マンションを1円でも高く売るためのコツとタイミング
マンション売却を決めたら、賢く高く売りたいと思うのは当然です。必要以上の値下げや、売れ残って無駄に月日が経つのも避けたいですよね。
この記事では高く売るコツや考え方、タイミングをまとめました。
愛着のあるマンションを1円でも高く売りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
【ベストな売り方は?】マンションを高く売る方法3種類
マンション売却の方法は3種類あります。
仲介
仲介は、不動産会社に間に入ってもらい、買主を探してもらう方法です。
相場に近い相応額で売れる可能性が高いですが、買主が見つかるまで半年以上かかる場合があります。
買取
買取は、不動産会社に買い取ってもらう方法です。
買主を見つける必要がないので、短期間で売却できる可能性が高くなります。不動産会社は、買い取った後にリフォームやリノベーションなどをしてから売り出すことが多いので、買取価格は売却の場合よりも3割程度安くなります。
個人売買
個人売買は、自分で買い手を探す方法です。
親族同士で売買するなど、限られたケースで用いられる方法です。広く一般向けに売却を考えている場合は、不動産の専門知識や経験がない方にはおすすめできません。
今回は一番高く売れる【仲介】に絞って、高く売却するポイントを解説します。
【重要】マンションが高く売れるタイミング3選
タイミング次第で売却価額が数百万円変わることもよくあります。自分の売りたいときではなく「買主が買いたい時」を想定したうえで、ベストなタイミングを見極めましょう。
3月の引っ越しシーズンを目指して10月頃に動き出し、2月に売り出す
LIFULLが実施した売却経験者へのアンケート結果によると、最初に不動産会社に連絡してから売却完了までの期間で一番多い回答は「6ヵ月~1年未満」の28.2%。次いで「3カ月~6カ月未満」の24.3%でした。
このアンケートは一戸建ての回答も含んでおり、マンションだけで見ると平均6.34ヵ月です。思ったより時間がかかると思う方が多いのではないでしょうか。
マンション売却と同時に次の物件に引っ越すことを考えると、モヤモヤする日々が続きますが、ある程度期間がかかるのは仕方ないと割り切って、売り急いで損をするのは避けたいところです。
また、不動産屋さんの営業文句として「うちならそんなに長い期間かからない」と言われることがあるかもしれません。これはよくある営業トークなので、もっともらしい理由を言われても信じない方が賢明です。
後ほど買主との交渉のときに「いま売らないと時間がかかるかもしれません」などと煽られ、急かされる可能性が高くなります。
不動産は新年度である4月に向けて、就職・転勤・入学などで市場が活況になるので、その時期に売ることを目標に、半年前の前年10月頃から売却活動を始めるのがベストです。
新築マンションが値上がりしている時
2024年5月現在は、不動産バブルと言われています。不動産バブルがいつまで続くのかについては、2025年という意見もあれば、一層加速する、緩やかに落ち着くという見方もあります。
結論は誰にもわかりませんが、次の中古マンションの平米単価・成約件数の推移(上)と中古マンション件数の推移(下)を見ると、成約件数は微減、在庫件数は増加しているのが分かります。
出典:東日本不動産流通機構
出典:東日本不動産流通機構
次の国土交通省が公表した「不動産価格指数(住宅)」(令和5年6月)によると、マンションの価格は2010年に比べて2022年時点で1.8倍以上になっており、現在も上昇トレンドにあります。
以上のことから、一部のマンション価格は需要が多く価格が高騰しているが、中古マンションの需要は減少しているとわかります。売りたいマンションが交通や生活の利便性が良いなど、資産価値が高い場合は2024年以降も価格は上昇しそうです。
ここでいう資産価値とは、
都心の駅から近い、または人気のエリア
周辺施設が充実している
築浅である
などがあげられます。これらに当てはまらない場合は、なるべく早く売却の行動に移した方がいいかもしれません。
近隣物件の売り出し状況をチェックする
近所に同じような間取りの物件がある場合は競争となり、価格は下がる傾向にあります。
