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腎臓の病気 尿毒症

どんな病気か

今回は尿毒症を取り上げます。見るからに毒々しい名前ですね。尿毒症とは、腎臓の働きが極端に悪くなって起こる全身の状態を指します。腎臓の障害が進んだ結果なのですが、尿を体外に出すという機能が酷く落ちてしまい、腎不全も末期の状態になっていますので、まさに生命の危機といった状況になっています。

ちょっとおさらいになりますが、腎臓の働きをまとめてみます。

①血液中の老廃物をこし出して体外に出す
②水分やナトリウム、カリウム、その他の物質の調節
③血圧を調節する
④赤血球を作るよう骨髄に働きかけるホルモンを出す

こういった働きがありました。最初に書いたのはこの中の①の部分だけですが、腎臓自体が機能しなくなっているわけですから、①だけでなく②~④といった機能も、全部働かなくなってしまいます。

例えば④の赤血球を作らせるホルモンが出て来ないということを考えると、実際に人工透析を受けている患者さんでは赤血球の数が極端に減っており、腎臓が正常で問題のない人の半分くらいになっています。そんな中でわずかに残った機能を振り絞って腎臓は働いているわけですから、血液から老廃物をこし出すことを考えた時に、赤血球のような粒が多いと効率が悪くなることは想像に難くないのではないでしょうか。ですから、かなり酷い貧血状態ではありますが、腎臓の機能という面を考えると、一応理に適っているわけです。しかし、これでは人間の身体全体にとっては大変です。そこで、透析患者さんでは、時々輸血が必要になることが出てくるのはやむを得ない事ですね。

症状と検査

様々な症状が出てきます。全身症状で言えば、体がだるいとか疲れやすいとか。浮腫(むくみ)も当然全身に起きてきます。他にも頭痛をおこしたり、時には意識障害やけいれんが出たり、水分も体外に出せませんから体の中に水が溜まってきます。そのため、心臓や肺に負担がかかるようにもなってきます。

全身にいろいろな症状が出てきますが、腎臓の悪化が緩やかに進んだ場合、意外にも自覚症状をあまり感じない症例もあるようです。ただ、腎臓が悪くなって来ればいずれ医療機関を受診することになるでしょうから、その時に腎機能検査をすることで分かります。

腎機能検査としてよく用いられる項目は、BUNとクレアチニンが有名です。BUNは(血中)尿素窒素と訳されます。元々はたんぱく質の成分である窒素の処理としてアンモニアがまず作られますが、これは人間にとって毒性が強いので、肝臓で解毒処理されて水に溶ける尿素に変化します。そして血液から腎臓でこし出して尿にして体外に出すというのが通常の処理として行っていることです。

腎機能が悪くなると尿として体外に出せなくなり、血液中にBUNが溜まってきます。そのため、血液中の濃度が高くなり、数字が上昇していくことになります。

クレアチニンの方は、筋肉に含まれているたんぱく質の老廃物で、こちらも血液を通して腎臓でこし出され、尿として体外に出されます。ですから、腎不全の状態ではこれを体外に出すことが出来なくなり、血液中に溜まってきます。そしてBUNと同様に数字が上がってきます。

腎機能というわけではありませんが、からだの状態を知るうえで重要なものがカリウムの数字です。カリウムは健康管理といった面ではよく話題に挙がりますが、腎機能の低下で話題に上るときは、あまり良い意味ではありません。カリウムが高くなると、心臓への影響が出てくるためです。そのため、カリウムの検査結果が高いと、薬を使ってカリウムを下げるようにな処置がとられたりします。

他にも腎機能検査にはいろいろと種類がありますが、分かりやすいところではこのくらいでしょう。

慢性的な経過で腎機能が低下してきた場合、もう元には回復できない可能性が出てきます。その場合の対処療法として、人工透析の導入も視野に入れなければなりません。こうなると、先ず血管の手術を受けて透析が受けられるように処置をしたうえで、週に2~3回医療機関に通って透析を受けることになります。1回あたり数時間かかりますが、これを生涯続けなければならないので、患者さん本人の負担はとても大きくなります。

そうならないためにも、自分の身体の変化には注意して、早めに医療機関を受診するなどをして、予防に努めましょう。

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