クリエーター階級
note には優れたクリエーターが集まっている。note にはネットにおける〈中心都市〉になってもらいたい。
ジャック・アタリによると、日本は20世紀後半に世界市場で〈中心都市〉になるチャンスがあったという。
そうならなかった理由の一つに、日本がこれまで十分な〈クリエーター階級〉を育成してこなかったことを挙げている。
クリエーター階級とは何か。アタリによれば、次の通りだ。
クリエーター階級: classe creative
〈中心都市〉に集まる才能溢れる人々。彼らが集まる都市は繁栄するが、為政者が彼らを追放すると、中心都市といえども没落する。歴史的に見ても、クリエーター階級が集まった都市において、学問・音楽・芸術・技術革新が開花し、立派な都市空間が生まれた。クリエーター階級とは〈超ノマド〉でもあり、中心都市の栄枯盛衰に最も敏感である。
(ジャック・アタリ『21世紀の歴史』、2008年、335ページ)
中心都市は次のように定義される。
中心都市:Coeur
周辺都市:périphérie
過去、現在、未来の歴史を読み解くための要となる概念。市場民主主義の中心地であり、九つの市場の形式に対応している。資本主義の歴史を、超長期的に資本蓄積できない短命な個人や企業でなく、長期持続する都市を通じて検証する。すると、頭脳とマネーが集積する「中心都市」と、労働力や農産物などを提供する〈周辺都市〉という構図が明らかになる。アタリによれば、これまでに九つの中心都市が存在しており、それは歴史を見ると西に向かって移動してきている。
(前掲書、337ページ)
まるでSFのような未来図にも見えたが、中心都市はこれまでに九つ存在してきたことを見ると、歴史的存在であり、現在から近未来にむけて、まさに21世紀のホット・トピックであることがわかる。
ジャック・アタリは21世紀においては、個人も企業も、「自己中心的な利他主義」 (selfish altruism) が必要であると、あるインタビューで述べていた。これについては、別のところに少し書いたことがある。
そのときには、自己中心的な利他主義の具体像が思いうかばなかったが、このクリエーター階級などは、きっとその一つなのだろう。