「感情マネジメント」から学ぶ〜新規事業の立ち上げに感情を持ち込む方法〜
michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。
「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。
今週は「感情マネジメント〜自分とチームの「気持ち」を知り最高の成果を生み出す〜」を読みました。
モノやコトを重視し「職場に感情を持ち込んではいけない」「リーダーは感情に左右されてはならない」といった、価値観を持った日本企業は少なくありません。
しかし、この本の著者である池照佳代さんは上手くいかないチームはほどんど「感情」の問題でつまずいている。と語ります。
こちらの記事で紹介している、適応課題(関係性の中で生じる問題)もまさに感情でつまずいている。と言うことが出来ると思います。
まだ、読んでいない方は是非、読んでいただけたら嬉しいです。
今回の記事では、その感情に着目して
リーダーは新規事業の立ち上げにどう感情を持ち込めば良いのか?
という問いを立て
1.まずは自分の感情を自覚する。
2.メンバーの価値観や感情を知る。
3.「感情を用いた」チームビルディングを行う。
という3つの章で答えていこうと思います。
新規事業を立ち上げるために組織内でチームを組み、リーダーとしての役割を担う場面では様々な感情を経験すると思います。
新しいことに取り組むワクワク感や、失敗に対する不安や恐れ。
そのような感情は誰しもが持つものであり、メンバーそれぞれが感じるものは違います。
この感情という人間らしい特徴を無視するのではなく、事業を前に進めるエネルギーにできるリーダーがいるとチームは円滑に進んでいきます。
そんなリーダーになるためにはどうすれば良いのか。
その方法を本書の言葉を借りて、順を追って紹介していけたらと思います。
1.まずは自分の感情を自覚する。
「自分の感情」もわからないのに、
「他人の感情」に共感することは出来ません。
私がこの本を読んでいて、一番気づきのあった言葉です。
リーダーという役職を担うことになった時に、真面目で誠実な人ほど「メンバーが実力を発揮するためには何をすれば良いだろうか」「メンバーやその家族を幸せに出来ているだろうか」と、自分軸ではなく相手を中心に考えてしまいがちです。
自分自身もこの本を読むまではそれが素晴らしいリーダーであり、自分もリーダーという役割を担った際にはそうするべきだと考えていました。
しかし、感情には4つの特徴があり「自分の感情」を理解していなければ、メンバーを理解し、成功に導くことはできないのです。
その特徴は
(1)「感情」は標準装備
「感情」は誰しもが抱くものであり、もちろん自分自身の中にも常にある。
(2)「感情」は無意識に沸くこともあれば、意識してつくることもできる
「感情」は制御しようと思っても湧いてきてしまう、しかし、意識して仕向けることでつくることもできる。
(3)「感情」は伝播する
「自分の感情」にフタをしても周囲には伝わってしまう。
(4)「感情」は複雑で多様
「感情」は複雑で種類も多いのに、みんなが自分と同じ「感情」であると勝手に決めつけてしまうことがある。「自分の感情」を把握するのはそんなに簡単なことではないという真実を知らないまま、他人と接している。
といったものです。
「自分の感情」にフタをしたまま、変化に気づかずに人と接していると、思わぬ刺激に対して自分でも想定外の行動をしてしまったり、隠しているつもりでも周囲には伝わってしまい、組織に良くない空気が流れてしまう。
そうならないために、まずは自分に向き合って「自分の感情」を知り、整えること。それがチームビルディングの最初の一歩なのです。
「自分の感情」にフタをするのではなく、嫌だと思っていること、怒っていることは認識をした上でどのように行動をしていくのか、感情をコントロールしていくのか。といったプロセスが大切になってきます。
「自分の感情」を知る方法はたくさんあります。
感情の日記をつけることや、感情を口に出すこと。他にも空白の時間を作って、ただぼーっとするだけで、頭の中に様々な「感情」が湧いてくるのがわかると思います。
「自分の感情」を知り自分と仲良くなることを意識的に取り組んでみてください。
2.メンバーの価値観や感情を知る
「自分の感情」と向き合うことが出来たら、次に「メンバーの感情」を理解することをしてみてください。
新規事業を立ち上げる場面において、お互いのことを深く理解していないメンバーが集まることは多いのではないでしょうか。そして、企業に属するメンバーは新規事業部に限らず、既存事業にもたくさんいます。
