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ちょいちょい書くかもしれない日記(骨ポキ)

朝、「やっぱり今日、お母様を病院に再診させたほうがよいと思うので、現状把握のために同席してください」と、施設から連絡があった。
予想はしていたので、とにかく施設に出向くことにする。
到着したら、もう母は病院へ運ばれた後だった。
すぐ筋向かいの病院へ行くと、ちょうど検査が終わったところ。
診察室に入り、レントゲンを見るなり、つい「あー」と声が出た。
大腿骨がポキリと首折れになっている。
そんな気はしていた。
ただ、何だかちょっと……と首を傾げたら、ドクターが「これ、昨日今日折れた奴じゃないですね」と仰る。
デスヨネー。なんかフレッシュ感がないわ。
これまで何度も転倒したらしき母は、そのうちのどこかで骨折し、しかしそのまま立ったり歩いたりすることがどうにかできており、昨日のダイナミック転倒が、ついにトドメを刺したのではないか……とのこと。
とにかく手術が必要なのでこのまま入院を、そのための各種検査と手続きを……と、奔流のように話は進み、あっという間に、明日の夕方に大腿骨頭置換術の手術が決まった。
「僕はここんちの子じゃないので、オペのお手伝いには来ますけど、主治医は別の先生です」
という若いドクターの話しぶりがなんかちょっと可愛くて和んだのも束の間、そこから地獄の忙しさである。
何しろ、1年ぶり2度目の、入院にまつわる山のような書類を処理するかたわら、何をするにも「それは承知できないわ」「そんなの嫌」「やりません」「帰ります」を連発する母を宥め、説得する作業があるのだ。
さすがあの祖母の娘。キレ方がそっくり! なつかし!
言うてる場合か。似んでええねん、そんなところは。
ヘトヘトになりながらとにかく穏やかに声を掛け続け、どうにか検査と処置を次々とクリアして、母を病室に辿り着かせることに成功した。
さっそく出されたお昼ご飯を、母はお箸をスプーンのようにぎこちなく使いながら、吸い込むように食べた。
ダイソン。そんな社名が頭をよぎる。
祖母もそうだったが、母もなんというか、生きようとする力が強い。
和風の煮物の匂いが凄く美味しそうで、ああ、私、朝から何も飲み食いしてないや、とそのとき初めて気づいた。
でも、空腹を感じる余裕がない。私の方が、生き物としてよっぽど弱いやないかい。
とにかく、病棟担当の看護師さんによろしくお願いしますと挨拶をして、車いすや着替えた服などを施設に持ち帰った。
施設の人たちと情報を共有し、病院から日常的なケアについての問い合わせがあったら応対してくれるようお願いする。
父のときと違って、母は、自分の身に何が起こったかも、これからどんな治療が必要になるかも、きちんと理解することができない。
認知症の患者が入院して治療を受ける難しさを痛感しながら、帰宅した。
さすがに今日の明日では仕事の都合がつかず、明日の手術中、病院で待機することができない。
講義をしながらソワッとしてしまいそうだが、いても私にできることはないので、割り切らねば。
感染症対策で、面会時間もなかなかハードルが高い。次に母に会えるのは、週末以降になりそうだ。
とにかくもう、疲れた。ヘトヘトに疲れた。
家に帰り着いて、猫たちの世話をしたらもう限界が来て、バッタリ倒れていた。さすがに何か食べないとヤバいが、作る元気がない。
冷凍庫にあったスープカレーに命を救われた。

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椹野道流
こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。