アロマテラピーについて
精油に秘められたパワー
古代より精油は宗教儀式や埋葬、治療薬などに使われてきた。
植物療法研究のパイオニアは古代エジプト人とされている。
聖書にも精油を使用していることがわかる記述がいくつも出てくる。
神様がモーセに「聖なる注ぎの油」のレシピを詳細に告げているところは非常に興味深い。(出エジプト記30:23)
有名なのは、幼子イエスを礼拝するためにやってきた東方の博士たちが贈り物として捧げた乳香(フランキンセンス)と没薬(ミルラ)。どちらも同じ仲間のカンラン科の植物の樹脂を乾燥させたもので、当時から非常に高価だった。
フランキンセンスは皮膚の再生を助け、また心を落ち着かせて呼吸を整える働きがある。
ミルラは痛み止めや悪性腫瘍などの治療、そして腐敗を防ぐ効果を利用し埋葬にも使われた。亡くなった愛する人の体を1日でも長く保存するために塗られていた。
聖書にはイエス・キリストが十字架にかけられる一週間前、ある女性が非常に高価な香油をイエスの足に塗り、髪の毛で拭ったというエピソードがある。
その香油はスパイクナードという植物が使われ、痛みや炎症を抑える働きや心臓強壮、貧血防止、筋肉を緩める、抗菌などの作用があるとされている。まさに十字架にかかるための準備なのではと思わされる。
ところで、ここ数年はコロナ禍の影響で多くの人が自宅で過ごす時間が増えた。
そのためか、アロマショップやアロマグッズを置くお店が増えているように感じる。
アロマテラピーとは
Aroma(芳香)とTherapy(療法)を合わせた造語。つまり、天然の香り成分の効能を用いる植物療法のこと。
日本では法律により公に効能をうたえないため、リラックス目的に精油を焚いたり、嗅いだりして楽しむのが一般的。しかし、それだけでは良さが活かしきれない。アロマテラピー発祥のフランスでは、治療として使われており、家庭では常備薬のように欠かせないもの。
精油には様々な特性がある。痛みを和らげる作用があるもの、呼吸器系の症状に向いているもの、内分泌ホルモンに働きかけるものなど、様々な効能や効果があることが認められている。
日本でも介護や緩和ケアなど医療現場で補完療法として取り入れている病院も増えて来ている。
精油(エッセンシャルオイル)とは
香りの成分を含む植物から抽出した濃縮液。香り成分(芳香分子)は植物が身を守る為の知恵と考えられている。
多くの植物の中には香りの成分が貯えられている。
柑橘類の橙(だいだい)からは3種類の精油が採れる。
花(ネロリ)、果皮(オレンジ・ビター)、葉(プチグレン)
それぞれ香りが違い、成分にも違いがある。
ネロリの特性:神経バランス回復、抗うつ、血圧降下、消化促進など
オレンジ・ビターの特性:鎮静、神経強壮、血流促進など
プチグレンの特性:神経バランス回復、抗アドレナリン、リラックス
自律神経調整、誘眠、抗うつ、皮膚組織再生など
植物が香りを放つ考えられる理由
・虫などから食べられないようにするため
・受粉を助けてくれる昆虫などを引き寄せるため
・周辺に生えている植物の発育を阻害するため
・植物自身の抗菌、治癒のため
・植物同士のコミュニケーション
植物は身を守るために香りを放出して生き残ってきた。
精油には植物たちのメッセージがギュッと詰まっている。
多くの作用や効能があるのもうなずける。
精油は心と体、両方に働きかけて私たちの健康をサポートしてくれる存在。
※ 精油は医薬品ではありません。
また、アロマテラピーは医療行為ではありません。
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