中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高知県にUターン。初めての農業に挑戦しながら、猟師として山に入る。狩猟、射撃、釣り、キャンプ、車中泊旅行などアウトドア全般が趣味。田舎暮らしの楽しさや自然の魅力、地域の話題などを発信します。

中山道雄

元中日新聞記者。愛知、岐阜、長野、滋賀県で43年間にわたる取材活動を続けた後、故郷の高知県にUターン。初めての農業に挑戦しながら、猟師として山に入る。狩猟、射撃、釣り、キャンプ、車中泊旅行などアウトドア全般が趣味。田舎暮らしの楽しさや自然の魅力、地域の話題などを発信します。

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オーバーツーリズムから生活を守る 京都府伊根町の「舟屋」を訪ねた

 増えすぎた観光客による混雑が地元の人たちの生活を脅かす「オーバーツーリズム」。コロナ禍が落ち着いてインバウンド(訪日外国人客)が急増する中、全国各地の有名観光地で、この問題が深刻化している。美しい海と舟屋の眺めで知られる京都府の伊根町では今年6月から、狭い生活道路の渋滞を解消する「パーク・アンド・バスライド」の実証実験が始まった。伊根はドラマのロケ地にもなり、インバウンドの人気が高い。10月初旬の平日、伊根湾に面した静かな町を歩いてみた。    京都府北部の伊根町は、古

    • 昭和テイストの「足摺海底館」 歩いてサンゴ礁の海に

       高知県土佐清水市の竜串海岸に、奇妙な十字塔が立っている。海底展望塔の「足摺海底館」。1972(昭和47)年に誕生して以来、50年以上も全国の観光客を迎えてきた。塔に入って階段を下りれば、そこにはサンゴ礁の海が広がる。派手さはないが、どこか懐かしい。昭和テイストにあふれ、いつまでも記憶に残る施設だ。  足摺海底館は、波と風が浸食した奇岩が連なる竜串海域公園の一角にある。海岸沿いの散策路を歩くと、遠くに赤と白の塔が見えてくる。海中展望塔の基部は海の下にあり、上部に4方向に突き

      • 華麗な廃墟「サンゴ博物館」 竜串海岸で出会った謎の殿堂

         高知県西部の土佐清水市。景勝地として名高い竜串海岸を訪ねたら、中国風の堂々とした廃墟に出くわした。鉄筋コンクリート一部3階建ての「旧・サンゴ博物館」。かつてはきらびやかな姿で観光客を迎えていたが、今では荒れるに任せて放置されている。壁面は厚いツタで覆われ、屋根の上にも雑草がはびこる。南国の明るい光と潮風を受けながら、華麗な意匠の建物がひっそりと朽ちていく。  土佐湾に面した竜串海岸は足摺宇和海国立公園の一角にある。海岸には波や風で浸食された奇岩が連なり、サンゴ礁を泳ぐ魚が

        • 忘れ去られた特攻基地 高知の海に潜んだ「震洋」と「回天」

           太平洋戦争末期の1945(昭和20)年春、高知県須崎市に特攻兵器「震洋」と「回天」の基地が置かれた。土佐湾に面した須崎は昔から天然の良港として知られ、海に突き出した岬の裏手に静かな須崎湾が広がる。基地を設けた海軍は連合軍の本土侵攻に備え、2つの特攻兵器で敵艦艇を攻撃する計画を立てていた。終戦から79年。海を見下ろす山中には今も、忘れられた特攻基地の遺構が残されている。 洞窟が指揮所。海軍が開設    須崎市中心部から車で約10分の箕越地区。海辺の小さな集落から山道を登り

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          犬自転車で走れ! 時短散歩の決め手

           「散歩に行こう」「山に連れてって!」。私の愛犬マイヤーは無類の運動好きだ。彼は鳥猟犬ブリタニー・スパニエルで、キジやヤマドリを追いかけるのが本業である。家でじっとしているのは苦手だし、十分運動をさせないと不機嫌になる。私たちはほぼ毎日、林道を1時間以上も歩くのだが、どうしても時間がとれない日もある。そんな時は、マイヤーに自転車を引っ張ってもらって走る。ほとんどペダルを漕がなくても進む。まるで「犬ぞり」のようなスピード。短時間でも、たっぷり運動できる「犬自転車」の出番だ。

