加工デンプンの役割り
今回は続きで、加工デンプンの働きについて書いていきます。なぜ加工デンプンを使用するのかという疑問は、天然のデンプンではいくつかの欠点があったための改善策として使用するに至ったということでしたね。何が欠点だったかというと、保存性や安定性の問題、天然のデンプンは水に溶けない、粘度が持続しない、そして食品を加工する時の加熱などの条件に耐えられないなどでした。
また、今回も食品添加物の一つとして書いていますので、加工デンプンも食品添加物として考える必要があります。加工デンプンにはいくつかの方法で作られますが、そのうちで「化学的処理によって作られたもの」を食品添加物として扱います。物理的な処理や酵素的処理によるものは食品として扱われますので、今回は除外することにします。
食品添加物としての加工デンプンは12種類存在していますが、いずれもいろいろな特徴を持っています。加工デンプン自体も使用する目的が様々ですが、その状態によって「糊(のり)」「ゲル」「膨化(ぼうか)」の3種類の状態に分けることができます。ただ、この違いは水分の含有量の差でしかありません。
これらの状態ごとに、加工デンプンの種類によって粘りや硬さといった特徴が違ってきます。そのため、違いを見極めたうえでどれを使用するかといった使い分けが為されます。当然ですが、ご家庭で作る料理の場合と工場などで大量に作る調理の場合では、条件が異なってきます。こういったことに対する配慮が必要になるんです。
3つの状態の違いは水分含有量だと書きましたが、これについても説明が必要ですね。
先ず「糊」の状態では、水分は80%以上です。非常に水分が多いので固形ではなく、とろみといった状態ですね。粘性の高い液体といった感じでしょうか。みたらし団子のタレであったり、カレーやシチューの状態がこれに当たります。
この水分が80%を下回るとどうなるでしょうか。20~80%の水分含量では、先ほどのようなとろみは難しくなります。水分含量が減るにしたがって、固形の状態になってきますね。これが「ゲル」の状態です。麺類やパンなどに用いられますが、加工デンプンの種類によってもろさや弾力、柔らかさなどが変わってきます。
最後は「膨化」の状態ですが、これは水分が20%以下の状態です。もはや食品というよりは生地の状態ですね。
糊やゲル、膨化などと、どちらかというと馴染みの少ない言葉が出てきました。また、言葉に対するイメージと実際とでは、いささか違う点もあるようです。ただ、こういった表現も法的な表現として示されたものなので、別の言葉を出してくると余計に混乱してしまいます。ここは素直に従っておきましょう。
具体的な食品やその使用について書きだすと大変な量になりそうなので、ザックリとしたところで止めておきます。加工デンプンは経験的なところも含めて、古くから身近なものとして使われてきました。安全性も含めて、今後の使われ続ける事でしょう。一部には「体に悪い」といった意見もありますが、その詳細などは別の機会があればそこで書くことにします。
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