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ダイイングメッセージて何よ
2年前にスイッチで購入した『逆転裁判123 成歩堂セレクション』。初期三部作が収録されている大変お得なソフトだ。少し積みゲーになっていたを経て、3作目もとうとう最終局面に突入。
推理ゲームというややマニアックなジャンルを「法廷」に落とし込んでカッコ良い演出を加えたことで、ライトなユーザーを多く生むことになったという点でこの作品は非常に大きい。この手のゲームは全くやったことがなかったのだが、スッカリファンになってしまった。
さて、『逆転裁判』を含む推理を題材にした作品には、いくつかお約束やあるあるの類が存在する。
例えば、ダイイングメッセージだ。
犯人に致命傷を負わされた被害者が、最後の力を振り絞って残したメッセージ。殺した人物の手がかりとなる場合もあれば、被害者以外の第三者がフェイクのダイイングメッセージを作るなどして推理側のミスリードを誘うといった罠に使われることもある。
だが、僕はこのダイイングメッセージという仕掛けがあまり好きではない。
大抵推理モノというのは現実離れしたトリックが多い。(そういや水曜日のダウンタウンで『金田一のトリック アクロバティックすぎてほぼSASUKE説』というのがあったな)そうは分かっていながらも、やはりある程度のリアリティは必要だ。
そこで思うのである。
瀕死状態でメッセージを残す余裕が本当にあるのだろうか。
瀕死(いまにも死にそうであること)
瀕死状態というのはおそらくかなり失血しているし、何より体の大事な部分がめちゃめちゃ痛い状態。当然頭もきちんと回っていないだろう。そんな中でメッセージを残す…いやいや無理があるんじゃないのかい。
ところが…
ネットで調べてみたところ、
このダイイングメッセージはフィクションに限ったことではなく、実在の事件でも被害者が残していたことがあるという。
日本では1963年の波崎事件、1985年の偽装自動車転落死亡事故などで発見されており、加害者を見つけ出す大きな手がかりとなったそうだ。
なんとな…
現実世界で実例がある以上、死の間際に何よりも「犯人を伝えねば」という意志を最優先した人たちがいることは否めない。
のだが、
もし自分が同じ立場だったら同じ行動は取れないだろうな、と考えてしまうと、やはりスッと入ってこないところがある。
そんな状況で真犯人を捕まえるためにメッセージを残せる人間というのは、おそらく社会に出て大成している人に違いない。どっかの社長かめちゃすごアスリートか汚職を全くしない真摯な政治家(グリーン車にも乗らない、その分めっちゃ募金する)とかじゃないだろうか。
僕にゃぁ無理だろう。
諦め重視で生きてきた人間は、多分走馬灯を見る気力さえない。
痛さと辛さで消えてゆく。
10年以上も前のことになるが、ある団体主催の少年キャンプに参加していた時のこと。宿泊場所であった山小屋で2,3匹ほどのゴキブリが発生したことがあった。急いで駆除しようと仲間の一人が殺虫剤をそいつらにかけたところ、あろうもことかそのうちの一匹が別の一匹と交尾を始めた。
これが「殺される前に子孫を残さねば」という種としての強い意志による行為なのか、「どうせ死ぬならその前にセックスしたろ」という変態的性欲からの行為なのかはもちろん定かではないが、多分後者のような気がする。根拠はない。
ダイイングメッセージにせよ死ぬ間際の合体にせよ、死ぬ直前だからこそ火事場の馬鹿力的エネルギーが爆発するからこそできる行為なのかもしれないと考えると、少し合点はいくか。サイヤ人でもないので「死にかける」という体験はしたことがないが、確かに僕らの体は普段の生活では出せていないものの思っている以上のエネルギーに満ちているような気がする。
だがもし僕が何か恨みを抱いている奴に刺されてどちらか選ぶとしたら、交尾だろう。
近くにいる異性をむきだしの感情で抱くだろう。
性欲は何よりも強大なのだ。
結局下ネタに着地