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プロ(お金を頂く身)なら予行と予備をちゃんとしよう

はじめに

どんなに完璧にしようとも人間がからめばミスはおきることもあるし、システムが絡めば故障などのトラブルは起こってしまう。だからこそ、普段から点検をしたり動作確認など行うのだが、それでもライブでは予想もしないことがおこるものだ。

よって、保険をかけるわけだ。ここではいわゆるお金や補償のことではなく、予備(バックアップ)のことで、いかに素早く正常状態に戻すかである。

PCやスマートフォンにおいて万が一破損や水没したときのために、クラウドにデータをバックアップしている、という人は多いだろう。バックアップ要員なんて言葉で、万が一担当者が不在のときのための人を用意する、という仕事もあるだろう。今回、私がここで記載するのは、昨今増えてきたリモートセミナーやリモート会議ビジネスにおける予行準備や予備についてである。

提起したい問題

カメラとマイク付きPCとネット、または昨今のスマートフォンやタブレットとネットワーク環境さえあれば、いまや世界中の人々に対してリアルタイムで会議、セミナー、ワークショップを行う事ができる便利な時代になった。

そのアプリも大半は無償だったり、かつてのB2Bシステムに比べたら格安。それでも物足らない人たち(私もだが)は、これまた安くなったスイッチャーを購入、コンデンサーマイクにミラーレス一眼レフのカメラと揃えていき、配信システムを構築しつつある。それでも一昔前にくらべたら非常に安価でシステムが組める良い時代になっている。

外出自粛によりリモート会議やリモートセミナーが増えてきている昨今において、Zoom, WebEx, Teams といったテレビ会議システムをつかった会議、セミナーにおいてのトラブルもちらほら見かけるようになってきた。

具体的には、
・登壇者のカメラ映像はみえるが声がきこえない(本人は他人の声がきこえてる)
・ある人のカメラ画像や資料がブレブレの低解像度で全く見えない
・画面共有しようとしてもどこをいじっていいのか発表者がわからなくてあたふたして時間がすぎる
・回線が落ちる、勝手にログアウトした等

身に覚えがあるひともいるだろう。社内会議等ではほほ笑ましくもおもえるが、気になるのが、金銭授受があるコンサルや講演の場合である。

トラブルの時間分を延長するとかなら良いが、お金を払う側によっては、延長されてもこっちも用事あるのに、ということもあるだろう。私が体験したある人は、1時間の共同コンサルティングで15分遅刻、理由はPCがアップデートした、ネットが不調と言っていた。その人はその後も Zoom を使った事もなかったらしく、画面共有ボタンがわからないと悩み、皆で、ここにあるかも、と画面をだしたりして教えてスタート、その後もマイナートラブルがあって、途中でコンサル終了時間になったので終わります、とログアウトした。これでお金を満額もらうとか、詐欺にも感じてしまった。

だからこそしっかり予行演習や予備が大事なのである

しっかりとした予行準備と予備(バックアップ)を

説明を分かりやすくするために、Zoom 等をつかったオンラインセミナーを開催するとしよう。

何を事前にしておくといいだろうか?

バックアップや確認作業というのは、し過ぎて損はない。しかし、残念ながら恐らく時間もお金も資源も有限だから、どこかで線引きは必要である。自分の環境ではどういう問題やトラブルが起こり得るだろうかを考えつつ対応策を考えてほしい。

◎バックアップ(予備)
基本的には機材関連の故障を前提に二重持ちしておくことである。もちろん、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアも大事で、例えばパワーポイントなどのプレゼンもローカルファイルだけでなくクラウドストレージなどにおいておくなどもしておく。

PCやタブレット
配信PCがクラッシュしたり不調になったときにこの代替えマシンから配信する。よって、パワーポイントなどプレゼンにおいての画面共有するための資料があるなら、それらもすぐに共有できるようダウンロードしておく。

カメラ
もし顔をみせての配信が前提ならばUSBカメラなど予備を用意しておく

マイク
カメラはなくてもマイクがないと恐らくセミナーやコンサルなど全くできなくなる。実は非常に重要なインターフェース。これも予備があるとよい。USBカメラにはほぼマイクも内蔵しているはずなのでカメラを用意しておくと良い。

◎予行・準備
アプリの事前確認
テレビ会議システムやリモートサービスを事前に触ってUIをざっと見ておく。画面共有の仕方、権限の譲渡の仕方、チャットができるならその方法など。

接続確認
はじめてオンラインアプリ、テレビ会議システムを使うならば、一度、誰かと繋いで予行演習すると良い。クライアントがもし接続テストに手伝っていただけるならなお良い。

音量確認・画像確認
上記接続確認のときに相手に確認してもらうのが良い。ほとんどのテレビ会議システムなどは、スピーカーやマイクの確認がローカル(自分のPC)でできるが、届いた先では自動で音量調整がされる場合がある。自分では、大きすぎるとおもっていたマイク音量やコンテンツの音量が、先方ではまったくボリューム上げても聞えなかった、とか、マイクとコンテンツの音量の差が大きすぎた、といったことも事前確認してわかることだ。
これらは当日の本番の前にでもできる。

◎その他
他に気をつける事、確認しておくと良い事は、
・可能ならネットは有線LANだけにする
・ノートPC、タブレット、マウス、キーボード類のバッテリーの確認
・スマートフォンのマナーモード(講演中に鳴り響くため)
・ON AIR 中や会議中のため入室禁止の張り紙(自宅の方は特に)
・可能ならばトラブルおきたときに連絡できる人の電話番号を用意
・近隣道路工事などの時間(うるさくて聞えなくなる可能性あり)
他にもあるかもしれないがこのあたりにしておく。

まとめ

ここに書いた事は、ライブ・舞台・興行運用関係者らにとっては当たり前すぎることだと思う。お金を頂いてライブでなにかをやる以上、トラブルがおこってもすぐになにもなかったように進められるよう準備やバックアップをしておくのはプロとしては当然のことなのだ。

ちなみに私はデモンストレーションなどでも予行やバックアップをしっかりやる派である。役員や偉い人、ジャッジして頂く人などにデモをみせるチャンスに、「あれ、さっきまで動いていたのに」というのは、エンジニアなら経験したことがあるのではないだろうか。せっかく時間をとって見に来てもらっておいて、待たせるあの時間は本当に皆が苦痛の時になる。だから、機材は極力2台用意したり、動いている時の動画をとっておいたのを流しつつ、バックアップ機に切り替えたりする努力を行う。しかし、展示会などのデモにおいても意外とそこまでやってる人は少ない。

話を戻すと、オンラインセミナーにしろコンサルティングにしろ、無料だったらトラブル対策まったく無しが良い訳ではないが、やはり対策できるなら無理ない範囲ではやっておくべきだろう。少なくとも無線系は不安定なもの、と決め込んで全部有線にするぐらいの感覚は欲しい。

この手の予行や準備は、全くトラブルがないと無意味ではある。
本番をいかに上手くやるかの演出やコンテンツが当然優先すべきことではあるが、もし、プロとして、お金を頂いて何かをやるならば、または、ここ一発でミスできない、という時こそ、しっかり予備(バックアップと予行)派しておいて欲しい、と思う。


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