島田潤一郎というひと
大変失礼ながら、私は島田潤一郎さんがどこの誰で何をするひとなのか、3日前まで知らなかった。偶然出会った「夏葉社日記」という本に登場した人物。私の中の認識は、まだそこまでの認識でしかない。
作者の秋峰善さんが島田さんに惚れこみ、島田さんの出版社でアルバイトをしながら経験を積んでいく。その中で秋さんが語る島田さんという人物を勝手に想像した。
夏葉社日記162頁 「十冊と五冊」より、私の言葉で要約して申し訳ないが、島田さんについて書かれていることを挙げてみる。(語弊があったらごめんなさい)
不特定多数の「誰か」に大ヒットするよりも、顔の見える読者・書店員を思いながら本をつくる。
「期限」や「スピード」を求めず、10年でも20年でもかけて読者に「届く」ことが大切で、そのために本をつくる。
必要以上の儲けはいらないという。
10冊の注文が入ったら「そんなに売れないと思うから5冊でいいのでは」と言う。
一日でも長く夏葉社をつづけたい
私の中のプロファイリングスキルが「ん?」となる。
私がよく知っている「あの人」を思い浮かべる。
「あの人」は、最初からそんな風に考えてきたわけではない。
ヒットを出さなきゃ。売れなきゃ。という呪縛に捉われ続けた20年を経て、事務所を独立してからこれまでを振り返り、こういう考えに至ったのではなかったか。
10年も20年もかけて楽曲を届けたというよりは、「20年経ってみたらヒットもしていないのにみんなが知っている曲になっていた」だったのかもしれないが。
この一節を読んで、島田潤一郎さんが、スタレビの根本要さんにしか思えないくらい、同一視してしまった。もしかしたら、長く活動を続けているアーティストやクリエイターさんに共通して言えることなのかもしれないけれど。
どうにかして、一大ムーブメントを巻き起こさなければと躍起になっている血気盛んな若者たちは、一度立ち止まって深呼吸して、この本を読んでみることをお勧めしたい。
そして、島田さんが営業のために書店を訪ね歩く場面を読んで、感じたこと。営業とはモノを売らずに自分を売ること。お客さんとの信頼関係を地道に構築すること。これは、私自身がしっかり肝に銘じて明日からの仕事に向かおう。
最後に、この本を勧めてくださった間借り書房いりえのいりえ さんに感謝の気持ちをお伝えしたいです。ありがとうございました。
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