米バイオ研究の不正
研究不正をあつかう異色のミステリ『水鏡推理 II』に次の文章がある。
「二〇〇五年の『ネイチャー』誌で、アメリカのバイオ部門の科学者三人にひとりが、不正行為に及んでると公表された」
瑞希も知っていた。発覚した不正行為のうち最多のものは、資金提供者からの圧力による研究結果の変更だった。(14章)
これを読むと、ポーリング博士の著書に親しむ者にはすぐに思い浮かぶことがある。食品メーカからの資金提供による研究で結果が変更された事例だ。
かつて、それについて触れた書について書いた。
ところが、この私の記事には上記の事例のことを書いていない。この書が手許にないので確かめることができない。
見つかるまでは次のポーリング博士の発言を引用するにとどめたい。
“Everyone should know that most cancer research is largely a fraud, and that the major cancer research organisations are derelict in their duties to the people who support them.”
松岡圭佑の他のミステリでセント=ジェルジ博士(ビタミンC発見者)への言及が出てきたことがある。
ビタミンCを介して、日本のミステリとポーリングとがつながる。
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最近の動きでは、有機食品と非GMO食品への世界的な関心の高まりに乗じて、あまり健康に良いとはいえない加工食品を、「健康的で栄養がある」として売出す加工食品メーカの戦略がある。これについて、例えばAPの2015年3月の報告がある('Coca-Cola paid nutrition experts to recommend soda as a healthy snack')。この種の中立で信頼できる報告はすぐに読めなくなる可能性があるので、関心ある方は保存をお勧めします。