まんまる頭®プロジェクト

 カーティー助産院は赤ちゃんの発達相談を行っていますが、「頭の形」を気にして来所されるかたが近年とても多くなってきました。
頭の形が歪んでしまっていることから、それにつながる体の使い方にも左右差ができ、結果として反りやすい・抱きにくい・片方のずりばいだけしかしない、といった相談を受けます。

多くの場合、頭の形に目が行き過ぎて発達全体を見る必要があることに気づかれないまま、頭の形を丸くすることが第一目的のようになっています。
実はこの状態には2つの要素が含まれます。
① 頭の形がいびつになって気になる:美容的視点
② 頭の形がもたらした体の使い方の左右差:発達的視点

①美容的視点:生後3ヶ月くらいから歪みが目につきはじめる傾向があります。そのため、首がすわるのを待ってヘルメット治療を考えます。
②体の使い方の左右差:発達の視点からいうと、こちらは頭を丸くして形を整えることでは残念ながら発達を促すことはできません。

①の美容的視点は、そちらの専門にお任せすることにして、②についてお話したいと思います。

②発達的視点
 体の使い方は、生後すぐ〜2ヶ月終わりくらいまでATNR(非対称性緊張性頸反射)という反射があるため、赤ちゃんの頭はどちらか左右一方に向いていて、中央で姿勢を保持することは難しく、そのため向きやすい方に好んで向く傾向があります。これが向き癖です。
向きやすい方向に向く時間が長くなると、床についたほうの頭蓋骨の上に頭全体の重さがかかり、床に接地した頭蓋が変形して平らになってきます。これが頭の歪み・変形です。
向き癖は、向きやすい方向があるものの、もう一方にも向こうと思えば向けます。例えば視界を遮って暗くすると明るい方向に向こうと顔を反対側に向けます。しかし、やはり座りの良い慣れ親しんだ一方のほうが居心地が良く、すぐにいつもの方向に向いてしまうことが多々起こります。

ここで、保護者の方の出番です!
いつも向いている方向が、明るかったり音が良くする方向だったり、または寝室でお母さんが寝る位置が赤ちゃんの向きやすい方向だったり、という日常の一つずつの場所をチェックしてみてください。そして、向きやすい方向がそれらに該当するようであれば、寝かせている頭の位置を変えてみましょう。そして、ここからさらにやっていただきたいことがあります!!

ベビーハンドリングテクニック

 ベビーハンドリングテクニック(以下、ベビーハンドリング)とは、赤ちゃんの日常の扱い方を意味します。日常何気なく行っているけれど、通算すると何回となく行われている動作、これを積み上げると、筋肉の使い方に影響が出てきます。つまり、筋トレを毎日同じ方向や一部分だけしているのと同様です。
筋トレが良いからと同じ部分だけ鍛えてしまった結果は、一目瞭然ですよね!アンバランスな体が出来上がって、せっかくの筋肉も体もうまく使うことができなくなってしまいます。
それが赤ちゃんの毎日のケアの結果なのです。つまり、赤ちゃんの発達は毎日のケアで動かした筋肉を使って動いているので、積み重なった動きが正しく左右同じように使えていれば対称性を保ったまま大きくなれますし、そうでなければどちらか片方だけをより使ったりまたは使わなかったりという非対称性の動きが発達にあらわれてくるのです。
そのため、赤ちゃんをもつ保護者の方が正しい知識と技術を持つことが重要になってきます。
ある研究では、以下のような結果を確認しています:

変形性斜頭症早期の教育的介入は、生後3ヶ月での有病率と重症度を減少させた

Preventing deformational plagiocephaly through parent guidance: a randomized, controlled trial
Henri Aarnivala1,3,4 & Ville Vuollo2,4 & Virpi Harila2,4 & Tuomo Heikkinen2,4 & Pertti Pirttiniemi2,4 & A. Marita Valkama1,3,4
Eur J Pediatr
DOI 10.1007/s00431-015-2520-x
Published online:01 April 2015


赤ちゃんの正しい動きをインプットするベビーハンドリングを早期に行えるような知識と技術が保護者に伝わっていれば、3ヶ月後に赤ちゃんの頭の形が変形したり、その歪みがひどくなることは避けられそうです。

次回はこのつづき、実際のベビーハンドリングについて書きますね!

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