38、性腺刺激ホルモンの話
今回は性腺刺激ホルモンを取り上げようと思います。難しい名前がついていますが、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)を二つまとめて一括りにしてそんな名前がついています。ここ何回かは脳下垂体から分泌されるホルモンについて書いてきましたが、性腺刺激ホルモンも同様で脳下垂体の前葉という部分から分泌されます。
こういった一括りにされてはいますが、このホルモンはどちらも性別に関わる部分や妊娠~出産に関わる部分などに大きな影響を及ぼすものらしいということは判断できますよね。
実際に産婦人科領域で重要視されていますので、試しにそれぞれの産科のクリニックのホームページなどを参照していただくと分かりますが、いろいろと詳しく書かれています。名前からすれば当然なのですが、じつはこのLHとFSHは、女性のみならず男性の場合も作用が分かっているんです。
先に男性に対する作用を書きます。
LHは男性にも女性にも作用しますが、男性の場合は精巣に働きかけてアンドロゲンを産生させます。それによってたんぱく質を取り込んで身体の形成を促したり、精子作ることを促したり、そんな働きがあります。
次は女性に対する作用です。女性に対してはLHもFSHも同様に卵巣に対して働きかけます。それぞれは違う場所をターゲットにしているようですが、そこからエストロゲンやプロゲステロンを分泌させます。それによって女性の生殖器や乳腺の発達を促したり、子宮の発達を促したりします。
ややこしい話ですが、性腺刺激ホルモンはゴナドトロピンという名前をもっています。持っているというよりも、そう呼ばれているんですね。でもゴナドトロピンと言えばすぐに出て来るのはhCG(絨毛性ゴナドトロピン)、こちらも妊娠に関わる話で出て来るもので、胎盤の絨毛から分泌されます。妊娠反応の話題で何度も検査をした経験がありますので、条件反射の様にこと名前が出て来ます。でもこの場合は別物。
同じ名前ですから本当にややこしい、別の名前にしてもらいたいと思うくらいなのですが、性腺刺激ホルモン自体もLHとFSHの二つをまとめての名前ですし・・・。何とかしてくれと言いたい気持ちです。これだけややこしいと研究者でなければ混同してしまいそうです。
なぜこれだけややこしいにも関わらずこんな名前がついているかというと、下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンもネガティブフィードバックで分泌量の調節が行われているのですが、その名前が「ゴナドトロピン放出ホルモン」というんですね。これを分泌するのは下垂体の上位にあたる場所で、本来は「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」というものなのですが、これではなかなか表現が大変なので「ゴナドトロピン放出ホルモン」と略した名前を使うことが多いからのようです。
頭の中が混乱してしまいそうなので、この辺りで話を切り上げます。