みち

働きながら大学に通っています。日々の気づきを気軽に書いていきたいと思っています。

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最近の記事

思想の尻尾~有形資産と無形資産~

朝から工事現場の槌音で眠りを破られる。 週末くらい休んでもらいたいが日曜日以外雨の日も風の日も続く。 住宅の建築だ。 納品期日が迫っているのか こないだまで地面を掘り起こし基礎工事をしていたと思ったら あれよあれよという間にコンクリートを流し込み 鉄骨が組まれ、二階が出来、壁が立てられる。 マイホームは人生をかけた大きなイベントだろう。 それが思いの外そそくさと進むものだ。 オリンピックを機に建設された競技場などのレガシィ。 大地震が来ても崩れない構造研究が日々なされている

    • 思想の尻尾~機と玩具と人工知能~

      人から譲り受けた犬の貯金箱 一度も使わず埃をかぶっていた。 部屋を整理しながら硬貨を入れてみると 首と尻尾を振り目玉をクルクルさせて動き出した。 在る静かなものが外からの働きかけでにわかに活動を始める。 昔の玩具はそんなものが多かった。 デパートのおもちゃ売り場で 試供品のスイッチを押して歩くのが楽しみだった。 フライングタイガーの店舗では今も遊べる。 頭を押すと喚きだすカボチャや発光する幽霊。 店を一周、手を変え品を変え楽しませてくれる機械仕掛けの玩具たち。 人間の心にも

      • 思想の尻尾~パン屋と魔女の宅急便~

        好きな食べ物は?と尋ねられたらまずパンと答える。 知らない街へ行くとパンを検索してしまう。 よい店に多少の距離は苦にならない つくば市は知る人ぞ知るパンの町だ。 お気に入りのドイツパン店があり 2時間近くかけて訪ね手提げ一杯持ち帰った。 なぜパンに惹きつけられるのだろう…   母親もパン好きだった。 日曜の朝 焼き立てパンを買いに自転車を飛ばした。 葡萄パン、クロワッサン、杏ジャム入りのドーナツ 今でも懐かしの味を求めて時々足を運ぶ。 パンにはロマンがある。 女の子がなりたい

        • 思想の尻尾~世界を観る眼~

          海外へ行く人が増えている様だ。 仕事でニューヨークやパリへ行ったという話を聞く。 インスタグラムには海外旅行の写真が流れてくる。 ヨーロッパの古い町並みを見下ろすカフェで コーヒーカップを傾けている人。 京都や鎌倉など観光地で隣から聞こえてくるのは中国語だ。 世界の車窓からという番組がお気に入りだった。 テレビ朝日で夜のニュースが始まる前の5分程 世界を走る鉄道に乗り込み 車窓からの風景を見せてくる。 見知らぬ街や田園風景 大自然を走り抜け 駅では人々が乗り降りする。 レー

          思想の尻尾~フレデリックの秋

          大好きな秋がやってきた。 朝のランニングで足元にまだ青い栗を見つけた。 玄関先にコオロギがやってきた。 野菜コーナーにはサツマイモや柿が並べられる。 涼しい風が優しく顔を撫でてくれる。 マレーシアから日本に留学し就職した友達がいる。 インドネシアとマラッカ海峡を挟んで隣り合う半島。 1年を通して熱帯の気候で時折スコールが来るそうだ。 雪は日本で初めて見たと言っていた。 もちろん秋という概念はない。 春夏秋冬、夏と冬に挟まれて秋は肩身が狭そう。 春には桜、夏は海と山、冬は雪

          思想の尻尾~フレデリックの秋

          思想の尻尾~野球という夢~

          野球が好きだ。 家では夕食の時間、ニュースが終わると野球放送がかかっていた。 父は巨人のONコンビ(王、長嶋)に憧れて育った世代で 決して口数の多い人ではないのに 長嶋の天真爛漫な魅力を嬉しそうに語ってくれた。 当時はその長嶋が監督となり 斎藤、桑田、槇原の三本柱が活躍し投手王国と言われていた。 打者と投手が一対一で対峙し斬るか斬られるか 漲る緊張感に息をのんだ。 でもいつの間にか関心が他に移り 野球の放送枠もテレビから消えていった。 今は大谷さんのホームランをYouTub

          思想の尻尾~野球という夢~

          思想の尻尾~地面師という殺し屋~

          ~前回からの続き~ 地面師は殺し屋の話でもあったと思う。 手段としての殺しでは説明できない、殺しの為の殺し。 豊川悦治が演じる地面師のボス ハリソン山中は殺すことにエクスタシーを感じる。 周囲からは異常者扱いもされている。 ただそこに猟奇的なものは感じなかった。 殺しがまるで生理現象の様になっている。 ハリソンはパートナーのタクミ(綾野剛)に 大きなミッションを成し遂げ 「私たちは大分遠くまで来てしまったが もっと遠くまでいける」と言う。 「遠く」とはどんなところだろう。

          思想の尻尾~地面師という殺し屋~

          思想の尻尾~地面の魔力~

          大分遅ればせながら地面師たちを観終わった。 なぜ遅くなったのか? 思わずストップボタンを押したくなる場面の連続だったからだ。 王墓を暴いた人たちが死者の呪いで 次々に非業の死を遂げるドラマをどこかで観たみた記憶があるが 土地の呪いにかかった様な人たちが次々命を奪われる展開に 血を見るのが苦手な私はせっかくの物語をぶつ切りにしてしまった。 だが最後まで観てみると残酷な印象はなく 人間を正面から誠実に観る洗練されたドラマと感じた。 そのことはまた後で取り上げるとして なぜ騙され

