臨床検査の種類
今回は臨床検査の種類についてのお話です。分野といった表現もありますがそれはともかくとして、大きく分けると生理検査と検体検査の2つといったところです。臨床検査は一般に医療機関で行われますので、対象は受診者、つまり患者さんということになります。その患者さんの身体に直接働きかけて行う検査を生理検査と呼び、患者さんから採取した検体を調べることで患者さんご本人の状態を考える検査を検体検査と呼びます。両者はさらにいくつかの種類に分かれていきます。
まずは検体検査から書いていきます。臨床検査と言って多くの人が最初に思い起こすのはこちらの方ではないでしょうか。その代表例が血液検査ですよね。採血はあまり好きではない方も多いのですが、そうやって採取した血液と検査の依頼項目の情報とが一緒に臨床検査科に届きます。今、臨床検査科と書きましたが、医療機関によって名前が異なる場合があります。科の文字が課になっていたり部や室になっていたりという事がありますし、臨床検査という名前も別の違う名称になっている場合があります。それぞれの医療機関の都合で名前が変わることがありますが、そこで行う業務は大体同じです。
採血をして行う血液検査以外にも、検尿であったり喀痰であったりと、いろいろな材料を用いての検査がありますので、それら全般が検体検査の対象になります。その材料に応じた採取を行いますので、患者さんも場合によっては多少の身体的負担があるかもしれません。検体の種類も調べる検査内容も様々ですので、その目的の検査に応じた処理を行ったうえで検査を行います。その結果が出るまでの所要時間も検査によって様々です。早いものであれば30分前後でしょうし、結果が出るまでに何日もかかる検査だってあります。それまではお待ちいただくことになります。
もう一方の生理検査の方ですが、こちらは患者さんの身体に直接働きかけて検査をすると書きましたが、こちらの方も検査項目がたくさん存在しています。代表例は心電図検査や脳波検査あたりでしょうか。超音波検査というものも存在します。多くの場合で患者さんに衣服を脱いでいただくこともあるでしょう。ただ、医師が検査を行うなどの特殊な場合を除いて、普段の検査は臨床検査技師という有資格者が担当しますので、針のような機材を使う事はありません。
心電図検査や脳波検査、筋電図検査などは一括りにして電気生理学的検査と呼ばれることもありますが、これらは身体の状態を電気的な変化として捉えるものですので、機器や電極を触ったからといってビリビリするということは絶対に有りませんので、ご安心ください。ただ、金属の部分が身体に触れることになりますので、時として冷たいという事はあるかもしれません。
超音波検査は腹部と心臓の2つの分野で検査を行う事が多いのですが、それ以外の身体の部分に対して検査を行うことがあります。ただ、それに応じた超音波検査の装置が必要になりますので、医療機関の都合にもよるでしょう。超音波検査の場合は患者さんの姿勢も大きく影響しますので、体位などは検査を担当する臨床検査技師とコミュニケーションをしっかりと取っていただく必要があります。実際の検査では装置に映る画像を見ながら進めていくのですが、その画像を被検者である患者さんが見ようとして無理な姿勢をとると、体位が変わってしまって検査を上手く進めることが出来なくなるかもしれません。この辺りは患者さんの協力が欠かせません。
主な検査はこの辺りでしょう。生理検査では他にも眼底写真を撮影する検査であったり、呼吸機能を調べる検査であったり、いろいろな検査がありますが、すべてを行う必要はありません。必要な検査に絞って行うというのが医療機関にとっての原則です。
もしも、何か分からないことがある場合は検査の依頼を出す医師や、検査そのものを担当する臨床検査技師に尋ねてみてはいかがでしょう。