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          「青春デンデケデケデケ」名作の舞台・観音寺を歩く

           四国の田舎町の高校生がロックに目覚め、苦労の末に自分たちのバンドを結成する。広島県尾道市出身の映画監督・大林宣彦が1992年に発表した「青春デンデケデケデケ」。大林監督は尾道市を舞台にした三部作「転校生」「時をかける少女」「さびんしぼう」で有名だが、私はこの作品こそが大林映画のベスト1だと考えている。穏やかな瀬戸内海に面した香川県観音寺市で繰り広げられる群像劇は、私自身の青春時代とも重なる。愛しい登場人物の足跡をたどるため、人口約5万5000人の町を歩いた。 原作小説を忠

          「青春デンデケデケデケ」名作の舞台・観音寺を歩く

          充電式草刈り機を使いこなせ 雑草との闘いの極意

           田舎暮らしをしていると、畑や田んぼの雑草に悩まされる。しぶとい雑草は庭にまで侵入し、気を抜いていると一面が草ぼうぼうになってしまう。南国の高知は植物の生長が速い。そこで出番となるのが、効率的に作業できる草刈り機だ。はびこる雑草をバッサ、バッサとなぎ倒し、環境を守る。これ、結構楽しくて、はまる仕事です。   田舎暮らしの必需品といえる草刈り機だが、実は種類が多い。ホームセンターなどに出かけると、ずらりと並んだ商品に目移りする。価格は1万円から10万円まで幅広く、知識がないと

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          犬の車中泊 旅の相棒を危険から守ろう 

           時間に縛られることがなく、自由に行動できる車中泊。ホテルに乗ったまま移動できるような旅は、とても魅力がある。私はこれまで400回以上の車中泊を続けてきたが、必ず愛犬を伴ってきた。旅の相棒の安全を守り、快適に過ごさせるには何が必要なのか。ちょっとした工夫さえすれば、犬との旅はさらに楽しくなる。  私はこれまで、4頭のブリタニー・スパニエル犬と暮らしてきた。現在の相棒は3歳のマイヤー君。雄で体が大きく、体重は26㌔もある。とても活発で明るく、とびきり甘えん坊だ。  私は荷物の

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          幻の国鉄越美線。長良川河畔の駅から、恐竜の駅に走る

           岐阜県と福井県を鉄路で結ぶため、かつての国鉄が計画した「越美線」。県境の険しい山々を越えるはずだった鉄道は完成することがなく、岐阜県側の越美南線と福井県側の越美北線が残された。岐阜、福井県間では現在、中部縦貫自動車道の建設が大詰めを迎えているが、鉄道の計画が復活することは二度とないだろう。車が交通の主役となり、結ばれることがなかった二つの路線は赤字にあえいでいる。  越美は「越前」と「美濃」を意味する。岐阜県美濃加茂市の「美濃太田駅」から、同県郡上市の「北濃駅」に至る越美

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          水の町「郡上八幡」を歩く

           どこにいても水の音が聞こえる。「郡上おどり」の舞台として名高い岐阜県郡上市八幡町は、そんな町だ。私は昨年まで、記者として郡上で取材をしていた。猛暑が去り、やっと秋めいてきた10月6日。高知県須崎市から600㌔を走り、懐かしい川辺の町に戻った。  人口約3万6000人。岐阜県中濃地域にある郡上市は、長良川が流れる山間部の自治体だ。私は市北部の白鳥、大和、高鷲町を担当する中日新聞白鳥通信部で勤務し、八幡町など南部4町を取材エリアとする郡上八幡通信局の記者とともに働いていた。

          水の町「郡上八幡」を歩く

          車中泊旅行必携のサイクルキャリア フェリー乗船は注意を

           猛暑にあえいだ夏が去り、やっと秋になった。これからの季節は旅に最適だから、計画を立てている人も多いだろう。旅先では車に自転車を搭載できる「サイクルキャリア」が重宝する。私は運動量がハンパない猟犬・マイヤーと一緒に行動するため、絶対に欠かせない装備のひとつだ。とても便利なキャリアだが、フェリーに乗船する時には思わぬ罠も潜んでいる。走るホテルの愛好者は、どうぞご注意を。  400回を超える車中泊で、私は代々飼育してきたブリタニー・スパニエル犬たちと一緒に眠った。  4代目のマ

          車中泊旅行必携のサイクルキャリア フェリー乗船は注意を

          ご当地キャラまつりin須崎 しんじょう君が観客を魅了!