          思想の尻尾~地面の魔力~

          思想の尻尾~ガジュマルの思考~

          鉢植えのガジュマルを育てている。2年目だ。 店先には真っすぐ円錐のような幹の樹もあったが 前かがみになった今にも歩き出しそうな根っこと 幹の形が気に入り持ち帰った。 3日~4日に1度水をやれば元気に育つ。 たまに水をやり忘れても枯れることはない。 1週間家を空けるときは大丈夫かと心配した。 隣家の庭に散水装置がついていて 家の玄関先の特定の場所まで毎日水が跳ねてくる。 その位置を狙って植木鉢を置いて出かけたりしたが 取り越し苦労だったのかも知れない。 名前は「まろっち」と名

          思想の尻尾~ガジュマルの思考~

          思想の尻尾~歯が抜ける夢~

          友達が歯が抜ける夢を見たという。 私の歯が抜けたのは遠い過去の記憶で 歯茎に残るむず痒い感覚を微かに覚えている気がする。 何を暗示した夢なんだろう?と訊いてみると「ストレス」だと言う。 歯とストレス、すぐに結びつかず関係を尋ねてみる。 「歯は自分の意志と関係なく抜けてしまうから」 コントロールできないままならない事がストレスになるそうだ。 「近頃仕事のプロジェクトが多忙でどんどん上からタスクが降ってくる。  眠れない夜もあった。  自分の力ではどうにもならないことに強いスト

          思想の尻尾~歯が抜ける夢~

          思想の尻尾~犬の散歩、都合の綱引き~

          朝近くの公園へランニングに出ると犬の散歩に出くわす。 犬が挨拶?を交わすと飼い主も「おはようございます」と 会話が始まる。 犬が出会いの水先案内人だ。 地面にひれ伏しへたばってしいる犬もいる。 毛深い犬はコートを着込んでいるようなもの 余程暑さが身に応えるのだと思う。 飼い主がいくら綱をひっぱってもピクリとも動かない。 中にはじゃれたがったり、吠えかかったり。 犬社会にも好き嫌いや上下関係がきっとあるのだろう。 犬は犬の都合で動きたがるし 人間には人間の都合がある。 今日は

          思想の尻尾~犬の散歩、都合の綱引き~

          思想の尻尾~批評と誉め言葉~

          「あなたを誇りに思う」「素晴らしい仕事をしてくれた」 上司からの言葉に勇気づけられたと隣人が喜んでいる。 多くの場合誉め言葉は元気をくれる。 言葉をかけてくれたのが大事な人であれば喜びもひとしおだ。 信頼関係が深まり、働く意欲も高まる。 いいことづくめのようだが 「素直に受け取ってよいのか」「下心があるのでは」 「媚びを売っているのかも」疑いが頭をもたげる。 どんな心から出た言葉か? 出自が肝心という訳だ。 上辺だけ「歯の浮くようなお世辞」という言い方もある。 心が籠っていな

          思想の尻尾~批評と誉め言葉~

          思想の尻尾~余白~

          先日友人とブックカフェを訪ねた。 受付で栞作りの催し物を案内を渡される。 店内で栞を作ってSNSにアップすると特典がもらえるという。 作業に疲れ歩き回っていると栞作成のコーナーが目に留まった。 提供は印鑑の代名詞シャチハタだ。 花、金魚、扇子、水や草を模したスタンプ 角に丸みのある長方形の台紙 栞に結ぶ色とりどりの房が準備されていた。 台紙に好みのスタンプを押すと 夏の夜空に打ちあがる花火が浮かび上がってきた。 印鑑からスタンプ、機能から意味へ シャチハタの立ち位置も変化

          思想の尻尾~余白~

          思想の尻尾~もののけ京都~

          京セラ美術館で村上隆の展覧会を観た。 村上さんの作品を初めて鑑賞したのは オリンピックが延期になった年 東京で開かれた日本現代アートを特集した展示だった。 本当なら世界中から集った人で賑わうはずだったのだろう。 その日京都は入場制限がかかるほどの熱気で 笑顔のお花畑(作品)に囲まれた美術館のロービーで そそり立つ赤鬼青鬼が迎えてくれた。 色とりどりのペンで描かれた直筆のメッセージが 添えられ、作品の背景も知ることが出来た。 明治維新で西洋文化の流入が著しく 文化崩壊の危機を

          思想の尻尾~もののけ京都~

          思想の尻尾~なぜ写真をとるか~

          週末京都へ行ってきた。 早朝鴨川を散歩し 焼き立てパンの店に足を運び お気に入りの書店で本との出会いを楽しむ 淹れたてコーヒーの味と香り ゆったりした時間の流れに身を任せてと思うが 一つだけ手放せないものがある。 スマホだ。 五感を刺激するものは写真におさめたくなる。 やめられない習慣だ。 奇奇怪怪というポッドキャストのファンで 過去回を遡って聴いていたら「なぜ写真を撮るのか」という話題になり 興味を惹かれ考えた。 私達には五感とか五識と言われるものがある。 眼、耳、鼻、

          思想の尻尾~なぜ写真をとるか~

          思想の尻尾~他者~

          アパート住まいをしている。 普段はお互い静かで 存在を忘れてしまうぐらいだが たまに玄関先で出くわすことがある。 そんな時どんな距離感で接したらよいのか戸惑う。 まず「おはようございます」「こんばんは」など 言葉をかけてみようとする。 挨拶すれば何か言葉を返してくれるが ぼそぼそ…と喉の奥に言葉が詰まった感じ。 会いたくない人に会ってしまったという 気まずい雰囲気が漂う。 見ず知らずの他人が生活空間を接している。 一歩扉を出た玄関先が公私の汀だ。 みんな元は素性の知れない他

          思想の尻尾~他者~