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股関節脱臼

こんにちは。赤ちゃんトリセツ®にようこそ!

赤ちゃんのケアのあれこれを、発達を軸にお話していきます。


aquarielのインスタも画像で色々とお伝えしています。


前回はSIDS回避について書きました。
その中で厚着やスワドリングをすることによる弊害ついて注意喚起しています。前回のお話では、1と2について触れています。

  1. SIDSリスク

  2. 発達の遅れ

  3. 股関節脱臼

今回のトピックは、3「股関節脱臼」です。
先天性股関節脱臼について、育児をしていく上でリスクとなる事柄をできるだけ避けるにはどうしたら良いか、をまとめたいと思います。

発育性股関節形成不全<先天性股関節脱臼(DDH)>

股関節の発育異常であるDDHは、発育性股関節形成不全という名称で知られています。これは、股関節周囲の靭帯の弛緩や子宮内での体位が原因とみられています。
無治療のまま放置された場合には、将来的な股関節の外転制限がかかり股関節に痛みを訴えることが多くあります。

早期治療が非常に重要であることから、出生直後からスクリーニングされます。その際に何らかの異常が疑われた場合には超音波検査での診断が可能です。その他生後4ヶ月以降であれば股関節X線も役立つと言われています。
ほぼ生後すぐからスクリーニングされているため、私は臨床で赤ちゃんに関わってほぼ30年になりますが、一例も見逃したケースをみたことはありません。それほど的確にチェックされているというのが日本の現状だと思います。

DDHの要因

DDHの発生には以下の要因が挙げられています:

  1. 遺伝的要因:家族歴

  2. 胎内環境:第一子・骨盤位分娩

  3. 後天的要因:冬季の厚着・布団による下肢の伸展

  4. その他:女児


後天的な要因を予防しよう!

この上記に挙げた3には、スワドリングなども含まれると思います。スワドリングを全身に巻いてしまうと、足を動かすことが制限され足が伸びた状態で長時間過ごすことになります。赤ちゃんの股関節の臼蓋は未熟で成人に比べて浅い臼蓋であるため、伸展位を取ることによって骨頭が外れやすくなります。

スワドリングをする場合には、必ず下肢が自由に動かせるスペースが必要ですので、足元まで巻き付けてしまわないように気をつけましょう!
基本、赤ちゃんの足はM字型が正しい位置だとおもってください。
*気持ちの良いときに自分で足をまっすぐに伸ばすのは自然なことですので、これについては気にする必要はありません。あくまで外部から足を伸ばした位置で固定してしまうことを指しています。


厚着をすることによるリスク

滋賀県での12年間にわたる調査では、季節的要因についても触れられ、秋〜冬に出生する児で発生率が高いことが指摘されています。
これはやはり冬季の厚着で足が自由に動かせない・布団などによって下肢が伸展した状態が長く続く、などが考えられます。最近は、SIDSリスクにも布団が挙げられていることから、スリーパ使用がアドバイスされています。

スリーパー


その他、重症度が高くなるほど左側優位の傾向が強まることも指摘されています。
これには向き癖が関係すると思われます。
向き癖というのは、向きの好みの問題です。好んで同じ方向ばかりを向くことによって一方の認知が進み、そちらばかりを使うようになりまうす。
向き癖の傾向としては右向きが多いのは研究でわかっています。つまり右向きなった姿勢を長く続けることで、体全体が右に向いてしまい、その結果左側の足が内旋することによって脱臼しやすい状態となります。

女児もリスク要因として挙げられていますが、これは男児より関節が柔らかい傾向があるためのようです。

http://www.jpoa.org/mag/vol17-2/303-307.pdf


まとめ

股関節脱臼リスクが高まるのは、家族歴、女児、第一子、冬季生まれ、骨盤位が挙げられます。
これらの中で自分たちで気をつけられる項目としては
冬季、向き癖の部分です。つまり以下の点に気をつけていただくだけで、リスクを減らすことができます:

  • 冬季に生まれたお子さんに厚着をさせない

  • 布団によって下肢の動きが制限されないように気をつける

  • 向き癖を作らないよう、起きているときにはうつ伏せ運動をさせる


* 冬季は室温を調整し動きやすい服装で過ごさせてあげてくださいね。


世界中の赤ちゃんのスクスクとした成長をお祈りしています☆彡



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