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禁酒3年目にしてノンアルビールが口に合わなくなった衝撃

私は2019年にお酒をやめた。

きっかけはお酒を飲んだ時にお金を無くしてしまったからだった。
5,000円くらいだっただろうか。
それまでお酒を飲んで記憶は無くしても、
お金を無くしたことはなかった。

もちろん記憶の方がお金よりも大事なのは言うまでもないが、
記憶がない中でも私はどういうわけか
必ず家に帰ってベッドの上で目が覚めたし、
記憶がない中でも財布やスマホ、身分証など、
無くすとショックが大きい物を無くしたことはなかったので、
たかが5,000円と言えど、お金を無くしたときの衝撃は大きかった。

そして私はこの時、これは何かのお告げだと思うことにした。
「あんたそろそろお酒ほんとうにおやめなさい」
というお告げだ。

そう、「お酒に飲まれてしまう」質の私は、
思い出すだけでも恥ずかしい失態をたくさん犯してきた。
(ちなみにこの「たくさん」の中には
 思い出せないものは含められていない。)

そんな私はそれまで3回ほど禁酒にトライしたことがあった。
最長半年ほど禁酒をしたこともあったが、
いかんせん私は飲むのが好きだったのである。
特に仲間内での飲み会なんて本当に大好きで、
断るのもソフトドリンクでしのぐのもとてもつらかった。

だから何かお祝いなどの理由をつけては解禁してしまう始末で、
結局禁酒は続かなかった。

でもこのままでは良くないということもわかっていた。
飲みすぎてしまうからだ。
せめて記憶をなくすまで飲むのはやめようと思っても、
飲んだ自分をコントロールできるほど私は強くなかった。

そんなときの一撃である。
お酒を飲んだ私はお金を無くしてしまったのである。

「私はとうとうお金を無くしてしまった」
と思った。
しかもこの時は、ビールを少々ひっかけただけで、
ほぼシラフと言っても良いくらいだったのに。
これが何かのお告げと言わずになんて言おうか。
(私は「偶然」で片づけたくなかったようである)

そしてこの時、とうとう決心した。
「お酒は、辞めよう」と。

その決心からもうすぐ3年が経とうとしている。
コロナ禍で飲み会の誘いもめっきり減ったということもあり、
私の禁酒期間の記録は更新中である。

お酒をやめた当初は、
餃子や唐揚げを食べるたびにビールが欲しくなったけれど、
幸いにも味の良いノンアルコールビールの助けを借りて、
なんとかしのぐことができた。

そうこうしているうちに、
そもそもお酒を欲しなくなっていった。
副次的な効果として、
味付けの薄いものを好むようになったし、
刺激の強い食べ物も欲しなくなっていった。
大好きだったブラックコーヒーすら苦すぎて飲めなくなった。

でも、お酒を欲しなくなったとはいえ、
私の頭の中では今でも、
「暖かくなったらビール」
である。

だからめっきり暖かくなってきた今日この頃、
買い置きしていたノンアルコールビールを
キンキンに冷やして楽しみにしていた。

そしてお風呂上り、
そのノンアルビールをお気に入りのグラスに注ぎ、
完璧な泡まで演出し、
ぐびっとあおった。

「苦っ!」

これが、この夏(まだ春?)初のノンアルコールビールをあおった私の感想である。
ノンアルコールビールを飲んだときに感じたこの感覚、
遠い昔の記憶のどこかにあると思った。
少し考えてから思い出した。
そう、
私が初めてビールを飲んだときに感じたものと同じである。
20歳の大学生の時、
初めてビールを飲んだ私は「なんだこの苦い飲み物は」、と思った。
まさかしばらく飲んでいたら美味しくてジョッキ何倍でも飲むようになるとは思ってもいなかった。

ということは、
私の舌はお酒を覚える前のお子様の舌に戻ったということか。

そろそろ
「私、お酒やめたんです。」
じゃなくて、
「私、お酒飲めないんです。」
と言っても良さそうである。

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