高く売却したい場合は、競合物件の買い手が決まってから売りに出すなど、売り出すタイミングをずらすのも一つの手です。
税金面から考えるマンションを売るタイミング
現在は、2010年に比べるとマンションの価格が1.9倍になっているので、マンションを購入した時の価格より売却価格の方が高くなるかもしれません。
売却することで利益が出た場合「譲渡所得税」の対象となりますが、タイミング次第で税率が大きく変わるので、しっかり押さえておきましょう。
所有期間が5年以内の場合、税率39.63%(短期譲渡所得)
所有期間が5年~10年の場合、税率20.315%(長期譲渡所得)
所有期間が10年以上の場合、税率14.21%(軽減税率適用)
ただし、現在自分が住んでいる場合は【3,000万円特別控除の特例】が適用され、利益3,000万円までは非課税となります。
空き家の場合は、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すれば【3,000万円特別控除の特例】が適用されます。
仲介を依頼する場合、契約方法は3種類
マンションを少しでも高く売るならば、不動産会社に仲介を依頼することになりますが、依頼の形式には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。どの契約でも、一般的な契約期間は3ヵ月であることが多いです。
一般媒介契約
一般媒介契約は、自分で複数の不動産会社に依頼できる契約形態です。売却時の利益を受け取れるのは販売した不動産会社だけなので、積極的な営業活動は期待できないことが多いです。
しかし、不動産会社にとって、それでも宣伝や営業をしたくなる物件があります。
都心の駅から近い、または人気のエリア
周辺施設が充実している
築浅である
ブランドマンション
など、資産価値の高い物件は客引き効果があるので、チラシやホームページなど目立つところに掲載してくれます。
一般媒介契約のメリット
複数の不動産会社に依頼できる
一般媒介契約のデメリット
不動産会社はレインズへ物件登録の義務がない
不動産会社が売主へ販売状況などを報告してくれないので、自分で問い合わせる必要がある
依頼した不動産会社に、ほかの依頼先や売却の条件を伝えておく必要がある
他の不動産会社の状況がわからないので、熱心に販促活動をしてくれないことが多い
専任媒介契約
売主が依頼できる不動産会社は1社のみです。
資産性が低い物件などは専任媒介や専属専任媒介などで利益が必ず契約先の1社に入る条件にすることで販促活動に力をいれてくれます。
立地が悪い、築年数が古い物件の場合は専任の方がベターです。
専任媒介契約のメリット
売主は自分で探した買主と契約できる
不動産会社は7日以内にレインズに物件を登録する必要がある
不動産会社は2週間に1回以上、売主に販売状況の報告をする
物件が売れた時、利益は依頼した1社に入るので積極的に営業活動をしてくれる
専任媒介契約のデメリット
契約期間内に自己都合で解約する場合、広告費や違約金がかかる場合がある
依頼した不動産会社しだいで売却までのスピードや価格にばらつきがある
専属専任媒介契約
売主が依頼できる不動産会社は1社のみ
売主の自由度が低いので専任媒介契約よりも少ない契約形態です
専属専任媒介契約のメリット
不動産会社は5日以内にレインズに物件を登録する必要がある
不動産会社は1週間に1回以上、売主に販売状況の報告をする
専任媒介契約同様、物件が売れた時、利益は依頼した1社に入るので積極的に営業活動をしてくれる
依頼した不動産会社しだいで売却までのスピードや価格にばらつきがある
専属専任媒介契約のデメリット
売主は買主を自分で探すことができない。自分で買主を見つけた場合にも、依頼した不動産会社に仲介を依頼する必要がある
【8ステップ】マンションを高く売却する流れ
売り急ぐことで不動産会社の言いなりになることや、数百万単位で値下げせざるを得ない状況は避けたいですね。任せきりにせず自分でもしっかりと調べ、一つずつ対策をして賢く売却しましょう。
複数の不動産会社に簡易査定を依頼、相場を知る
簡易査定は複数の会社に机上査定を依頼する方法です。
匿名で利用でき、営業の電話がかかってこないAI査定がいいでしょう。プライバシーマークを取得しているサイトがおすすめです。
