司法試験予備試験短答式試験合格対策計画。インプット編。
インプットの優先順位は、過去問、法律の条文、判例、基本書の順番です。
まず過去問についてですが、基本的に、短答式試験問題については、全ての肢の◯☓を暗記して、法律の専門知識がついてきたら、全ての肢について、自己解説を加えるようにします。自己解説を加えることは、論文試験や口述試験の対策にもなります。
差し当たり、竹本倫紀(たけもとみちのり)は、法律の専門知識がほとんど無いので、全ての肢の◯☓を暗記することだけを行うこととします。そして、基本書などで法律の体系的知識や法律の基本的知識を身に着けたら、全ての肢について自己解説を加えていきます。
さて、法律の条文についてですが、法曹にとっては、法律の条文は、生命そのものです。法律の条文には、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうするのかが、簡潔にまとめられています。法曹は、これらの条文を、現実の事件に適用して、法的判断をしていくのです。
ですので、典型的な事件に関しては、法律の条文が全て、ということになります。一方で、法律の条文に記述のない特殊な事件というのもあるはずです。その際には、法律の趣旨に則って、どのような法的判断をするべきなのか、自分で理論を打ち立てます。これが、いわゆる論点というものでしょう。
論点が、法律の条文に明確に記述のない事件に関することであるとするならば、論点とその判例を暗記することは、少し能力の足りない人がすることです。論点が、法律の条文に明確に記述のない事件に関することであるとするならば、法律の趣旨と既存の法律の条文に照らして、自分で理論を立て、法的判断とその説明をする力があれば良いでしょう。その場合、典型的論点の判例とは異なる結論が導かれているかもしれませんが、論理的思考の過程が明確であり、法律の趣旨と既存の法律の条文に照らして妥当であれば、自作の理論もまた1つの正解たり得るのです。
例えば、日本国憲法第二十九条第三項の規定には、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」とありますが、竹本倫紀は、日本国憲法第二十九条第三項は死文であると判断しています。この根拠は、日本国憲法第二十九条第一項の規定の「財産権は、これを侵してはならない。」という条規と、日本国憲法第十一条の規定の「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」という条規と、日本国憲法第九十八条第一項の規定の「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」という条規から、財産権は、現在及び将来の国民に与えられた侵すことのできない永久の権利であり、私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができるとすることは、財産権を侵すことになるため、日本国憲法第十一条及び日本国憲法第二十九条第一項の条規に反する日本国憲法第二十九条第三項は、効力を有しないからです。
竹本倫紀は、日本国憲法の条文と論理的思考力の発揮によって、日本国憲法第二十九条第三項が死文であると判断しました。このような判断ができる人物なので、竹本倫紀は、法曹としてやっていく潜在的能力はあると竹本倫紀は判断しています。竹本倫紀に不足しているのは、法律の専門知識です。法律の専門知識を身に着けさえすれば、竹本倫紀は最強の法曹となるでしょう。
と、このように、法律の条文を引くことによって、法的判断を下すことができるのです。論文試験の解答を作成する際にも、法律の条文に則って、論理的思考を働かせて、論理的帰結としての法的判断を記述すれば良いと竹本倫紀は考えています。その際に必要となるのは、問題となっている事件について、どの法律の条文を適用すべきかを判断するための法律の専門知識です。問題となっている事件について、適用するべき法律の条文が分かれば、後は、法律の条文に則って法的判断を下すだけのことです。
例えば、論文の解答は、次のようになるでしょう。「この問題については、何々法第何条第何項の規定により、かくかくしかじかであるため、かくかくしかじかという法的判断となります。」簡単ですね。
だから、論文試験の解答を作成する際には、その問題がどの法律のどの条文に規定のある事項なのかを洞察する力が必要であり、その前提として、法律の条文の専門知識が必要となってくるのです。論文試験の解答を作成する際に、その問題がどの法律のどの条文に規定のある事項なのかを洞察できなければ、お話になりません。そのため、試験科目の法律の条文は、全て丸暗記しておく必要があります。特に、その問題に当てはまる条文が、何の法律の第何条第何項なのかを正確に答えられる必要があります。
そのため、法律の条文を暗記する際には、「何々法第何条第何項、条文の内容」というように、条文番号と条文の内容を組にして記憶する必要があります。条文番号は、法律の内容の指し棒となっています。C言語で言うところのポインタです。だから、法律の条文を引用するときには、条文そのものをつらつらと書き連ねる必要はなく、何々法第何条第何項の規定により、かくかくしかじかの法的判断となります、と解答するのが良いでしょう。
法律の条文のインプットで重要なことは、条文番号と条文の内容の組を記憶することと、その条文の意味を理解していることです。意味を理解していないのに、条文番号と条文の内容の組を暗記しているだけでは、論文試験で条文を利用できません。条文の意味を理解していて、なおかつ、条文番号と条文の内容の組を記憶していることで初めて、論文試験の問題文を読んでいるときに、どの法律のどの条文を適用すれば良いかを洞察できるのです。そして、適用すべき法律の条文を見つけてしまえば、もうこっちのものです。法律の条文をその問題に適用して、何々法第何条第何項の規定により、かくかくしかじかの法的判断となります、と答えるだけです。やるべきことは、単純明快ですね。
ですので、法律の条文の暗記の際には、必ず、条文に出てくる語句の意味を調べて、条文の内容をしっかりと理解するようにしましょう。そして、条文に出てくる語句の意味を暗記することも行いましょう。条文に出てくる語句は、専門用語の語彙として重要だからです。条文に出てくる語句は、いつでもどこでもどんなときでもすぐに利用できるように、日頃から利用する習慣を持ちましょう。
次に、判例についてです。司法試験予備試験合格対策計画の一環として、判例に対する専門知識を深めることも重要です。判例とは、ある事件について、法律の条文や法理を、このように適用しました、という1つのお手本です。この事件には、何々法の第何条第何項を適用しました、とか、該当する条文がなかったため、これこれの法理を準用して、かくかくしかじかの法的判断を下しました、といったことが判例なわけです。判例は、法律の条文と、各種の法理と、論理的思考から導き出される妥当な論理的帰結であるため、強いて判例を丸暗記することはないでしょう。しかし、判例が、ある事件に対して、何々法の第何条第何項の規定を適用したとか、法律の条文はこんな風に適用するのか、という例を見て学ぶことは重要です。
でも、竹本倫紀は、ある事件に対して、適用するべき法律の条文が分かれば、論理的帰結としての法的判断を妥当に下す能力はあるという自信があるので、判例は参考程度ですね。判例百選というシリーズがあるようなので、全試験科目について判例百選を購入して、典型的な判例を学ぶ必要はあると竹本倫紀は考えています。
そして、最も優先順位の低いのが、基本書です。法律の特定分野について体系的に学ぶためには良いですが、司法試験予備試験合格対策としては、優先順位は低いです。はっきり言って、過去問の肢を理解して記憶していれば、短答式試験合格は物理的に可能ですし、法律の条文を丸暗記していつでもどこでもどんなときでもすぐに利用できるように準備しておけば、論文試験と口述試験には合格できるからです。
とは言え、特定の法律分野について、体系的な知識を持っていることは、法曹にとって必要なことなので、基本書に関しては、読んで、理解して、重要事項を記憶して、重要事項をいつでもどこでもどんなときでもすぐに利用できるように準備しておく必要はあります。特に、未知の肢が出題されたときには、特定法律分野についての体系的知識を利用する必要がありますので、基本書の内容理解と重要事項の暗記はしっかりと行う必要があります。