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学会に参加した記憶・・・
現役の頃は仕事や学びの都合もあって、いろいろな学会に参加する機会を得ることがありました。地方での学会や全国レベルの学会など、主催の団体も様々なら内容も種々のモノがありましたが、どの学会も盛況でした。特に関心の高いテーマや注目の的になっているような話題などは、結構な数の人が会場に集まってその発表に熱心に耳を傾けていました。回数はわずかですが、じつは私もそういった学会の場で発表をさせていただいた経験もあるんですよ(プチ自慢?)。
かつては発表、展示、休憩というように分けて考えられていたように思いますが、いつの頃からかランチョンセミナーというものが始まって、いつも大人気だったというの記憶に新しいところです。これは、学会で行う発表の数が多いので学びと食事の場所を設ける目的や、共催して下さる共催企業各社がスポンサー講演の時間を作ることも目的になっていたのでしょう。どの会場も参加者でいっぱい、結構なお弁当と何点かの資料をいただいて会場に入るのですが、昼食をいただきながら、セミナーが行なわれるといったものでした。提供していただくお弁当によっても人気に違いが出るのか、若干人の流れに変化があったかもしれません。
昔は学会発表で用いるスライドも手作りだったのか、とても大変だったように聞いていますが、演者が発表している間にそのスライドをパシャパシャと写真を撮っている参加者がいました。どの会場にもそのような人たちが一定の人数いたようです。他の人の発表を学ぶためなのでしょう。発表を聴きながら、そして写真を撮る人たちを横目で見ながら、ちょっとやり過ぎじゃないのかと思いながら見ていた記憶があります。昔は結構そのような例は多かったようですが、最近は見かけることもなくなりました。
学会は大きなイベントですから特に展示会場ではお祭り騒ぎのような感じでしたが、私の参加目的は主に最新の話題についての情報を集める事でした。ですから、気になる発表以外の時間は展示会場にいて、いろいろな企業の展示物を見たり話を聴かせてもらったりして過ごしていたのを覚えています。ですから、終わって帰宅するときはいつも足はフラフラになるほど疲れてしまっていましたが、毎回とても成果があったと思っています。
展示会場の各企業も、対応の仕方が次第に変化していきました。最初の頃は資料や販促物のボールペンなどを配っていましたが、次第に名刺を求められ、やがてはその企業のブースの来場者にアンケート用紙のようなモノを渡して記帳(?)を求められるように変化していきました。名刺があればそれも一緒にという事を求められ、資料はその場ではなくて後日担当者の方が職場を訪問して、わざわざ届けてくれるといった手順です。これをきっかけに、訪問の口実にしたり医療機関ごとの興味の対象を把握したりといった、営業をかける目的に利用するためだったのでしょう。
しかし、ブースを訪れるこちらにとっては、その場で資料が手に入らないというのはとても残念な事でしたので、ブースに置かれているパンフレット類の量が多いか少ないかで担当者に声をかけるかどうかを判断することもあったような・・・。仕方の無い事なのですが、大きな学会になるとブースを訪れてくる人の数も増えますので、後日の訪問までに日数が開いてしまうこともしばしばでした。数か月も経ってしまうとすっかり忘れてしまいます。ですから、資料をいただく頃には思っていた内容と微妙に異なる資料を渡されたり、既に興味の対象が別のモノに移っていたりすることもあったと記憶しています。
ただ、展示会場は企業の本音がチラリと出ることもあったようです。あまり大きな声では言えないような裏話や裏の事情などを話して下さることもありましたが、聞いて知った私の方ももちろん口外できることではありません。ただ、総じて各社とも自慢のモノを展示していることが多く、展示と説明はとても参考になりました。
様々な職種の人が参加する学会だと、自分の職種と異なる人と仲良くなることがありますので、その職種の方々の視点や考え方が分かるという利点も出て来ます。こういった話は自分が所属する医療機関ではなかなか聞くことが出来ません。また、医療機関の側の都合や設立母体の都合など、なかなか知ることが出来ない話を知る機会でもありました。法人ごとの都合やコンセプトなどは、それこそ医療機関の数だけちがいがありましたので、学会は情報交換の場でもあったようですね。
そういったこともあって、企業の方々や他の職種、他の医療機関の方々にもお世話になりながら感じたことは、頑張っている人が多いという事でした。当たり前の事ですが、小さな世界でしか生きていない人は、どうしても考え方が偏ってきたり、自分が何でもできると勘違いしたりする傾向が出て来ます。しかし、頑張っている人は、皆常に上を見ています。また、頑張っている人は周囲の他人と対立を避けている傾向もあるようです。そういった姿勢からも、学ぶことは多かったと思います。
学会参加って自分の立ち位置がどれくらいの所にあるのか、あるいは自分の立場や考え方がどれくらい通用するのか、ちょっと厳しい話ですが、振り返ってみるとこんなことを確かめる場所でもあったような気がしますが、私にとっては自分の思いや考えを新たにするための場所といった意味もあったようです。堅苦しいからとか、難しいからとか、そのような理由を付けて参加しないというのは非常に残念ですね。