AI査定は、地価公示や近隣の取引事例から回答を出すので、大規模なマンションであるほど実際の相場に近い回答が得られます。反対に、築浅の場合やリフォーム済みの物件、一戸建ての査定には不向きです。
一括査定でも訪問査定でも、媒介契約を結んでから大きく値下げされる可能性があるので、「査定額が一番高いところが一番高く売れるわけではない」ことを覚えておきましょう。
訪問査定を依頼する
一括査定の目的は相場を知ることです。次は売却にかかる取引手数料や税金などを押さえておきましょう。金額の設定に少しでも疑問があるなら納得のいくまで説明を求めたいところです。
1社だけに依頼せず、最低でも3社に訪問査定をして各社の見積価格や根拠を比較し、争ってもらうのもいいですね。
不動産会社を厳選、信頼できる担当者に依頼する
信頼できる仲介会社、頼れる営業マンを見つけたらその人に依頼しましょう。
不動産売買の場合、売却価額に対して仲介会社が受け取れる手数料は決まっており、売却価額に数百万円の差があったとしても、仲介会社が受け取る手数料は数万円の差でしかありません。ですから1件1件に時間をかけて数百万円高く売るよりも、取り扱う物件の数を稼ぎたいのが本音です。
そのため、不動産会社から見たデキる営業マンは売り急ぐ傾向にあります。売却の知識は十分にあるか、どのような販売方法にするのか事前にしっかりと聞いておきましょう。
良い営業マンの例
不動産情報サイト・レインズに登録してほかの不動産会社に情報を拡散してくれる
売主、買主にもメリットがある提案をしてくれる
問い合わせた場合の返信が早いなど、スピーディに対応してくれる
良くない営業マンの例
自分の不動産会社でしか販売しない(囲い込み)。この場合、買主も自分の不動産会社を通して購入するので売主の手数料だけでなく、買主の手数料も自社の利益になります。両手取引ともいいます。
対応が遅い
問いに対して明確な回答が得られない
不動産会社との契約形式を決める
一般媒介契約にするか、専任媒介契約、専属専任媒介契約にするか、決めましょう。詳しくはこの記事の上部にまとめました。
売り出し価格を決める
売却価格の3%+6万円(+消費税)が不動産会社の手数料となります。
売れるタイミングによっては値引きも考慮する必要があるので最初は相場よりも少し高めの設定で様子を見てもいいでしょう。
内覧時に良いイメージになるように工夫する
できるだけものを減らし、掃除をするだけで印象がだいぶ変わります。なるべく明るく居心地の良い雰囲気になるよう、カーテンや照明も工夫しましょう。
短所や欠点、周辺環境もまとめておき、魅力を伝えましょう。
近隣のスーパーや実際に隣に住んでいるのはどんな人かなど、実際に住んだ場合のイメージを伝えられるといいですね。風通しや日当たりなども住んでみないと分からない情報を細かく伝えると印象に残りやすいのでおすすめです。
ローン残債があるなら銀行に相談
ローンが残っているマンションは、金融機関によって抵当権を設定されている状態です。
ローンを残したまま売却することは可能ですが、元の所有者が滞納すると金融機関に差し押さえられてしまうのでローンが残った状態の物件を買う人はいません。
オーバーローンやアンダーローンなど、状況によって対処の仕方が異なるので必ず事前に金融機関に相談してください。
管理費、固定資産税を精算
売却が決まったら、管理費の精算をします。基本的には前払いであることが多いので管理会社に精算を依頼しましょう。
固定資産税はその年の1月1日(関西は4月1日)の所有者に課税をされてしまうので、年の途中でマンションを売却しても納税義務者は売主のまま変更されません。
そのため売主と買主の間で日割り計算をして採算をするのが慣例です。専任媒介/専属専任媒介の場合は不動産会社が仲介して計算してくれるケースが多いです。
まとめ
思い入れのある大切なマンションを売りに出すなら、少しでも高く売るために自分でできることはたくさんあります。不動産屋任せにせず、できることは自分でやりましょう。積極的な姿勢を見せることで担当営業マンに熱意が伝わり、より熱心に宣伝をしてくれるはずです。
希望通りの価格で、少しでもスムーズに売却ができるよう最低限の知識を持っておくと安心です。そのためにこの記事が少しでも参考になれば幸いです。