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[英詩]Bob Dylanの基礎知識(4)
ボブ・ディランの押韻の特殊なわざについては Bob Dylanの基礎知識(3) で扱いました。今回はそれをさらに詳しくみます。ディランの韻はみればみるほど面白いのです。
どこがそんなにおもしろいのか。
目で読む詩と耳で聴く詩とはどう違うのか。
ディランが蘇らせた〈歌われる詩〉はどんな特徴があるのか。
こうしたことを根本から考えてみましょう。
※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(201702)」へどうぞ。
この定期購読マガジンは月に本配信を3回配信します。そのほかに副配信を随時配信することがあります。本配信はだいたい〈英詩の基礎知識〉〈英語で書かれた詩〉〈歌われる英詩〉の三つで構成します。2016年11月から主要な内容をボブ・ディランとシェーマス・ヒーニでやっています。英語で書く詩人として最新のノーベル文学賞詩人たちです。
これまでに扱った基礎知識のトピックについては「英詩の基礎知識 バックナンバー」(「英詩の基礎知識(6)」に収録)をご覧ください。
「Bob Dylanの基礎知識(1)」「Bob Dylanの基礎知識(2)」「Bob Dylanの基礎知識(3)」もあります。
目次
詩の朗読が嫌いな現代詩人がいる
耳で聞いてわからないところ
詩は耳で聞いてわかるのか
自由詩は形式がない
現代にも定型詩の英詩はある
定型詩と自由詩の耳で聞いた場合の違い
ディランの詩型
おわりはわかるのか
韻の二重性
すさまじい韻
偶然の産物である韻
ちぇっと呟く韻
一騎打ちの緊張感を漂わせる韻
***
詩の朗読が嫌いな現代詩人がいる
現代詩の朗読会というものがある。多くは詩人本人が自分の詩を朗読する。詩が耳から聞こえることは、本を黙読している場合とは違って、詩人が聞いている音が聞こえるような気がしてくる。一見よさそうに見える。
ところが、これを毛嫌いする現代詩人がいる。たとえば、英詩人フィリップ・ラーキン(1922-85)。彼が詩の朗読を嫌うわけは、なるほどと納得できる面もある。ちょっとそれを見てみよう。
彼がそう思うのには、前提としてページの上の詩と音として聞こえる詩の根本的な違いがある。
耳で聞いてわからないところ
それは第一に、目で見ないとわからない点があること。それは耳で聴いてもわからない。いちばん大きいのが行。つぎに連。これらは目で見ないとわからない。
もし、行や連が耳で聴いてわからなければ、詩の構造がわからない、ということになる。確かにもっともな意見である。
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