幼い甥の気持ちを推測して学んだこと
教育のためのTOC 駅伝 Advent Calendar 2021 の9日目の記事です。
2年ほど前、当時4歳か5歳だった甥と母親(わたしの妹)の会話を聞き、部外者の自分が小さな甥との接し方を学んだ話です。
歯磨きが面倒で、すきじゃない甥
詳しい解説はなくても、このロジック・ブランチを下から見ると、だいたいの状況が想像できるのではないでしょうか。
帰省して妹家族に会ったときの、よくある光景です。笑
軽くパニクったおばちゃんに答えてくれた甥
2人を横目に見ていてこのような分析をすぐにできたわけではもちろんなく、実のところ軽いパニックになっていました。
というのも甥はギャン泣き、母親は大声を上げ、そばにいた祖母は(わたしの母です)呆れ声で、その騒音とネガティブなムードに気押されて、一瞬状況が飲み込めなくなりました。なんでこんなことになっているんだっけ?そして、どうしたらいいんだろう?と。
それでどうにか発した言葉がこれでした。
「Mくん(甥)、Mくんはなんで泣いているの?」
思い返すと、かなり間抜けな質問だったかもしれません。
でも彼が悪くないことだけはわかっていました。なのに泣いていたので聞きました。
彼は泣きじゃくっていたにもかかわらず、答えてくれました。
「だって、おばちゃんに仕上げしてもらったよ」
ああ、そうか。
彼がそう答えてくれたことで、自分の中で何かがつながって、彼の状況が飲み込めたのでした。その「何か」が、このブランチなのだと思います。
彼には彼の根拠がある
彼は歯磨きをちゃんと終えたと思っている。
(おばちゃんに仕上げをしてもらったし)おばちゃんの仕上げが至らなかったことが理由で母親がやり直したいと思っていると、彼は知らない。
(わたしは自分の仕事が不十分ではないかと思ったことを、彼の母親にしか伝えなかった)
だから、なぜ母親がもう一度やらないといけないと言っているのかが、わからないんじゃないかな・・
そしてその原因をつくったのはわたしだったのか。
とても申し訳ない気持ちになって彼に謝りました。
「Mくんごめんね、おばちゃんが悪かったね。Mくんは悪くないよ。
おばちゃんの仕上げが下手やったね。
お母さんにもう一回やってもらってくれる?」
すると甥は嘘のように泣き止み、「うん」と言ってすんなり母親のそばに行きました。
同時に妹もおさまったので、「少し短めにしてあげて」とお願いしたら、快く引き受けてくれ、甥に優しく声かけしながら仕上げをしてくれました。
同じ人として、尊重して聞く
このときのことはわたしにとって
「子どもであっても年齢は関係なく、自分なりの理由や意思をしっかり持っている」
「にもかかわらず、大人側が自分の理由を伝えていなかったり大人の都合があったりして、子どものそれをよく聞いていなかったり想像できていないことがある」ということがよくわかった出来事でした。
わたしには子育ての経験がないので、こういったことに気づくとても良い機会でした。
実際には親は責任や肉体的・精神的な負担が大きいために、余裕がないことも多いのかもしれません。
せめてたまに帰省して妹家族に会えるときくらい、子どもたちと妹の両者が穏やかに話し過ごせるきっかけを、自分が少しでもつくれたらいいなと思ったのでした。
最後に、TOCfEとは関係ないですが、今年この本を手に取る機会があり、この中でも「尊敬」「共感」「信頼」「勇気(づけ)」という表現があって、より理解が深まりました。