「コトノハ」ものがたりの世界2022
3月6日(日)、MBSアナウンサーによる「コトノハ」朗読公演のため大阪へ!
『月曜日の抹茶カフェ』を朗読していただきました。
もうほんとうに、言葉にならないくらいすばらしかったです!
本編12章のうち、1章と12章を続けて上演していただきました。
2020年の3月にもコトノハで『木曜日にはココアを』を朗読していただくことになり、楽しみにしていたところ、開催直前に有観客が難しい状況になり急遽Youtube生配信へと変更。
そのときのアーカイブ動画がこちら!
【朗読】「木曜日にはココアを」コトノハ2020④
私、この2年でこの動画を何回観たことか……。
ほんとうにかわいいかわいいココアさんたちと、イエローファミリー。
コトノハの朗読は、「聴く」というより「見る」舞台なのです。
基本、立って台本を読まれるスタイルなのですが、役に合った衣装をお召しになっていたり、ちょっとした動きや演出もあったりで、「観劇」という感じ。
1995年から始まったコトノハイベント。おととしも、去年も、無観客での配信となったけど、今年はとうとう3年ぶりの会場開催!!
歓びもひとしおです。
※ここからは、『月曜日の抹茶カフェ』の小説のネタバレありです。
まずは美保役の野嶋紗己子さんの朗読からスタート。等身大の「頑張り屋の女の子」の雰囲気がご本人にぴったりでした。
美保をマーブル・カフェにさらりと誘導する光都には松本麻衣子さん。おととし、『木曜日にはココアを』でなんと「たっくん」を演じてくださったコトノハのキャプテンです。
のほほんとした「マスター」には森本尚太さん。
マスターの役、難しい役どころだと思うのですが、あのとらえどころのないキャラクターを見事に表現されていました。
楽しいなぁと、にまにま見ていたら、吉平さん登場。
なんというか、ガーーーン!!!
息を呑むような衝撃!!!
福居吉平役の大吉洋平さんが、あまりにもあまりにも吉平さんで!
名前からして出来すぎなのに、たたずまいといい、声のトーンといい、本を開いたら飛び出してきたのではないかと思うぐらい吉平さんそのもので!!
さらに本物の関西のイントネーションで吉平さんのセリフを聞ける贅沢。
あー、びっくりした、信じられない!
大吉さんが吉平さんを演じてくれているのか、私が大吉さんをモデルに吉平さんを書いたのか、自分でもよくわからなくなるぐらいでした。
1章の美保のひたむきさを愛でているうち、ステージは12章へ。
吉平バージョンです。
実は照れ屋な吉平の胸のうちをたどりながら物語に入り込んでいたとき……
ワタルくん登場。
ああ、そうだった!!!
そういう話だった!!!
著者なのにすっかり忘れていて、ほんとにそう思いました。
ウェイターの茶色いサロンを巻いて現れたのは、2年前、『木曜日にはココアを』でワタルくんを演じてくださった金山泉さんでした。
涙がぶわーっと出てきてしまい、少し大人になったワタルくんに胸がいっぱいに。
ということは、ということはとドキドキしていたら
マコちゃんきた……!!!!
……号泣……。
マコちゃんも、2年前と同じ、藤林温子さんです。
マコちゃん……もともと可愛かったけど、ますます綺麗になってる…。涙涙。
ふたりがアイコンタクトを取るシーン、あれからいい関係を育てたんだな……というのが数秒にぎゅっとこめられていて、よかった、よかったねぇ…。あの恋文はちゃんと渡せたのかしら。
小説は架空のことなので登場人物は読者さんの心にいるわけですが、実際に生きている演者さんがそのまま数年後の姿を見せてくださったことで、ものすごくリアルに感じました。
金山さんも藤林さんもココア度が増量していて、この2年、おふたりはずっとココアさんとして暮らしていたのではないかという錯覚に陥るほどです。
涙を拭き拭き、昼公演が終了。
ほんの少しだけ、楽屋の入り口で皆さんとご挨拶させていただきました。
イエローの朝美(松川浩子さん)と輝也パパ(河田直也さん)も来てくださった!
嬉しすぎてはしゃぎすぎて興奮してしまい、言いたいことがうまく伝えられなかった気がします。ああ、ちゃんと話したかったのに。
写真を見ながら、あの夢のような光景は現実だったんだなぁ……と不思議な気持ちでいます。
皆さん、普段のお仕事をしながら、いっぱい練習されたんだろうな…。
今年も有観客での開催がどうなるか心配しつつ、この日を迎えるために一日一日を大事にされてきたんだろうな。
同じ空間で「会える」という奇跡と幸福を、しみじみと噛みしめました。
もうひとつ、私が感動したのが会場のお客様のリアクションの良さ。
笑ったり拍手したり、劇場が一体となってひとつの公演を盛り上げていました。ラストは席のあちらこちらで、ステージに向かって大きく手を振る姿が。MBSアナウンサーの皆さんが、テレビやラジオの向こう側にいる多くの方々からほんとうに愛されているんだなと、強く感じました。
小説は、作家の手から離れて、どこまでも遠くへ、広く広く旅していきます。そしてその中でたくさんの人たちとめぐり合って、育てていただいて、時にはこんなふうに、作家の目の前で新たなシーンを見せてくれることがあります。
私はどうして、小説を書きたいんだろう?
横浜の自宅に帰る途中、そんなことを考えました。そして、今ここで言葉にはできないけれど、その理由を思い出した気がします。
これからも、ひとつひとつ作品と向き合って、書き続けていこう。
感謝と共に、静かで強い想いで心が満たされました。
ほんとうに、どうもありがとうございました!