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"オシャレ"ってなんだ?

「それ、オシャレですね!」「こうするとおしゃれですよ」

一日一度は聞くオシャレ(お洒落)という言葉(言い過ぎ笑)。多用する人もいるけど、オシャレってなんだ、って話から。

乱立する「おしゃれ」という言葉

私は、この1〜2年ほど、公私含めて建築・不動産業界と携わっていてその関係もあって、注文住宅やマンションなどの住宅系や家の片づけ整理系などの Youtube 動画を見まくっている。ハウスメーカー、建築家、工務店、不動産屋などのプロの動画から始まり、素人の家作り系の失敗成功談、内装外装問わず。そしてずっともやもやしていたことに気がつくのである。それが、どの動画でもすぐに「オシャレ」って言葉を使うのだ。

  • 「ここに間接照明をいれたんですよ、オシャレですよねー」

  • 「キッチンはホワイト系でまとめました。オシャレキッチンです!」

  • 「ニッチをこういう場所につけるとオシャレってきいたんで、つけたのですが大正解!みんなオシャレっていってくれます♥️」

  • 「オシャレな家にするための5つのポイント教えます」

もうどの動画も「オシャレ」「おしゃれ」の言葉のお祭り騒ぎ。

なんとなく納得して聞き逃してしまいがちな「おしゃれ」って言葉、でも、おしゃれって数値化できるものでもなければ、人によっても感じ方が違うはず。文化や時代によっても違う。国がかわれば、オシャレもださいになってしまう。
そう、受け取る側も含めて価値観と評価軸で大きくぶれるのに、なんとなく「誰もが反論することなく(おしゃれですよね)」とでもいうかのような、言いっぷりに違和感を感じる。

なぜそんな細かいところに気になるかというと、私は、体験価値を創り出す仕事を専門にしている。業界では、UXデザイナーとかUXCXクリエイターとかディレクターとかっていわれるのだが、それはさておき、私はこの人の体験価値を創り出しデザインするとき、

形容詞と形容動詞の評価と理解

が重要だと考えている。「楽しい」「面白い」「おいしい」「うれしい」「綺麗だ」「満足した」など。これらをどう引き出す体験を創るか、これが私の仕事なのだけど、まさに「おしゃれ」もその一つで、これらの形容詞、形容動詞は、やっかいなことに、数字化しずらい上に、本当にひとそれぞれ。
もちろん平均化や傾向はだせるが、グローバルカンパニーで働いていた経験からすると、日本人が「面白い」とか「この商品良い!」といっても、海外だと散々な評価だったりすることは、まぁまぁあるので、本当に難しいのだ。

オシャレって?

さて、おしゃれに話を戻そう。辞書を色々ひくとこんな意味だ。

お‐しゃれ【▽御×洒▽落】
服装や化粧などを洗練したものにしようと気を配ること。洗練されていること。また、そのさまや、その人。

goo辞書

ある方と「おしゃれ」の言葉の多用について話をしてたら、自分向けじゃなくて他人向けの思考と価値なのではないか?というコメントをもらった。
なるほど、住宅系やファッションなどの Youtuber 動画をみていると、他人から「おしゃれ」といわれるため(または、ださいといわれないようにするため)というのが凄く感じ取れる。個人のこだわりや価値<他人からの評価、になってるようなのだ。
(注意:本人たちはそうは思って発言してないとは思うので、これは私の勝手な解釈)

個人的な見解だが、本来、自宅の住宅などは客人のためよりも、まずはそこに住む自分達がメインであり、他人に見せてチヤホヤしてもらうために家を建てるわけじゃない。服もまずは自分がメインだと思うのだが、やはり、人間、私もそうだけど、他人に褒めてもらうことは正直嬉しい。だから、他人の目や評価を全く気にしないかというとそれは難しい。

ただ、この他人から良く言ってもらいたいが強くなりすぎた時代になったのか、SNSを使って「いいね」など評価値がでやすくなったからなのか、自己顕示欲の鬼みたいな人間が露出してきやすい世の中なのかわからないが、自分のための「おしゃれ」(洗練)ではなく、他人のために「おしゃれ」を意識するようになってるように思えて、なんだかちょっと怖いな、と感じている。

まとめ

「おしゃれですね」って言葉をきいたら「どこがどう?誰が?それは10年たっても?」とか自問自答してみると面白いかも(私だけ?笑)。
案外、なんとなく、社交辞令的なところで使われている可能性が高い「おしゃれ」という言葉、すこし、他人の視点からではなく、自分の「洗練」として受け取り、今一度考えてみてはどうだろうか(私自身にも言ってる)。


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