寝返りについて
赤ちゃんの日常のケアで毎日行われる動作によって、赤ちゃんの発達は作られます。言い換えれば、間違った赤ちゃんの運動パターンを助長する扱い方をしてしまうと、その扱い方は赤ちゃんの発達を阻害してしまうことになってしまいます。
私がよく見かける間違った赤ちゃんの運動パターンとは:
反り返り・むきぐせ・3ヶ月以前の寝返り、またはその後の寝返りかえり、などです。例えば生後3ヶ月まではATNRと呼ばれる反射があるため、片方に向いた手足が伸びる傾向があります。反り返りやむきぐせなど、ある一方のみに顔を向けて仰向けで寝ていると、その向いた方の手が伸びて見やすくなります。また、口にその手が当たることも多いため、そこにルーティング反射が起こることでその手を捉えやすく吸いやすくなります。通常はその動作を繰り返すことでスムーズに手と口の連動した動きを繰り返すことになります。
この動きは、左右ともにできていれば問題ありません。左右の認識が進むことで、自分の身体の枠を認識し始めます。
しかし、反り返りやむきぐせがあると、どうしても一方のみの運動を繰り返すことになります。赤ちゃんの発達はとてもよくできていて、何度も繰り返すことで認知が進んでいくので、何度も繰り返すことができる一方と、そうでないもう一方というアンバランスが生じてきます。そうすると、片方の体の認知はできていても、もう片方は存在さえ気づいていない、ということも考えられます。
存在している一方はしっかり使うけれど、もう一方は自分の身体という認識はないので使いません。
赤ちゃんは良い悪いに関係なく、できる動きを繰り返します。使える方にばかり向き、反ってしまう動作を繰り返すことで、上手にそちらに向くことができるようになり、結果反りがひどくなってバランスを崩してバタンとうつ伏せになってしまいます。
残念ながら、これは正しい寝返りではありません。
正しい寝返りとは、気になる方向に頭が向き、頭を持ち上げてそれを見続けて下半身をねじり、それに伴って肘を起点にして回旋し、回ってきた上半身の方の肘を床について着地し、最後に頭が床に着きます。
一方、バランスを崩してひっくり返ったうつ伏せ姿勢とは、ギューッと弓なりに体を反らせて胸あたりからゴロンと床に着き、頭や顔をゴツンと床に打ち付けます。肘で支えたり、下半身を捻じるという動作は見られません。
本来であれば、体の前面を収縮して寝返り、うつ伏せ姿勢になることでその収縮が伸びるという両方の動きが連動しているはずです。ずっと伸びたままではないのです。
まずは最初の3ヶ月で、「左右両方の手を口に持ってくることができ、顔を中央で保つことができて顎が引けた状態で足も少し床から持ち上げて足同士がスリスリしている」というのが理想的な発達です。
この文章を読みながら、もしも反ったりゴロンとひっくり返る動作を繰り返してしまうようであれば、早い時期に近くのバランシングセラピー教室に行き、左右前後が使える動作にしていきましょう!