週刊新社会9月20日号 物流2024年問題 国民民主党・玉木雄一郎氏の秘書に「速度制限緩和発言の撤回を求める要請書」提出 掲載されました
週刊新社会の9月20日号に2023.8.23に衆議院第一会館の玉木室に「速度制限緩和発言の撤回を求める要請書」を提出した際の記事が掲載されました。
#2024年問題 #トラックドライバー
玉木氏に対して積極財政を推し進める国会議員である玉木氏の速度制限緩和発言は「全くの的外れ」との自分が最も強調したい言葉も。
部屋にいた玉木氏の秘書の方の前で要請書を読み上げ、しっかりと要請書を手渡してきました。
果たして、実際に玉木氏はこの要請書をご覧になったでしょうか。
以下、要請書の中身です。
「国民民主党・玉木雄一郎氏へ。速度制限緩和発言に対して発言の撤回を求める要請書」
国民民主党・玉木雄一郎代表が2023年4月4日自身のTwitter上にて「大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和してはどうでしょうか。東京-大阪間が片道1時間半短縮できてもっと物が運べます。車の安全性能も高まっています。」と発言した。
トラックドライバーの残業時間の制限が始まる物流業界2024年問題についての発言であるが、あまりにも発言が軽率である。
大型トラックの最高速度は1963年以来、時速80キロに制限されてきた。経済成長で物流需要が増すにつれ、トラックがからむ高速道での重大な死亡事故が激増し、それに伴い大型トラックに速度抑制装置の装着が義務付けられた。
大型トラックの速度制限のはじまりは、1998年当時、高速道路における死亡事故の23%を大型貨物自動車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の貨物自動車)が原因となって発生しており、その内訳を見ると、51%が追突事故であり、またその85%が法定速度を超過するなど、大型トラックによる速度超過が問題となり、1999年6月運輸技術審議会答申「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」において、大型車等を対象とした速度制限装置の義務づけの検討の必要性が指摘されたことから、関係有識者からなる大型貨物自動車事故防止対策検討会において検討を行い、「大型貨物自動車について速度抑制装置を義務づける」との結論を得たことから、道路運送車両の保安基準の改正を行った経緯がある。
だが実際に玉木氏の発言以降、物流業界2024年問題の対応策として80キロ規制を100キロに引き上げる方針を政府がまとめた、との報道があった。
この対応策には以下の問題点がある。
現在の大型トラックの構造は、100キロ走行に耐えうる構造になっていない。
現在の大型トラックの構造で100キロを出すということは、回転数がレッドゾーンまで跳ね上がり、回転数が常時レッドゾーンまで跳ね上がった状態で高速道路を走行すると、当然その分燃費は悪くなる。
燃費が悪くなるということは、燃料の減りが早くなるということで、会社はその分経費が上乗せされる。
もう一つは、安全性の問題である。
車重の重たい大型トラックは、万が一事故が発生したとき、速度が上がるほど被害が大きくなり、その速度が上がるほど運動エネルギーが上昇することになり、いざ交通事故を起こしたときの被害が増大することになる。
特に荷物を積載した場合の重量は20トンを超え、危険はより増大する。
2007年8月、国土交通省ではスピードリミッターの効果・影響評価を発表しており、大型トラックへの交通事故への影響変化を見ると、高速道路での事故発生件数は全体的に減少傾向にあり、2005年の大型トラックの死亡事故件数は、1997年から2002年の平均件数より約40%も低減していることがわかっている。
確かに玉木氏の言うとおり、安全支援装置の発展は近年めざましく、その効果は飛躍的に上がっているが、こういった最新の安全装置を装着したトラックを常に常備できる運送会社は限られていることも忘れてはならない。
それと同時に実際に荷物を積載しトラックを走らせている場合、荷崩れの懸念もある。
荷崩れを起こした場合のリスクは荷物を積載している運送会社、ドライバーがそのリスクを背負う場合が多い。
速度が上がればその分積載している荷物の荷崩れのリスクが増大するのは当然なのである。
この物流業界2024年問題は、トラックドライバーの長時間労働、低賃金の問題が問題の本質である。
そもそも労働者の働き方を改革する事で進められたこの働き方改革関連法において、トラックドライバーという労働者とトラックドライバー以外の一般車のドライバーを危険に晒す可能性のあるこの大型トラックの速度制限緩和を、政治理念として積極財政を謳う、国民民主党代表の玉木氏が提唱するとは残念の極みである。
積極財政を謳うのならば、トラックドライバーの処遇改善を真っ先に提唱するのが玉木氏のやるべきことではないのか。
厚生労働省の調べでは、現在トラックドライバーの労働時間は全産業平均より約2割長く、年間賃金は約1〜2割低いという試算が発表されおり、物流業界2024年問題の問題の一つとして世間で言われているトラックドライバー不足もこの低賃金が一つの要因としてあげられるのではないのか。
ならばまず真っ先にやるべきことは、運送会社の安定収入確保やトラックドライバーの賃金を引き上げる事であり、決して速度制限緩和を行うことではないと断言させていただく。
そしてこの大型トラック速度制限緩和の提言は、トラックドライバーやその周辺を走る一般車ドライバーの生存権の侵害であり、この発言は日本国憲法第25条違反である。
今すぐこの大型トラック速度制限緩和の提言を撤回していただき、より効果的な物流業界2024年問題の問題を解消する政治を行っていただくよう一国民、一大型トラックドライバーとして期待している。