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大人のための“都市鉱山”入門 お金になる E-scrap 電子基板編

巷では、「五輪メダル 🏅 を都市鉱山からつくる!」とか、「地下資源依存からの脱却」、「日本は、 #都市鉱山 #資源 に恵まれている」といった話が頻繁にされるようになりました。

昨今、いわゆる #SDGs 🌎 の文脈の中で、環境に対する施策が具現化され、人類の意識変革が進み、もっと実利的な“経済対策”としての #グリーンディール といったパワーワードが生み出されました。実際に、欧州を中心とした“大陸”では、リニア型産業構造からの脱却を喫緊の課題とし、循環型への切り替えを進めるべく、様々な施策が実行に移されています。

個人的な理解の範疇を超えませんが、平たく言ってしまえば、「資源の囲い込み戦略」であり、「新たな“鉱山利権” 💰 の再定義」であると、筆者は考えています。リニア的な産業構造のもとでは、商圏や商流が世界中、縦横無尽に張り巡らされてきました。一方で、域内、圏内でのサイクルを前提とした産業構造は、そのサークルの中での経済活動に重きを置きます。そして、エコシステムが堅牢であればあるほど、インナーサークル(利権の中心)は、効率よく、盤石な利益を生み出すことができます。

そもそも、都市鉱山における“鉱石”ってなんだろう

有史以来、我々人類は、地中に眠る金属を掘り起こし、「どうにかこうにかして」純度の高い、有用なマテリアルとしての金属をつくることに心血を注いできました。

山師 🔨 と呼ばれる技術者集団が、野山を駆け巡り、経験と勘を頼りに、目標とする金属のヤマを掘り当てる。そんな悠久のロマンが、鉱山には存在します。彼らが持ち帰った“鉱石”は、いわゆる“精錬”や“精製”といった工程を担う専門家集団の手を経たのちに、製品加工を担う職人のもとへ届けられます。

翻って、現代の鉱山は、なにを“鉱石”として利用してゆくのでしょうか。

結論を言ってしまえば、金属を含むくず(スクラップ)です。昨今、特に問題視され、新たな利権の再定義が盛んに行われているのが、電子機器💻由来のそれです。

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(家電、機械の電源由来の基板イメージ 👆 )

欧州では、電子機器類を #EEE (電源や電池が供給される回路や電気部品を持つ幅広い製品)と定義し、それが、「所有者が再利用の意図を持たずに廃棄物として捨てられた時点」で #E-WASTE ( #E-SCRAP ) と呼ばれます。

参照: 国連大学 "The Global E-waste Monitor 2020: Quantities, flows and the circular economy potential" -

https://collections.unu.edu/eserv/UNU:7737/GEM_2020_def_july1.pdf

つまり、電子機器類の基板や、その周辺部品は、鉱石の代替品になりえるということです。もっと言ってしまえば、「カネ 💰 になる」ということです。

国連大学の発表によれば、「世界の電気電子機器廃棄物(e-waste、バッテリーまたはプラグを搭載した廃棄物)の発生量が、2019年に5,360万トンにのぼると明らかにしました。わずか5年間で21%増加」したそうです。

仮に、そのすべてが適正に処理されなければ、地球環境にとって由々しき事態 😖 である(重金属や有害物質を含むため)ということは明白です。実際に、世界で適正回収・利用されているのは、発生全体の2割程度と言われています。

ただ、適正に処理する術、それらを適正に回収する術があれば、ハナシはまた違ってきます。この表現が“適正”かわかりませんが、地下資源が枯渇⇊する一方で、反比例するかのように E-WASTE は増加⇈しています。つまり、「“新たな鉱石”を使って、製品を再生させる産業は、これから成長 ✨ してゆく」のです。

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結局のところ、E-WASTE のなにがカネを生むのか

これは、単純に「価値のある金属」が含まれていることの他にありません。一般的には、金、銀、プラチナ、パラジウム、銅を E-WASTE の中から、「どうにかこうにかして」回収し、精錬し、インゴットとして製品化するための“原料”として、精錬事業者が買い上げるのです。故に、金銭的な価値 💰 が生まれます。

(この“一般的”という表現が曲者でして、実際には、他の有用な金属も含まれています。ただ、それらは、「回収できる量が、左記の主要金属に比べ、極端に少ない」ことや、そもそも「回収技術が確立されていない」といった様々な理由のもとで、精錬事業者は、基本的にそれらを評価しません。また、ややこしいハナシになりそうなので、今回はそれには触れません。ひとつ言えるのは、「これまで回収・評価の難しかった金属を、有用・有価に還元できる企業は強い」ということです。)

金属の地金(インゴット)には、国際的な金属相場が存在しますので、精錬事業者は、相場の上げ下げに則って、買主と売主、お互いが取り決めをしたタイミング・建値をもとに、①スクラップの中から回収できた金属の量を分析し、金属そのものの評価を算出 ⚖ します。次に、②その金属を回収するにかかった費用を算出 ⚖ します。最後に、①から②を引いた金額を③最終的な取引全体の評価額として算出 💰 するのです。(費用の方が、金属評価を上回る場合もある。)

