![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/153079316/rectangle_large_type_2_c420440e1117cd38700d9856a9734ce5.jpeg?width=1200)
思想の尻尾~余白~
先日友人とブックカフェを訪ねた。
受付で栞作りの催し物を案内を渡される。
店内で栞を作ってSNSにアップすると特典がもらえるという。
作業に疲れ歩き回っていると栞作成のコーナーが目に留まった。
提供は印鑑の代名詞シャチハタだ。
花、金魚、扇子、水や草を模したスタンプ
角に丸みのある長方形の台紙
栞に結ぶ色とりどりの房が準備されていた。
台紙に好みのスタンプを押すと
夏の夜空に打ちあがる花火が浮かび上がってきた。
印鑑からスタンプ、機能から意味へ
シャチハタの立ち位置も変化しているようだ。
水墨画では余白に幽玄な山水が聳え立つ。
李 禹煥さんは
「芸術作品における余白とは、自己と他者との出会いによって
開く出来事の空間を指す」と言っていた。
世界との関係で初めて浮かび上がり滲みだす私。
スタンプはファーストな余白の芸術かも知れない。
印鑑に刻まれた名前には私の歴史が凝縮している。
私が私であることを示すため書類に名前を印す。
スタンプをまっさらな紙に押すことで
外の世界が騒ぎ出す。
私は私であることから離れて世界に溶け込む。
栞づくりに取り組む静かな時間
しばしの余白が生まれ
素敵な土産も持ち帰ることが出来た。
2024年9月4日 捕まえた尻尾