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エル プラネタ  (ネタバレあり)

観ました。(アマゾンプライムビデオ配信)

ネタバレに近いかもしれませんので、あらかじめお伝えいたしますね。



ズバリ、テーマは

<貧困> だと思いました。なかなかの作品と思います。2021年の作品ですが、全編モノクロで、スマホもパソコン通話もある現代のお話ですが、どこか古い作品のようなノスタルジーを感じます。

主演のアマリアウルマンが監督でもあります。(まだ若き女性)  

家賃滞納、食べるものもなく、電気も止められる生活。その一方でそんなこととは無縁のように虚構の煌びやかな生活をする親子。 深刻な<貧困>の中にいながら、SNS映えする生活を<無邪気>に送る母と子。

社会的弱者となって、シェルター生活を本来送るような日々でありながら、「カードはまだ使えるわ」と、デパートで買い物する二人。生活苦を深刻に口にすることはなく、どこかあえてそこから目を背けているようにも思われます。  返済不可能な借金、万引きなど、犯罪と隣り合わせの日々。一瞬、刑務所ならば食事付きの住居であるし、結構美味しいらしい、とクールに話す母親に、なんとも言えない脱出不可能な閉塞感、を感じました。

ラストシーン、母親が家を出ていかねばならない状況のとき、娘には何も言わず、顔も見ずに出ていく件が、なかなか複雑な気持ちになりました。まるでデートに出かけるように、身だしなみを整えて、ステイタスの象徴である毛皮のコートを羽織って部屋を後にします。

その後 「ママ?」と何度も叫ぶ娘の声。

今日、<貧困>は遠いどこかの国の話ではなくなりました。無力な政治、抜け出るすべのない底なし沼のような<貧困>。スペインが舞台ですが、皇太子など王室のパレードなどを平行に描くのは、貧富の差を究極な形で、表しているのかな、と私は感じました。

どん底の人は富豪の生活を知るよしも無いですし、逆も同じ。連鎖が繰り返されるのでしょう、どの国も。

作品としてはとても面白かったのですが、なんとも重たい気持ちになってしまいました。

モノクロのおしゃれな芸術作品という視点で観れば、良いのかもしれませんね。

国際映画祭でも絶賛されたこの作品。機会があれば是非 !!


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