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いろんな解釈があって当然だと思いますが、筆者が、「グリーンディールは経済政策だ」と言い切った理由は、ここに横たわっています。

確かに、環境負荷を低減するための“環境政策”と捉えることもできますが、それは、結果論であって、本質は「効率的に、経済的に、カネ 💰 をつくり出す」ことにあると筆者は考えています。いわゆる「 🐓 鶏が先か、卵が先か 🍳 」の論理です。

「基板(E-WASTE)がカネになる」ことを知っている人間にとって、「金メダルをつくるために、携帯電話を集めましょう!」といった“お触れ”は、戦時中の金属供出キャンペーンに似たものを感じさせます。

売れるのにね。😂

カネになる基板って、こんな感じ

昔の機械から得られるスクラップです。

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黄色い部分が、ゴールドのめっきです。

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コンピュータ・通信機器の基板なんかも、評価が高いです。こういった基板の中から、金、銀、プラチナ、パラジウム、銅が回収されます。

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ものによっては、キロ当たり1万円以上の評価が出ることもあります。

但し、技術革新のもと、ハイテク機器における貴金属やレアメタルの使用量は、確実に減少傾向にあります。目利きが必要です。

※また、精錬事業者へ直接販売するには、相当量を集め、受け入れ側の検収規格に則った荷造りが要求されます。

要は、めんどくさい 💦 です。

もっとも、手っ取り早く換金 💰 するには、最寄りのスクラップ屋さんに持ち込むことだと思います。キロ単位での買い取りをしてくれる業者さんが、ほとんどです。

各社“それぞれの”買取価格や、検収の基準を持っているので、まずは比較してみて、条件の良い業者に声をかけることをお勧めします。

その買取価格に根拠はあるか

閑話休題。問題は、ここにあります。E-WASTE の価値判断は、非常に難しいです。

卑近な例で言うと、電気工事のプロが扱うような太い電線は、その被覆(樹脂)部分を取り除くと、純粋な“銅のくず”として流通します。なぜならば、「誰がみても、銅 🥉 」だからです。

一方で、E-WASTE は、様々な用途・グレードの電子機器が一緒くたになるため、見た目で、どれだけの有用な金属が見込めるのか、どれだけの量を実際に抽出できるのかということは、絶対的にわかりません。😵

パソコンは、製品自体の大きさが同じでも、製造された年式やモデルによって、機能がまったく違います。同様に、回収される金属の量も劇的に変化しています。白物家電にしても、なんにしても、同じことが言えます。

そういった「期待値を安定させるための取り組み」として、欧州では、EEEを「54の異なる製品中心のカテゴリーに分類」しています。この分類は、UNUKEYsと呼ばれています。そして、E-WASTEは、廃棄物管理上の特性ごとに対応した6つのカテゴリーに分類されています。

1. Temperature Exchange Equipment(熱交換器機)
2. Screens and Monitors(スクリーン、モニター)
3. Lamps(ランプ)
4. Large Equipment(大きなもの)
5. Small Equipment(小さなもの)
6. Small IT and Telecommunication Equipment(小型情報通信機器)

https://ric.werecycle.eu/Wiki/WEEEE

つまり、スクラップから原料へ、効率的に昇華させるためには、粗方、「期待値(アウトプット)を安定させる必要」があるようです。これは、通常の地下資源の鉱山開発でも、同じような手法がとられています。いわゆる、「品位を安定させる」ということです。

繰り返しになりますが、「アウトカムとしての価値 💰 判断が常に一定ではないから、できるだけ同じようなグループにわけて、それぞれの特性ごとに加工して、それぞれに最も適した方法で、原料を回収しましょう」という思想です。

均質化すれば、価値のある原料の量を推し量る際に、“ブレ”が少なくなるし、エコシステムや分析に係る規格が明文化されている条件下においては、分析のスコアが定量性を持ち、妥当性を生むのです。つまり、“鉱石”の価値 💰 判断の根拠が、常に存在するのです。

“それ(期待値や利回り)”が明確であるからこそ、金融との親和性が高く、“経済政策”としての役割を担うにふさわしいと思います。

欧州出羽の守ではなく

筆者が、ここで明確にしておきたいのは、「欧州では~」とか、「環境先進国では~」といった、日本の現状を憂う 😂 ような悲観論ではありません。

これまで述べてきた欧州の“経済政策”は、確実に、世界的な“当たり前”になります。それを踏まえたうえで、現行の日本における“環境政策”が、自分たちの生活になんのメリット ✨ をもたらしてくれるのか、経済合理性が本当にあるのか、真剣に考える時期が到来したのだと考えています。

もっと実利的なことを言ってしまえば、「これ、まだ、ゴミにするべきじゃないよな。もう少し、使ってみようかな。うーん、誰か、これ欲しいって言ってくれる人いないかな」といった、当たり前の“もったいない精神”を発揮しないと、美味しいところは、全部、大きな会社に持ってかれるような気がしてならないのです。

なぜならば、盤石なエコシステムは、どこに持っていっても、機能してしまうからです。「欧州で成功した事例だから~」とか、「中国のハイテク企業も実践している~」やり方を、そのまま導入したときに、いちばん美味しい部分 😋 は、誰が享受できるのでしょう。

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