『お探し物は図書室まで』カバー撮影
書影が公開されましたので、撮影のときのことなど。
9月某日、カバー撮影。
私は外部スタッフの方々とお会いする機会がほとんどないので、ご挨拶を兼ねて、見学させていただきました。
編集担当の三枝(さいぐさ)さん、ブックデザイナーの須田さん、カメラマンの小嶋さんと集合。撮影場所は、作中に出てくる羊毛フェルトを作ってくださった、さくだゆうこさんのアトリエにて。
もう本当に、インテリアとかそこに流れている空気とか、何から何まですてきなのです。
ここでワークショップなどもされているそうで、今度は仕事とは関係なくおじゃましたいなと思いました。
さくだゆうこさんの公式サイトはこちらです。
羊毛フェルトは、それまで画像で見せていただいていました。
実物とのご対面、感動でした。私のイメージをはるかに超えて素晴らしい。
フェルトの向こうに登場人物の姿が浮かんだほどです。
個人的にはカニのリアルさがとりわけ驚愕で、本当に今にも動き出しそうでした。
フライパンの金具も、地球の色のバランスも、飛行機のグリーンもオシャレ。
そして猫については、プルーフの表紙にも使われた「座り猫」が先に出来上がっていたのですが、後からリクエストして作っていただいたという、寝ている姿の猫がプラス。
猛烈なかわいらしさの「ねんね猫」を前に、一同、目を潤ませながらかたまる……(笑)。
本は、三枝さんと須田さんがあらかじめ古書店で探してくださったもの。
この表紙で、どんな本を被写体として選ぶか、とても難しいところだったと思います。
タイトルにどうしても目がいってしまうし、まったくないのも不自然だし、「図書室」の感じを出すためには真新しい本ではなくある程度のこなれ感も必要だし、羊毛フェルトたちと組み合わせたときの色や質感の相性も大切。
それが、もうこれ以上ないぐらいにぴったりハマって、よくぞ探し出してくださったと感謝でいっぱいです。
実際にある本なので、これを創った作者や編集者やブックデザイナーがいたんだよなぁ……と、別の観点からもなんだか壮大なロマンを感じてしまいました。
照明は一切使わず、すべて自然光!
本をどう重ねるか、羊毛フェルトをどう置くか……。
何度も何度も、少しずつ調整しながら3時間強の撮影となりました。
私はそばで見ていただけですが、忘れがたい光景です。
こだわってこだわってこだわって、
たくさんのパターンを撮って、
表紙に使われるのはたった一枚。
だけどその一枚は、膨大な数を試行錯誤してこそ生まれるのかもしれないなと思いました。
こんなふうにブログに記事をアップするかもしれないことを考えて、撮影中の様子を写真に撮らせていただこうと思っていたのですが、実際にスタートしたらとてもできなかったです。
私の頭の中にあったものが、こうやって形になって、
それぞれのプロが一番いい形で世に出そうと力を寄せ合っている……。
神聖なものを目にしているんだなと、気安くスマホを向けることに臆してしまいました。私の心にずっと留めておきます。
ところで、私はこのカバー画像を見るたび、ひそかに
「ここにハチワレ猫がいる……ミクジがいる……」と思っていたのです。
カバーが決定してからキャッツミャウブックスさんで打ち合わせをしたときに、店主の安村さんがその木目を指さして
「僕、これ、猫に見えるんです……」
とおっしゃったのですごく興奮しました。
そうでしょ、そうでしょ!?
いるよね、猫!!
発売される本には帯がかかっていますが、ぜひお手に取って確認してみてくださいね。猫がかくれているから(=^・^=)!