乳たん白
最近はたんぱく質系の話が続いていますが、今回もその続きで「乳たん白」を取り上げます。乳たん白とはその文字が示す通り、牛乳などの乳製品に含まれるたんぱく質を総称した名前です。総称ですし、牛乳と聞けば様々なたんぱく質が含まれていると考えますよね。したがって、様々なたんぱく質をいくつかのグループに分けることができます。乳たん白の場合は二つのグループに分けることができます。「カゼイン」と呼ばれるグループと「ホエーたんぱく質」と呼ばれるグループの二つです。割合では大きな差があって、カゼインがおよそ80%、ホエーたんぱく質は残りの20%ほどとなっています。
乳たん白は別名を「ミルクプロテイン」と呼びます。名前としてはなんの捻りもない、そのままですね。ホエーたんぱく質は別名を「乳清たんぱく質」と呼ぶこともあるそうです。ヨーグルトなどで見られる上澄み液の事をホエーと呼びますが、それに関連した名前なのでしょう。カゼインとホエーたんぱく質の大きな違いとして、吸収のスピードが挙げられます。カゼインはゆっくり、ホエーたんぱく質は吸収が早いのが特徴です。牛乳で見ると、非常に栄養価が高いとされていて、コップ2杯(約400ml)飲めば、一日に必要な必須アミノ酸をだいたい満たすことが出来るのだとか。
さて、カゼインですが、よく耳にする名前ですよね。どの様なものなのか調べてみました。カゼインは吸収がゆっくりだと先に書きましたが、その通りのようです。
胃は胃酸が分泌される場所です。したがって、カゼインのようなたんぱく質が入ってくると酸によって凝集が起きて、固まってしまいます。その状態で腸に移動してゆっくりと吸収されていくことになります。ゆっくりと吸収されるという事は、血液中に吸収されたアミノ酸がしっかりと入るわけですから、アミノ酸の濃度が長時間ある程度以上の濃さで維持されるわけですね。他にも、カルシウムの吸収を促進したり、血圧を下げる働きがあったりします。夜の就寝前などにコップ1杯の牛乳を飲むことでリラックスできるといったことも言われています。
ただ、カゼインではアレルギーなどの問題もついて回ります。ゆっくりと吸収されるという事は、(凝集しているという事も関係するでしょうが)分解されにくいアミノ酸配列という事も関係しています。腸では粘膜に傷がついたりして、炎症を起こす可能性もあります。これが繰り返されると腸のバリア機能が低下してしまい、最終的には「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」と呼ばれる状態にまで発展して、アレルギー反応を引き起こす可能性だってあるんです。
リーキーガット症候群は小麦粉に含まれるグルテンなどのたんぱく質のところで聞くことが多いモノですが、カゼインだって似たようなことが起きるんですね。
そういえば、年齢が上がると牛乳を飲んだ後にお腹がごろごろといって調子が良くないという人、いますよね。こちらの方はカゼインではなくて、牛乳に含まれる乳糖という糖の一種に対する反応で、乳糖に働く酵素(ラクターゼ)の働きが弱いために生じるものです。ただ、牛乳のたんぱく質に対するアレルギーの場合も同じような状態になりますので、おかしいなと思ったら牛乳の摂取を控える方がよさそうです。
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