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サイトカインとは

今回からしばらく、サイトカインという物質についての話題を取り上げます。

まずサイトカインとは何ぞやという話ですが、これは主に免疫系の細胞で作られて細胞外に分泌されるたんぱく質です。目的とする細胞(標的細胞)に対して、そこの受容体を介して生理活性を示すものと説明されているので、まるでホルモンのようですが、サイトカインとホルモンとでは違いがあるんです。

産生される場所がちがう
・ホルモンは特定の臓器(下垂体、膵臓、甲状腺など)から産生される
・サイトカインは複数の臓器(白血球や血管内皮細胞など)で産生される
作用範囲がちがう
・ホルモンは血流を介して全身的に作用する
・サイトカインは分泌細胞の近くあるいは局所で作用することが多い
生成方法がちがう
・ホルモンはあらかじめ生成された分子として腺に保存されている
・サイトカインは急速に合成され、主に刺激後に分泌される

こういったちがいがあります。そのうえで、サイトカインのような物質を「細胞間情報伝達物質」と呼ぶんです。その生理作用を発揮するための量も、極めて微量です。まあ、細胞単位で作るわけですから、量も多くは出来ないでしょう。

さてこのサイトカインですが、これは比較的新しい名前のようですね。かつてはリンパ球から分泌される特殊なタンパク質を総称してリンフォカインと呼び、単球やマクロファージが産生するリンパ球の増殖に関わるタンパク質をモノカインと呼んだこともありました。しかしその後、いろいろな場所で作られることが分かってきたり、産生細胞の区別が難しい例が出てきたりしたことで、全部をひっくるめてサイトカインという名称に変わっていったようです。つまり総称ということです。

サイトカインという名前が総称であるなら、いったいどんな物質がこのグループにあるんでしょうか。免疫系や炎症反応に関連した物質が多いようです。もちろん、それ以外の所に働きかける物質もたくさん存在しています。このグループに入っている物質の名称、いくつかは聞いたことがあるのではないでしょうか。挙げていきます。

インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、ケモカイン(CCLなど)、コロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子:G-CSF、エリスロポエチンなど)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖因子(EGF、FGF、TGF-βなど)などがありますが、インターフェロンだとかインターロイキンだとか、こういった名前は聞いたことがありそうですね。この中でもTNF-αやIL-6のように、生体内で様々な炎症症状を引き起こすサイトカインを炎症性サイトカインと呼びます。また、その反対の作用、つまりIL-10やTGF-βのように炎症症状を抑制する働きをもつサイトカインは抗炎症性サイトカインと呼びます。

こういった言葉もどんどん変化していきます。昔は知っていた言葉が、今は使われなくなってしまっていることなんて、それほど珍しいことではないようですね。この例ではモノカインやリンフォカインといった名前が使われなくなっているということですから、常にアップデートしておかないと分からなくなりそうです。私も今回の件で調べてみて、初めて知ったことでした。

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