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検体を使った検査(血液の検査、その1)

今回は検体を使った検査を書いていきます。つまり「検体検査」の一種という事ですね。多くの人が思い浮かべるであろう項目が「血糖値」だったり「コレステロール値」だったりするかと思いますが、まさにその分野です。もちろん、まだまだ他にも項目がありますし、検体としての材料も他の種類が出て来ます。他の分野の検査というものもあります。今回は血液を使った化学成分の分析のお話です。

採血をして検体採取を行いますが、実際に臨床検査に用いるのは主に血清の部分です。中には血漿を用いる検査もありますが、それぞれに理由があっての選択です。ただ、採血をされる患者さんから見ると、いただいた血液を入れる容器が複数になる場合がありますので、これは仕方がありません。それぞれの医療機関では採血の担当者は患者さんからご了解をいただいたうえで、採血を行っていると思います。

今回は化学分析の項目の話になりますが、一般に患者さんを含めた多くの人が目にするのは、健康診断や人間ドックの報告書を手にしたときでしょう。医療機関を受診をしている方なら、普段の診察の場で検査項目やそのデータを目にする機会もあるでしょう。

ただ、そこに並んでいる文字は一般の方にとっては呪文のように感じるかもしれません。項目名とその結果の数値、加えて基準値と呼ばれる一般的な正常範囲の3つくらいは併記していることが多いはずです。このあたり、実は医療従事者でも「ややこしい」と感じる人が多いようです。単位も記載があるはずですが、結果を判断するうえではさほど重要ではないかもしれません。そして、時にはここに落とし穴がある場合も存在します。単位が mg なのか、それとも μg なのか、たったこれだけでも数値が1000倍変わってきます。同じ医療機関を受診しているのであれば滅多に変化することはありませんが、何かの都合で他の医療機関を受診したときに数字を見てびっくりするといったことが起きるかもしれませんので、思い出したときでよいので、たまには注意して見てください。

分析に関する話はとても複雑になりますので省略しますが、個人の身体の状態が落ち着いていれば検査のデータも安定した数値を示します。たとえ前回の検査から数年経っていたとしても、個人としての変化はあまりありません。似たような数値になっていることが多いはずです。ただ、中には小児と成人で数値が大きく異なる項目もありますので、この辺りは注意が必要です。分かりにくければ尋ねてみればよいでしょう。ただ、医師は忙しいことが多いので、他の職種の人に振られるかもしれませんが。

多くの人が検査の数値で気になることと言えば、正常か、それとも異常かということでしょう。ご自分の検査結果の数値を見ても、あまり一喜一憂しなくてもよいと思いますが、そうはいっても気になるようですね。注意して見るポイントとしては、前回の数値と比べてどのように変化しているか、どれくらい変化しているか、その辺りでしょう。基準となる範囲(かつては正常値とか正常範囲とか呼ばれていたものですが、誤解を招きやすいことから名称が基準値・基準範囲というように変わっています)の中にあること、そして前回と比べてあまり大きく変動していない様子であれば、あまり心配する必要はないでしょう。徐々に数値が上がっていったり低下していったりしている場合は、おそらく診察している医師が気にかけてくれますので、どんなコメントかをしっかりと聞いて受けた注意を守れば、大きな問題は起きないと思います。

ちょっと長くなりそうなので、続きは次回とします。


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