腎臓病でよく見る症状 尿の量
尿量が変わる?
尿の話ばかりが続いていて申し訳ありませんが、もう少しお付き合いください。腎臓の調子が悪くなったからといって、すぐに尿に影響が出るとは限りませんが、ある程度状態が進んでいくと尿量が変化してくる可能性は十分にあります。尿は血液から老廃物を腎臓でこしだして作られますので、腎臓自体が不調になれば、尿に何らかの影響が出てくるということは、想像がつくのではないでしょうか。
まず、何も病変が起きていない場合です。腎臓で最初に作られる尿の量は、150~180リットルくらいになるといわれていますが、これは大変な量ですね。自分の体重の何倍になるでしょうか。もちろん、これが全部尿として体の外に出ていくわけではありません。殆どが回収されますので、普通であれば成人で、一日あたり1.0~1.5リットル程度です。これが減ってきて400ミリリットル以下になると乏尿、100ミリリットル以下になると無尿と呼んでいます。反対に2500ミリリットル以上になることを多尿と呼んでいます。
個人差があるうえに、汗をかく量によっては尿が濃縮したりしますので、多少変化することはあります。しかし、尿量が,異常かなと思う状態が続くようであれば、医療機関を受診してみてください。
尿量が増える場合
腎臓自体の病変というよりも、腎臓以外のところで問題が発生している場合が多いようです。主な原因として、利尿剤を多用していないか、あるいは糖尿病があってそのコントロールが上手くいっていないとか、だいたいこの二つが大きな原因になっています。利尿剤というのは、尿の量を増加させる働きを持つ薬剤の総称です。糖尿病でコントロールが上手くいかない場合は、血液中の糖が腎臓から尿に出てしまうことで浸透圧が上がって、ナトリウムなどの水を引っ張る力があるものの再吸収を抑制してしまうためとされています。
尿量をコントロールするホルモン(抗利尿ホルモン)というものがありますが、何らかの理由でこの量が減った場合、尿量が増えることになります。抗利尿ホルモンが産生されなくなって量が減る場合や、量はともかく腎臓がこれに反応しなくなったりする場合などが考えられます。
一般に、腎機能が低下してくると尿の濃縮力の低下してしまって、尿量が増えてしまいます。それ以外では、飲水量が極端に増えた時には、尿量が増える傾向にあります。
尿量が減る場合
腎機能は一般に、低下すると尿量は増える傾向がありますが、更に進んで状態が悪くなると、尿量は減ってくる傾向が出てきます。また、腎臓に流れ込む血液量が減少すると、尿量も減ってくる傾向にあります。
急性の腎障害では症状として尿量減少が見られたりします。原因の方は、腎臓への鉄流量の低下による腎前性、腎臓の炎症であったり尿細管のトラブルなどによる腎性、尿路系の閉塞などによる腎後性の3つに分けられたりします。
腎不全と呼ばれる状態は、腎臓が機能を果たせなくなった状態です。急性の場合はまだ治る見込みも持てますが、慢性になるといずれ透析ということになってくるでしょう。尿量も減ってきて、一日あたりの量が30ミリリットルというようなことになる場合も出てきます。
腎臓の場合は、初期では自覚症状が分かりにくいので、ついつい放置してしまいがちです。腎臓に限らず、何か異常を感じたら、なるべく医療機関を受診して相談してみましょう。