そのメンバーの気持ちとしっかり向き合うことをせず、事業を前に進めるとチームやメンバーの心の崩壊につながることがあります。
ネガティブな憶測ばかりをしてしまい、「相手はやる気がないのではないか」「自分の活動は評価されていないのではないか」「既存事業部の人は新規事業を良く思っていない」という言葉が自分の中に生まれてしまうこともあります。そうすると、気持ちが落ちてしまい活動に手がつかなくなってしまいます。
それとは反対に、ポジティブすぎる憶測ばかりをしてしまい「みんなこの活動のためなら、時間をかけることを惜しまないだろう」「良い事業にするためなら、どんなにきついフィードバックでも耐えられるだろう」という言葉が生まれてくることもあると思います。
その場合、モチベーションの差から突然「あなたにこれ以上ついていくことは出来ません。」とメンバーに言われてしまうこともあるかもしれません。
そうならないためには、メンバー1人1人の価値観が違うことを理解して、その時々の感情を把握する努力をしなくてはいけません。
人の価値観には、大きく分けてビジョンとバリューの2つの軸があります。
ビジョン:「私はこうなりたい」と自分のなりたい姿を目指す
バリュー:「私はこれを大切にしたい」と自分の価値観の発揮や関係を深めることを目指す
両方あわせたものを価値観としている人もいれば、どちらかが片方が強い人もいます。
そして、メンバーの「ありたい」や「やりたい」とつながる仕事をすることが大きな成果につながるのです。
そのためには、「メンバーの感情」に目を向けて、「どんな仕事にワクワクを感じる?」などと定期的に尋ねてみることをおすすめします。もしくは、「3年後、5年後、あなたはどんな姿でいたい?」「今も仕事で大切にしていたいことは?」などと投げかけるのも一つの方法です。
メンバーの大切にしていることや気持ちをくんで適切な役割を与えることが出来れば、そのメンバーはきっと今まで以上のスピードで成長を遂げていくと思います。
3.「感情を用いた」チームビルディングを行う。
リーダーとして、「自分の感情」そして「相手の感情」を理解することが出来たら、その感情をエネルギーに変えるためのチームビルディングを行なっていきます。
リーダーが自分とメンバーの「感情」に率直に向き合い、「自分の感情」も「メンバーの感情」も大切にすることが出来れば、そのチームの求心力は高まり、これまで以上に大きな成果を出せるようになります。
それでは、具体的にどのように考えればエンゲージメントが高く、ハイパフォーマンスを発揮するチームを作ることが出来るでしょうか?
心理学者のブルース・W・タックマンは1965年に「タックマンモデル」というチームビルディングにおける発達段階のモデルを提唱しています。彼はチームの発展は、次の5段階に分けられていると語ります。
1.形成期 ー チームが形成される。
2.混乱期 ー ぶつかり合う
3.統一期 ー 共通の規範、役割分担
4.機能期 ー チームとして成果を出す
5.散会期 ー それぞれが新たな道へ
チームビルディングをする際には各段階において異なるコミュニケーションに取り組むことが必要です。
それぞれどのようなことを大切にしていくべきか、紹介していきます。
・形成期で求められるチームビルディング
形成期にはコミュニケーションの量が重要になってきます。
不安や内向性、緊張感があり「これ言ったらまずいかな?」など、メンバーに対して遠慮があるのがこの時期の特徴です。
先ほどの章で紹介した、メンバーのビジョンやバリューを共有することや、感情の抱き方を理解していく必要があります。
短期間で楽しめるゲームやアクティビティを開催するのも一つの方法です。
・混乱期に求められるチームビルディング
チームビルディングのプロセスでは必ず混乱期が訪れます。
わかりやすい例を挙げると、「〇〇さんが、やると言ったことをやっていない」「自分ばかりに負担がかかっている。」「リーダーの指示に一貫性がなくてやる気が出ない」と言った不満が噴出するようなタイミングのことです。
しかし、混乱期も、メンバーの状況を知ったり「感情」に目を向けたりすることで、お互いに理解し合えるようになります。
双方の関係性がWin - Win となるような関わり方を目指し、「FES」という3つのステップで解決を図ります。「FES」とはそれぞれ
Fact(事実)
ー 目の前にある事象の事実を共有する。
Emotion/Express(感情を知る、伝える)