           全国のゆるキャラが集まる「ご当地キャラまつりIN須崎」が、高知県須崎市で開かれた。須崎といえば、2016年の「ゆるキャラグランプリ」で1位に輝いた二ホンカワウソの化身「しんじょう君」の本拠地だ。須崎市民として、ここで地元のヒーローを応援しなくては申し訳がたたない。厳しい残暑をものともせず、会場となった須崎湾近くの桐間多目的公園に駆け付けた。 雨空の下で奮闘する仲間たち  実行委員会主催、日本ご当地キャラクター協会協力のイベントは、今年で9回目を迎えた。9月15、16の両

          ご当地キャラまつりin須崎 しんじょう君が観客を魅了!

          ムカデに噛まれた!秋の夜の恐怖

           「ギャー、痛い!」。13日午後10時。入浴していた妻が突然、とんでもない叫び声を上げた。「なんだ、なんだ」と驚いていると、妻が風呂場から飛び出してくる。床に突っ伏すなり、今度は「お湯を出て着替えようとしたら、何かに手を刺された。痛くてたまらない」と泣き出す。顔面蒼白で、今にも倒れそう。ハチか毒虫だろうとあたりを付け、脱衣場を調べてみた。  もしも、ハチなら手に負えない。スプレー式の殺虫剤を握りしめ、恐々とドアを開ける。一歩中に入ると同時に、殺虫剤を床や天井に噴射した。  

          ムカデに噛まれた!秋の夜の恐怖

          真夏の車中泊 高速道路のオアシスを探そう!

           年々暑くなる日本の夏。気温38度だとか40度とか言われると、外出するのも億劫になる。できれば家で涼んでいたいところだが、今年のお盆は岐阜県郡上市での取材のため往復1200㌔の移動を余儀なくされた。こうなると、一気に走るのはつらい。行きと帰りに車中泊をはさみ、高速道路で夜を明かした。真夏の車中泊で快適に過ごすには何が必要なのか。ちょっとしたコツを紹介する。  私はこれまで20年以上も車中泊を続けてきた。もともと旅行が大好きなのだが、趣味の狩猟で使役している猟犬を連れていかね

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          港町にある「トトロの家」。アニメファン必見の聖地?

           田舎の町を歩いていると、とんでもない空き家に出会うことがある。高知県西部の土佐湾に面した須崎市。なんと、ここには「トトロの家」があるのだ。スタジオジブリが制作し、1988年に公開された名作アニメ「となりのトトロ」。空き家はその世界観を見事に表現している。あなたがファンなら、須崎に急げ。そこには、なんとも不思議な世界がある。  JR土讃本線須崎駅から歩いて10分ほど。「トトロの家」は、住宅街の一角にひっそりとたたずんでいる。  鉄筋コンクリートの建物は蔦で覆われ、周囲には草

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          祖先の霊を迎える「水棚」 高知のお盆に起きる奇跡とは

           亡くなった家族や祖先の霊が、1年に1度だけ家に戻ってくるお盆。私が住む高知県須崎市の集落でこの夏、今では珍しくなった手づくりの「水棚」が登場した。竹やヒノキの葉などを組み合わせた水棚は、手間がかかるためほとんど作られることがない。「霊が音を立てて帰宅を告げた」という不思議な話もあり、住民は特別な思いで昔ながらの風習と向かい合っている。    水棚は精霊棚の一種である。高知県では各地に残り、地域によっては「施餓鬼棚」「棚」などと呼ばれる。今回紹介する水棚は、私の中学、高校

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