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27、糖代謝関連のヘパトカインの話

2型糖尿病との関わり

前回に書いた通り、肝臓からはいろいろなホルモンが分泌されているとのことでした。これを総称して「ヘパトカイン」と呼んでいますが、いくつか種類のあることが認められています。その中で前回も出てきた「セレノプロテインP」という物質が糖代謝に深く関わっているらしいということが書かれていた文献を見つけましたので書いてみます。

前回は運動抵抗性といったことを取り上げましたが、考えてみたら糖尿病って食事療法や薬物療法とともに運動療法があったのを思い出しました。運動してもセレノプロテインPが多く存在すると、せっかく頑張って運動しても帳消しにされてしまうといった話でしたね。ですから、糖尿病関連でも問題視することになるんです。

ところで、非アルコール性脂肪性肝疾患という病気がありますが、これがなぜか2型糖尿病を合併することがしばしは見られるらしいという研究が出ています。そしてこの非アルコール性脂肪性肝疾患(以下、長いのでNAFLD) が耐糖能の異常を引き起こすようだという事が知られていたそうです。

また、NAFLDは全身のインスリン感受性のコントロールにも関わっていて、NAFLDによってへパトカインの産生異常が起きてしまい、そこからインスリン抵抗性を引き起こすのだとか。

さらに、セレノプロテインPの血中濃度は空腹時の血糖値やHbA1cの値の両方に対して、正の相関関係を示していたという事です。くわえて、2型糖尿病患者のセレノプロテインPの血中濃度は、健常者と比較しても上昇していたといいます。

つまりは増えているという事なのですが、どうやらこのセレノプロテインPが血糖値を上昇させているということが分かってきました。しかもこのセレノプロテインPは脂肪肝の場合も増えているのだとか。先に書いたNAFLDではへパトカインの産生異常が起きて~とありますが、要するにセレノプロテインPを過剰に産生してしまうという事なので、やっぱりこれも血糖値を上昇させているということになります。

そして、その原因がセレノプロテインPによるインスリン抵抗性によるものだということがつきとめられています。というのも、マウスを使った動物実験では、セレノプロテインPが欠損したモデルを使ってインスリン注射を行なったところ、通常のマウスよりも血糖値の下がり具合が大きかったのだとか。通常ならある程度はセレノプロテインPが存在しますから、インスリン注射をしても血糖値が下がり過ぎることは無いでしょう。このことから、セレノプロテインPがインスリン抵抗性の原因になっているということが分かったそうです。

ヘパトカインもセレノプロテインP以外にいくつかの種類が知られていますので、それらを踏まえて考えると、どうやらいろいろな働きがあるようですね。


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