ー 事実から自分が感じたこと、または「相手の感情」を把握する。
Suggestion/Solution(解決策の提案、実行)
ー 解決策を提案・提示し、一緒に解決に向かう
の頭文字から取ったものです。
混乱期に感情的な対立から問題が生じた時には、この手順でコミュニケーションをとっていくことで解決をしていくことができます。
対立を生み出している事実を見つめ、それに対してそれぞれがどのような感情を抱いているのか。そして、その把握した課題に対してどのような解決策を提案していくのか。
この順序でコンフリクトを解決に導くことで、チームは次の段階へ進んでいくことが出来ます。
コンフリクトは、チームを構築する過程で必ず起こります。お互いが思いを持って目的を達成しようとしているからこそ起こるのです。
コンフリクトが起こることは健全なチームの成長過程だと捉えて、メンバー一人ひとりと意図を持って関わっていきましょう。
・統一期と機能期に求められるチームビルディング
混乱期を乗り越えたチームは統一期に入ります。
この時期のチームとは目指すべき目的や、各メンバーの役割や特徴が共有され、統一感が生まれはじめている状態のことを言います。そして、そのチームが外に対して成果を出す時期を機能期といいます。
この二つの段階において、重要となっていくるのがチームのエンゲージメントを高めることです。「エンゲージメント」というのは言葉は定義が曖昧ですが、本書では次のように定義しています。
エンゲージメントとは、「企業と従業員が相互に影響し合い、ともに必要な存在として絆を深めながら成長できる関係を築いていくこと。」シンプルに言えば、「働きがい」を高めるとも表現できます。
ではこのエンゲージメントはどのように高めることができるのか?
リーダーは3つのポイントを意識して、チームビルディングを進めていく必要があります。
その3つのポイントとは
(1)共感(理念、目標、バリュー、ビジョン、リーダーなどへの共感)
(2)関わり(声かけ、コミュニケーションの質と量の工夫、組織内の関係強化)
(3)成長実感(この組織にいて成長しているという実感)
です。それぞれの要素について、具体的に高めていく方法をお伝えします。
(1)共感を高める方法
・会社理念、企業価値やミッションを理解し、自分の言葉でメンバーに伝える。
・チームの目標が共有され、日々の業務でも言葉やイメージが共感されている。
・リーダーのリーダーシップや個人的な思いに対して共感が持たれている。
(2)関わりを高める方法
・チームに安心安全な場をつくり、メンバーの議論や対話が生まれる雰囲気をつくる。
・コミュニケーションの質(内容や視点)と量(頻度や時間)を意識し、コミュニケーションが活性化するための工夫をする。
・お互いの状態や状況を理解、尊重し、助け合う風土をつくる。
(3)成長実感を高める方法
・メンバーが、自分の仕事が顧客や周囲にどんな影響を与えているのかを理解し、自律的に仕事をする権限を得て、仕事に意味を見いせるようにする。
・感謝の研修制度の有無にかかわらず、メンバーがそれぞれのキャリアゴールに向けて学ぶ機会を得られるようにする。
・日々の仕事から互いの成長を感じられる雰囲気や習慣をつくる。
統一期、機能期を迎えたチームのリーダーはエンゲージメントを高めるために、このような目標を達成できるよう日々のチームビルディングに取り組むことで、高いパフォーマンスを発揮するチームを作ることが出来ます。
「感情マネジメント〜自分とチームの「気持ち」を知り最高の成果を生み出す〜」を読んでみて
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事では
リーダーは新規事業の立ち上げにどう感情を持ち込めば良いのか?
という問いを立て
1.まずは自分の感情を自覚する。
2.メンバーの価値観や感情を知る。
3.「感情を用いた」チームビルディングを行う。
という3つの章で答えてきました。
人は心によって、やる気や幸せを感じるし、苛立ちや不安を感じますよね。だからこそ自分でも驚くほどの結果が生み出せることもあるのだと思います。
そんな感情に着目したビジネスの書籍が今までは少なすぎたなと、本書を読んでいてとても感じました。
この記事が新規事業を担うリーダーの皆様、そしてそのメンバーが「感情」を味方につけ、誰もが幸せでやる気に満ちたチームをつくるヒントになっていたらとても嬉しいです。
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