚が食べたくなった。
材料を揃える時点でそこそこまとまった量を作らざるを得ないことがわかっているので、一人暮らしになってからは敬遠してきた。
でも、食べたい。
市販のお惣菜を買えば済むようなことだが、酢豚についてはちと厳しいところがある。
というのも、私は肉の脂身が総じて苦手なので、酢豚は豚もも肉かヒレ肉を使う。
市販品だとたいていバラ肉なので、私にはいささか脂が強すぎる。
そして、パイナップルも大量に投入したい。
売り物ではまったく足りない。
そんなわけで、納得できる酢豚を自力で作ることにした。
自力といっても、あんはクックドゥのお世話になる。話が早くて安定の美味しさ。
材料をきりよく使いきりたいと思ったら、やはり深いフライパンいっぱいにできてしまった。
酢豚は冷めてからもおいしいので、別に構わない。分けて食べればいいのだ。
ただ、作るとき、当たり前みたいに玉ねぎをたくさん切ろうとしてハッとした。
「酢豚の玉ねぎ大好きだから、いっぱい入れてね!」
いつもフライパンを覗き込んでそう言っていた母は、もう実家にはいない。
母がお世話になっている施設は、入居者を守るためのルールが徹底していて、手料理やなまものを差し入れすることが原則的には禁じられている。
とにかくルーティンを乱されることが苦手な母を施設から連れ出すのも、現時点では難しそうだ。
いつも私が作ったごはんがいちばんおいしい、どんな店の料理よりおいしいと言ってくれていた人を思いながら、二個出した新タマネギを、一個冷蔵庫に戻した。
なんだかとても悲しくなったところで、父が酸っぱい料理を嫌っていて、酢豚は肉とパイナップルだけ摘まんでごちそうさましていたことまで思い出した。
あんにゃろう、と思いながら仕上げて盛り付け、ひとりでもりもり食べた。
まだあと二食分くらいある。

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椹野道流
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