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#122梓川(あずさがわ・長野県松本市)周遊大学生の育った故郷の話
先日、松本市中心部から車で15分ほどのリンゴ畑が広がる梓川を半日とすこし周遊した。写真のごとく、遠くには山の連なりがみえてその手前には上高地からの清冽な水が流れる。山までの距離が遠くて平地が広い。広いから気分が晴れる気がするような場所。
私が住む丹波地方は中国山地の山々が目と鼻の先にあって猫の額のような盆地があちこち広がり、その合間の谷筋にも集落が広がっている。そのような地形とは全く異なる。
リンゴが実際に赤く木々に熟するのを見たことは、今までなかった。観光地ではない普通の風景でありながら自分にとっては新鮮な感じがする。今回は地元出身の大学生の宮沢君と話しながらのブラブラ歩きで見た風景。
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梓川ときいただけでもなんとなく清冽な感じがする。初に訪れる場所はそれなりの印象を与えてくれるし、適度に遠くて適度に見慣れない風景だと、より一層趣があるし新鮮な印象を与えてくれる。
そのブラブラ歩きをする前に、信州大附属松本中学校(彼の出身校)で教育ラウンドテーブルがあった。それをとっかかりに松本に来たのだけれど、附属中学校の体育館脇の石柱に海抜600メートルいくらとあって、自分の住む地域の山の頂上より高い位置にあるんだと、驚いた。高原都市ではないか。
さて、梓川の堤防に沿って梓水苑(しすいえん)という公苑に行く。広くてバーベキューも車中泊もキャンプもでき、宿泊棟もある。大きな松の木がいくつも自生している。ここで小さい時に彼は鬼ごっこをしたというのだから、これは絶対に楽しいに違いない。さらに歩くとミルク工場がありミルク加工品・ソフトクリームが食べられる。もちろん、観光地価格ではなく通常価格。
そもそも仕事の出張のような旅行は、いつもしがらみやわだかまりのある移動と成果の時間だし、宿泊はビジネスホテルで駅や空港に急ぐことになる。途中の寄り道の時間はほぼない。単純に移動。仕事合間の個人的な旅行にしても、せいぜい気晴らしの時間の調整のなかでの旅行になる。ぜんぜんリラックスしない。
今回はやや違う。相当の寄り道と道草。風景もそうだが、大学生の宮沢君の育った風景と彼の履歴が重なるような話が続くのが物語になる。人を育てるのは親や周りの人間や教育ではあるにしろ、その前に自然や風物が与えるものも大きい。ちょうちょやトンボだってがんばってくれる、と河合隼雄さんが言っていいた。育ちと自然は切り離せない。それが故郷というものだろう。
彼の高校時代、コロナで学校が休校になった時には、梓川の堤防を歩いていたそうだ。鳥の声や水の音と風景がある。そういえば、ある教育研究者は、考えが行き詰まった時、森や林を歩くといっていた。フィンランドの学校を訪問したときも学校のまわりはフェンスのない森だった。自然があるとないとは大違い。
終わりごろに、彼の出身小学校を訪ねると、なんとリンゴの木が数本子供たちの手で植えられ、赤い実を結んでいる。ちょうど校舎の建て替えで、ほぼ出来上がった新しい校舎は2階建てで瀟洒で、なんとなくかつて訪れたフィンランドの学校と似ていて、校庭もひろい。
学校といい周辺といい、こういう場所が人を育てるのだろう。幼少のころにいっぱい遊ぶことのほうが文字や英語を覚えるより後発効果があるというのは、教育研究上でもすでに周知の事実である。
この国(郷土・郷里・故郷)は好きだけど日本(政治や経済のシステム)は嫌い、といったのは宮沢君だけど、今回はわかる気がした。受験秀才ではなく志があることのほうが生きる上で大切だろう。
明治時代を作った多くの人物が地方出身なのも、そういうことかもしれない。そんなことをおぼろげながら感じることができた。
最後に、地元の蕎麦屋のチェーン店、うまかった。ぜひ行ってみてください。そして近所に温泉もある。別荘は無理でも夏に長期滞在するのはありだと思った。また小学生の体験学習などは松本市内の文化もあるのでお勧めです。ちなみに知り合いの若い先生が信州大出身なのだけれど同期生は異口同音に松本に住みたい、というらしい。
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