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車中泊旅行必携のサイクルキャリア フェリー乗船は注意を
猛暑にあえいだ夏が去り、やっと秋になった。これからの季節は旅に最適だから、計画を立てている人も多いだろう。旅先では車に自転車を搭載できる「サイクルキャリア」が重宝する。私は運動量がハンパない猟犬・マイヤーと一緒に行動するため、絶対に欠かせない装備のひとつだ。とても便利なキャリアだが、フェリーに乗船する時には思わぬ罠も潜んでいる。走るホテルの愛好者は、どうぞご注意を。
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400回を超える車中泊で、私は代々飼育してきたブリタニー・スパニエル犬たちと一緒に眠った。
4代目のマイヤーはとくに元気が良く、朝夕走り回らないと気がすまない。いつもなら林道に出かけるのだが、あちこち泊まり歩く旅行では自転車で走らせる。ちんたら散歩しようものなら、とたんに機嫌が悪くなる。
乗りなれた自転車を運ぶサイクルキャリアは、旅の必需品だ。
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車に自転車を積む方法は3つある。車内に入れると安全だが、その分狭くなってしまう。ルーフ上に載せると車高が高くなり、立体駐車場に入るのが難しい。私は以前、自転車の存在を忘れたまま勤務先の屋内駐車場に乗り入れ、建物の天井を派手に壊したことがある。
現在の走るホテルは、トヨタのノアである。どんなサイクルキャリアにするか検討した結果、後部ドアに取りつけるTERZО(テルッツォ)の製品を選んだ。
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ネットでの販売価格は1万7000円ほど。初めて見た時には、どうやって使うのか少し悩んだ。
キャリア本体は強化プラスチックで出来ていて、5本のアームを備えている。後部ドアの下部にあるバンパーの上に2本のアームを乗せ、上部のアーム1本はリアガラスにあてる。ほぼ水平に伸ばした2本のアーム上に自転車を載せ、3カ所を固定する仕組みだ。
キャリア本体は6本のベルトで車体に取り付ける。うち2本は後部ドアと車体の間を通して車内に入れ、小さなダンベルのような部品で固定する。ドアが閉まった状態なら外れることはない。このベルトが一番大切な役割を果たし、キャリアをしっかりと吊り下げている。
さらに、2本のベルトがドアの左右に伸び、締め上げることでキャリアのぐらつきを抑える。ドアの下部にも2本が伸び、上下の動揺を防止する。文章にするとややこしいが、要するに車の後部におぶい紐をつけ、キャリアと自転車を「おんぶ」させたような状態だ。
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「こんな簡単な装置で自転車が落ちてしまわないのか」。
いざ出かけようとして心配になったが、サイクルキャリアは巧妙に設計されている。自転車を載せてしまえば、それ自体の重さでベルトがピンと張るのだ。6本のベルトを増し締めすれば、キャリアはびくともしない。車が悪路に入っても、自転車は安定している。
私はこれまで、このキャリアでマウンテンバイクを運び、全国各地を回った。長い旅でキャリアのトラブルは1度もなく、高速道路でも不安はない。
慣れてしまえば、キャリアの装着は10分とかからない。
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ただ、キャリアを装備している時には、後部ドアを開くことができない。アームがリアウィンドウに伸びているため、ワイパーが動かせないことも忘れてはいけない。うっかり作動させると、途中で止まってしまう。
キャリアに隠れ、ナンバープレートはやや見えづらくなる。もしかしたら道路交通法上の問題になるかもしれないが、これが原因で警察官の指摘や注意を受けたことはない。
車中泊場所に着くと、まず自転車を下ろす。マイヤーを走らせる用途に限らず、ちょっとした買い物や観光にも便利だ。
観光地には貸自転車があるが、最近は料金が高騰している。広島県の尾道では、しまなみ海道のサイクリングがブームで、以前は1000円だった最低料金が2000円にはね上がっている。自分の自転車なら乗り放題だし、何よりも体に馴染んでいるのがうれしい。
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しかし、サイクルキャリアの付いた自転車でフェリーを利用する際は、事前にチェックすべき重要なポイントがある。
取り外し可能なキャリアでも車の全長に含まれ、場合によっては割増料金を請求されてしまうのだ。
フェリーの運航事業者は、車の重量やサイズなどで細かい料金設定をしている。乗船前、キャリアを付けた車の全長を調べておかないと、えらい目に遭いかねない。
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私は今春、高知県から愛媛県八幡浜市の八幡浜港に向かい、フェリーで大分県の別府に上陸した。九州各地を旅し、長崎県内で近距離フェリーを2回利用。さらに、福岡県北九州市の新門司港から、神戸港に向かう長距離フェリーに乗船した。
車検証によれば、普通車のノアの全長は4㍍69㌢だ。3回目のフェリー乗船までは、ノア後部のサイクルキャリアが問題にされることはなかった。
しかし、神戸行きの長距離フェリーに乗る直前になって、係員から思わぬ指摘をされることになった。
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この航路の自動車航送運賃は本来、全長5㍍未満のノアだと約2万8000円だ。係員は駐車場でノアに目を止めると「お客さん。この自転車はまずいですよ」と、声をかけてきた。
係員が計測したところ、サイクルキャリアが車体後部に付いているため、車両の全長が5㍍を30㌢ほど超え、「6㍍未満」に見なされるのだという。
この全長だと、運賃は約3万4000円になる。なんと、私は自転車1台で6000円もの差額を支払うことになったのだ。
後で考えたら、その場で自転車を下ろし、キャリアと一緒に車内に入れればよかった。しかし、乗船直前の指摘だったので、そんな対処法を思いつく余裕もなかったのである。
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私は乗船手続きのカウンターで追加運賃を払い、泣く泣く乗船した。
「しまった。宴会1回分の損失だ」とぼやく私を、マイヤーと妻は「まぁ、まぁ」と慰めてくれた。思えば、近距離フェリーでも、全長制限に引っかかっていたのかもしれない。係員が大目にみてくれたのは、航海が短く、船内が空いていたからだろう。
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あなたの車にサイクルキャリアを装備するなら、必ず車検証の全長を確かめてほしい。キャリアを含めた全長を把握しないと、正確な運賃が分からない。もしも、運賃が上がるなら、事前にキャリアを外すべきである。
フェリーの車両甲板は、トラックや乗用車がギリギリの間隔で駐車する。自転車といえども、場所を取ったら、きっちり料金が発生するのだ。すぐに取り外せるサイクルキャリアでも、付けたままなら車体の一部だということを覚えておいてほしい。
さぁ、暑さも治まったし、次はどこに行こうか。知らない町で自転車に乗り、マイヤーと走る。今から楽しみでならない。
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