fig cafe
fig cafeなるものが今年から始まったのは
静岡市草深町にある「aowarau」さん。先週末でそれも終わり(2021/10/9-10/10)
aowarau :『イントネーションは「夏祭り」と同じに』、アオワラウ
普段は、寝かし玄米+旬の地場野菜を使ったランチプレートやお弁当で有名なaowarauさんだけれど
aowarauさん、と言ったら「イチジク」、私の中では。
初めてココで「イチジクトースト」を食べたのは、おととし2019年の秋。
その日もひとりだった。
『無農薬、地元静岡の農家さんから
枝で完熟したものだけを届けてもらってます』
インスタで見たそんな言葉に惹かれて行ったのが最初だった。
帰り道、お堀端に雰囲気の良い貸家を見つける。一軒家。家賃11万円。仕事場として使いたい。仮縫いも、石けん教室も、それを開くに十分な広さと立地条件。
春になれば、目の前が桜になる。部屋が多いから、シェアしてもいい。ここに住みたい、初めて本気で思った。写真も撮った。しかし、数週間後に通った時には『貸家』の看板が取られていた。
その時から2年経った。白いセダンが一台、自転車が一台停められていて、既に人の気配がしていた。
2021年秋、今年は完全予約制。
週末だけ、イチジクマニアの作るイチジクマニアのためのfig cafeがオープン。
(あなたもわたしも イチジクマニアですよね...)
扉が開くのを待つ背中背中背中...それを視界に入れながらひそやかに中でつぶやく。
案内されたのはカウンター席。(初めて座ったのもここだった)
嬉しくて目の前の壁の写真を撮る...嬉しい時はどんな物でもキラキラして見えるのだ。客観的に見たら、ただの壁なのに。
注文したのは、『いちじくパフェ&いちじくトーストセット』 ¥2130。
飲み物は、マヤ茶を。
後でよく見たら、自家製『いちじくアイスティー』や『いちじくミルクスムージー』もある事に気が付く。
(甘い飲み物が苦手だから目に入らなかったのかも)
いちじくトーストが、届いた。
なんと、一斤に2箇所しかない、耳付きの部分に当たり、もうそれだけで充分気持ちが満たされる。
いちじくトースト
・完熟いちじく
・クリームチーズ
・炒った胡桃
・落花生
・バルサミコ酢
・メープルシロップ(アガベ?)
温かい湯気に混じるのは、バルサミコ酢の匂い。
口の中で時々ふあっと鼻に抜ける胡桃の香ばしさがたまらない。
途中でイチジクだけをフォークで口に運んでみる。
ねっとりとした独特の生々しさに、ほくそ笑み頷く。
ひとりの壁際のカウンターは、恥じらいもなく大口を開けてもぐもぐと頬張れるから、こんな日にはもってこいだ。
背中で人々の話し声を感じながら、口内パラダイスに集中する。
ひとりで来てよかったと、思う。そもそも誰かを誘う気は無いけれど。何も喋らず、ただ黙々と粛々と「最後のいちじく」と向き合いたいのだ。
いちじくパフェが届いた。
パフェの愉しみは
一見、何が入っているのかわからないところ。
ひと匙ずつ 厳かな儀式の気分で。
このドキドキ感がたまらない。
完熟いちじくと
シャーベットに始まり
ゼリーに到達
オレンジ色のゼリーは多分、いちじくゼリーだろう。
まとわりつくトロトロの白い物体は、多分杏仁豆腐的なもの...
カリッとひとかたまり、グラノーラが砕ける。
その下には噂のサバランが。歯に心地よい弾力感が伝わってくる。
サバランの層は 何匙にも渡り、たっぷりと詰められており。
ああ、きっと、オーナーもこのサバランが好きなのね、と勝手に納得するのだ。
密やかな連帯感の中、安心して心穏やかにイチジクを味わう。
これは、何?これは?
心の中でそうやって、謎解きをしながら、私のいちじく儀式は終わった。
もちろんオーナーに聞くのもありだけれど、ここはあえて聞かずに帰ろう。それが粋なもんってことね。いや、単に、忙しそうなオーナーの時間を奪うような気がして、聞く勇気がないだけなのです...
次は普段のカフェタイムに。次は誰かを誘って行こうか。もしかしたらまた、最後のいちじくに会えるかもしれない。
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